ほとけさま の おはなし
「ウサギと雲 昔むかし、一匹の🐇がいました。
彼は目先がきいたので、秋の間ずっと木の美を集め
冬に備えました。あつめた沢山の木の実を山の中にかくそうと
思い、隠し場所を忘れないように何か目じるしがないかと
探しました。ふと見上げると空に雲が見えました。
ウサギは、この雲を目じるしにしようと考えました。
そして、冬、雲が動くことを知らなかったウサギは
目印を見失い、備えをすべて失っていました。
これは古い仏教説法です。
「人生の生きがいとは何でしょうか?」
と尋ねた人に対して、お釈迦様はこの説法でこたえられた
そうです。ウサギは、鏡に映った我々の人間の姿です。
不確かなもの、不安定なもの、変わってしまうものを
人生の目印にしてしか生きられないものです。
ある書物に、とある新聞社が行ったアンケートの結果がでて
いました。アンケートの内容は、「私たちの人生にとって一番
大切なものは何でしょうか」という質問でした。
アンケートは三位まで書かれていましたが、一位は健康
二位は家族、 三位はお金だったそうです。まさにわれわれ
の日常心が表れています。健康や家族やお金が大事ではない。
必要ないというの言うのではありません。こういったものは
生活していく上において非常に大事なものばかりです。
しかし、こういった一番大事だと思い、人生の目印にしていると
こういったものの有無が幸福を量る、もっと言えば人生の価値
を量る物差しになってしまわないでしょうか。
そして、その物差しを持たないものはかわいそうで哀れな
人と侮辱します。また、自分自身が生きる目的を見失たっと時自分
不幸であり生きる価値がないと、自分で自分を見捨ててしまいます
お釈迦様は、人間として生きるという現実を誰よりも苦悩された人
なのです。 そしてわれわれの人間の苦悩を誰よりも悲しんでくたさったのです
だからこそ、我々人間に教えを説いてくださったのです。
仏教が立派で高尚な教えだから聞かねばならないのではありません
仏の教えに出合わねばならないものを我々が抱えているから自分の
問題にきづくことができない。
だから、教えをきくのです。