装蹄師の技術継承が民間になってしまった、というのは置いておいて。
装蹄師の仕事とは何ぞや、というと、YOUTUBEに頼っちゃうんです。こういうの。
Farrier / Blacksmith Hot re-shoe how Its done in HD
見るからに、危なそうな仕事だ。。。。心身にこたえそう・・・・。
とりあえず、この動画の馬はおとなしくしていますが、そんな馬ばかりではない、のは当然で。隙あらば蹴り飛ばしてやろう、踏んづけてやろう、と手ぐすね引いて待っている馬は多いんですよ。そりゃそうで、蹄をあんな真っ黒になるまで焼かれる、ピリピリ来ないはずないですからね。「感じない」なんて大ウソだ。歯医者を思い出せばよく分かるでしょう。水程度でも、しみるもの。「痛かったら手を上げてください」、で、手を上げても「じゃあ我慢してください」でオシマイ。無意味なことを言わんでくれ、と思っちゃう。馬だってそう言いたいでしょうねえ。場合によっては、熱い鉄を吹っ飛ばされる可能性すらある。危険極まりない。
それだけではない。装蹄師の仕事は荷物が多い、しかも鍛冶の仕事だから、鉄を真っ赤に熱して変形させるレベルの高熱バーナー・蹄鉄を曲げるためのめちゃくちゃ重い台座、それを一々現場に運んで仕事する。そんなのを普通の車に積むと、サスペンションが下がっちゃって、普通車なのに登坂車線となるんです。そんなんで、くそ暑い夏場も火をガンガン焚いて仕事しなければならない。熱中症になる、こともできない。危険だから。今は、クラブ専属という人はほぼいないでしょう。装蹄師の数が激減していることもあって、道具を積んで全国区を飛び回っている人が多いんです。
当然ながら、腕っぷしが強くないと務まりません。この仕事は肩を痛めることが多いそうですが。
で、光熱費がめちゃくちゃかかる、んじゃないでしょうか。聞いたわけじゃないけど、バーナーの熱レベルからすると、多分相当なものでしょう。あちこちに行く運賃はオーナーやクラブが持つとしても、その時間は誰も払ってくれない。釘代・蹄鉄代、材料費もかかるなあ。どうも、仕事に見合ったコスパじゃない気がする。
でその上に、オーナーや乗馬クラブの理不尽な要求や文句を聞かされる。やれ跛行した・落鉄した、あんたが下手なせいじゃないか、とやられる。
もっとも、装蹄師で偉そうにしている人、多いですけど。馬を中心にして、お互いに文句を言ってるわけだ。蹄病が出た、クラブが悪い、オーナーが悪い、いや、装蹄師が悪い、なんなんでしょうね。お互いに責任をなすり合って。ただ、装蹄師のせいにされるケースが多いから、装蹄師側が構えちゃって、対等に話し合いができない場合が多々ある。馬がまいっちゃいますよ。いつも自分を中心に不穏な空気が漂っていると。