ハミなし頭絡で楽しい馬生活!日本ビットレスブライドル協会

テーマ別に連載形式になっています。テーマ別に最初の記事からお読みください。

装蹄師さんはツライ。。。2

2019年08月28日 | 裸蹄管理

 装蹄師の技術継承が民間になってしまった、というのは置いておいて。

 装蹄師の仕事とは何ぞや、というと、YOUTUBEに頼っちゃうんです。こういうの。

Farrier / Blacksmith Hot re-shoe how Its done in HD

 見るからに、危なそうな仕事だ。。。。心身にこたえそう・・・・。

 とりあえず、この動画の馬はおとなしくしていますが、そんな馬ばかりではない、のは当然で。隙あらば蹴り飛ばしてやろう、踏んづけてやろう、と手ぐすね引いて待っている馬は多いんですよ。そりゃそうで、蹄をあんな真っ黒になるまで焼かれる、ピリピリ来ないはずないですからね。「感じない」なんて大ウソだ。歯医者を思い出せばよく分かるでしょう。水程度でも、しみるもの。「痛かったら手を上げてください」、で、手を上げても「じゃあ我慢してください」でオシマイ。無意味なことを言わんでくれ、と思っちゃう。馬だってそう言いたいでしょうねえ。場合によっては、熱い鉄を吹っ飛ばされる可能性すらある。危険極まりない。

 それだけではない。装蹄師の仕事は荷物が多い、しかも鍛冶の仕事だから、鉄を真っ赤に熱して変形させるレベルの高熱バーナー・蹄鉄を曲げるためのめちゃくちゃ重い台座、それを一々現場に運んで仕事する。そんなのを普通の車に積むと、サスペンションが下がっちゃって、普通車なのに登坂車線となるんです。そんなんで、くそ暑い夏場も火をガンガン焚いて仕事しなければならない。熱中症になる、こともできない。危険だから。今は、クラブ専属という人はほぼいないでしょう。装蹄師の数が激減していることもあって、道具を積んで全国区を飛び回っている人が多いんです。

 当然ながら、腕っぷしが強くないと務まりません。この仕事は肩を痛めることが多いそうですが。

 で、光熱費がめちゃくちゃかかる、んじゃないでしょうか。聞いたわけじゃないけど、バーナーの熱レベルからすると、多分相当なものでしょう。あちこちに行く運賃はオーナーやクラブが持つとしても、その時間は誰も払ってくれない。釘代・蹄鉄代、材料費もかかるなあ。どうも、仕事に見合ったコスパじゃない気がする。

 でその上に、オーナーや乗馬クラブの理不尽な要求や文句を聞かされる。やれ跛行した・落鉄した、あんたが下手なせいじゃないか、とやられる。

 もっとも、装蹄師で偉そうにしている人、多いですけど。馬を中心にして、お互いに文句を言ってるわけだ。蹄病が出た、クラブが悪い、オーナーが悪い、いや、装蹄師が悪い、なんなんでしょうね。お互いに責任をなすり合って。ただ、装蹄師のせいにされるケースが多いから、装蹄師側が構えちゃって、対等に話し合いができない場合が多々ある。馬がまいっちゃいますよ。いつも自分を中心に不穏な空気が漂っていると。


装蹄師さんはツライ。。。1

2019年08月28日 | 裸蹄管理

 馬にとっての「蹄鉄のダメさ加減」というのを書いてきたのですが、では、人間にとってはどうなんでしょうか?

 なーんか、いい事なさそうな。。。。

 装蹄師という仕事は、日本では明治以降に生まれました。それまでは、馬に蹄鉄をつける、なんていう技術も、その気もなかったわけで。必要かどうかは特に考えず、とにかく欧米列強っぽくしなくちゃ、という中で装蹄も行われるようになったんです。以来、今日まで、この「装蹄」について「必要かどうか」という検証は一切なされていない、のは重要なことです。何にも考えてない、と言い換えてもいい。馬には蹄鉄を付けるもんだ、というのは「節分には豆まきするもんだ」並みに浸み込んでますよね、日本人の脳内に。ところで、「節分に恵方巻を食うもんだ」という変な風習は、つい20年前くらいに始まったのはご存知でしょうか?これはスーパーが始めたキャンペーンがきっかけで、あっという間に全国に広まってしまいました。こんな風習が日本のどっかにあった、かもしれない、レベルの話をスーパーが商魂たくましく全国区に仕立てて、それが習慣になってしまったんです。この風習が節分に引っ付いていく様を眺めてて、これも洗脳の一種だよなあと感慨がありましたが・・・・。

 馬に蹄鉄も同じこと、だと思うんだけどなあ・・・・。

 大体この手のキャンペーンって、動物にはた迷惑なことが多いですよねえ。土用にはウナギを食うもんだ、で、ウナギは絶滅危惧種になってしまうし。秋にはサンマ食うもんだ、で、サンマが不漁になってる、ような気もするし。土用にウナギを食わなくちゃならん理由なんか別にないよね。これだって、江戸時代に平賀源内が言い出したことで、それを未だ踏襲してるなんて、ヘンな話。

 装蹄をするのが仕事の装蹄師なんですが、日本では、以前は国家資格でした。一応重要な「師業」の一つだったわけです。ところが、1970年(昭和49年)にはこの国家資格は廃止されてしまいました。自動車がどんどん普及して、馬が減り、需要が減った結果といえます。で、その後、装蹄師は民間資格になり、なんとか細々と技術水準を保つようになったわけです。

参考