ハミなし頭絡で楽しい馬生活!日本ビットレスブライドル協会

テーマ別に連載形式になっています。テーマ別に最初の記事からお読みください。

蹄管理の実態ー蹄壁

2019年07月10日 | 裸蹄管理

 しかし、実際には、特に装蹄した蹄のクギ穴からジトっと湿った状況になってみたり、そもそも蹄底全体がジトっとなったり、蹄縁に近づくほど、防水性が損なわれているように見える、という事がよくあると思います。こんな感じ。

 こうなる理由として、考えられるのが、「習慣的に行われている蹄壁へのヤスリ掛け」です。装蹄でも削蹄でも、なんとなく蹄壁にヤスリをかけてますけど、あれは何の意味があるのでしょうか? 

 蹄の構造を、より詳しくみてみます。

こんな感じ。「蹄壁」といいますが、そのうち構造上「爪」といえるのは、被覆層と保護層まで、そこから奥の角葉層~指骨は生きた組織です。安易にヤスリ掛けを繰り返すと、被覆層がどんどん削れてしまい、蹄壁が薄くなる。そうすると、防水性も弱くなる・だけでなく、蹄自体の強度が落ちてしまう。

こんな感じ。

 だから、防水性を作るために蹄油、と言いますけど、蹄油で防水性を担保する前にヤスリ掛けをしなければ済む話じゃない、と思っちゃう。

 蹄の強度を保つために装蹄して蹄を保護するんだ、そのためにはヤスリ掛けして蹄の形を整えないといけないから、しょうがない、と言われそうですが、なんでそうまでして蹄鉄を履かせる必要がある?

 そもそも、蹄鉄は、別に保護的な役割を果たせていません。その理由は次回に。


蹄管理の実態3-蹄油1

2019年07月04日 | 裸蹄管理

 蹄に「塗る」製品群の中で、蹄油は最もポピュラーなものなんじゃないかと思います。管理人が乗馬を始めたとき最初に買わされた「お手入れ製品」に蹄油が入っていたし。蹄油を使うもんなのか、という風に刷り込まれちゃったわけですね。犬や猫の爪・人間の爪にも油なんか塗ったことないのに。理由を聞くと「蹄が乾燥するから」だったか?爪面積が広いからかなあ?とテキトーに解釈してました。

  で、思うんですが、いわゆる落鉄。これが起こる理由にはあれこれありそうですけど、蹄油も原因の一つでしょうね。釘が滑って、外れやすくなる。蹄鉄の安定も悪くなるし。蹄底になんか塗ったら危ないですよね。馬自身が滑りやすくなっちゃって。馬がやられている事って矛盾が大きいんですよね。

 そもそも、蹄が「呼吸する」だの、「水分を吸い上げる」だの、というのはすーべーてー真っ赤っかな嘘なんですよ。蹄が「呼吸」だの「吸水」だのしているように見えるのは、結局蹄が痛んでいるから。その原因は後に詳述します。

 とりあえず蹄油の種類を更に分類すると

  1. 特に機能をうたっていないー蹄の柔軟性を保つとか、栄養を与えるとか。
  2. 抗菌作用があるといっている
  3. 防水機能があるといっている
 蹄の柔軟性を保つ、について。そもそも「蹄」の理想的な強度ってどのくらい?その場合、湿度はどうなってるの?なにもまともに研究されてなんかいないんですよ。大体、蹄が柔らくなっちゃったら、自重+人間+鞍という重さに耐えられなくなっちゃうのではないでしょうか?
 栄養というのも変な話で、元来すでに死んだ組織である爪に栄養なんか与えたって、なんの意味もない。
 抗菌作用については、本当に殺菌作用がしっかりあると「動物用薬」とか「医薬部外品」の扱いになる。こうなると、治験を取らなくちゃならなくて、手間暇&莫大なお金がかかる。ので、抗菌といっても、大したものではないと思われるんです。
 で、そういう中途半端な抗菌作用だと、結局「有効」とは言えないとなってしまうのではないか?
 防水ですが、そもそも蹄=爪は防水のはずです、本来。人間の爪について考えてみれば分かるのですが、一日に何回も手洗いをするにも関わらず、皮膚がふやけても爪には変化がありません。防水しなくちゃならないというのが変な話だと思うのです。 

蹄管理の実態2

2019年07月03日 | 裸蹄管理

という事で、前回の

 

を1つずつ検討しようと思います。

蹄の質

 日本に元々いた、道産子等の小さい馬たちは、全く蹄鉄なんかつけずに働いていました。重い荷をしょって山道を歩く場合には、馬わらじというのを履いていたそうで(藁を編んで作った、人用わらじの馬判)すが、これは1時間も履くとダメになってしまうので、そのたびに履き替える、そこで休憩、みたいになってたんじゃないかと思われます。こうした馬の蹄質は堅く、なかなか削蹄しづらいものだそうです。もしかすると、一生削蹄なんぞしないで済んでいたのかもしれません。対して、サラの蹄の柔い事~~。日本の馬の血でも導入すれば?なんて思っちゃいますが、そうするとサラじゃなくなっちゃうし。中間種はどうかというと、まあまあ、という感じ。蹄鉄を履くことが前提になってしまっているしなあ・・・・。

 で、どこもかしこも蹄病だらけなので、なんとかならんか、というオーナーの不安な気持ちに呼応するように、ものすごい数の蹄用品が出ています。今はネットでいくらでも検索できるので、調べてみると大変なことになってしまふ・・・・。しかし、それを大まかに分類すると、3種くらいか。

  1. 蹄に塗ったり、振りかけたりして「外用」するもの。各種蹄油やそれに準じた液体系・粘土系等々。これを更に分類すると
  • 蹄の維持管理目的:蹄油・粘土など
  • 蹄自体の強度を上げる目的で使うもの:ケラテックスフーフハードナー等。
  1. 蹄が綺麗に丈夫に生えてくれないかということで、栄養面からアプローチしようとする、食べさせるサプリメントなど。
  2. 蹄に対する治療目的の外用薬?に準じたもの。トラッシュバスター等。
という感じでしょうか。 

蹄管理の実態1

2019年07月01日 | 裸蹄管理

 蹄鉄を使うかどうか、はさておき、馬の蹄管理はどこも苦労しています。色んな問題が集約されているような感じもします。

 よく言われている(と感じる)のは、ですね。この3つが色々絡まりあって蹄の問題を形成している。、と従来考えられているようですし、これを改善すれば、蹄をうまく管理できるとされてるわけです。

 これ、しかし、困っちゃいますよね。自馬で預託している場合、飼主が介入できるのはせいぜい「栄養」程度。なので、蹄に関する馬のサプリはごまんとあります。当協会でも、半分はやむなく的に(厳選はしておりますが)蹄を改善する目的でサプリや補助飼料を若干ご紹介しておりますが。環境については、クラブでやっていることに異議を差し挟むのはなかなか難しい。クラブオーナーともめると、場合によってはクラブを追い出されちゃう(どうして、自馬飼主の立場が弱いのかは、かなり問題が多いと感じていますが)こともあり得ますし。装蹄師や削蹄師さんの腕前となると、これがまた色々ある。装蹄師(削蹄師)の数は減る傾向が続いていますが、これは、そもそも装蹄の仕事が、典型的な3K(キツイ・汚い・危険)な職業であるという事、女性には向いていない仕事であること(鍛冶仕事なので)、国家資格ではなくなってしまったこと、が理由だと思います。腕前云々以前になかなか来てもらえないし~、となっているクラブや飼主さんは多いんじゃないでしょうか。