PRIMO信号処理研究所 / Synchro PRIMO Lab.

周波数測定、位相差測定に関する新しい数理。
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AD変換器の限界 その3

2016-03-23 10:56:50 | 信号処理

AD変換器の2つの入力を使って位相差を測りたい

さて校正をどうするか。

 AD変換器の2つの入力に信号を加え、2CH間の位相差を測定したのですが、「ゼロアジャスト」に難儀します。つまり、理想的な「ゼロ位相差」信号を加えたとしても、AD変換器内部のアナログ回路でCH間の微妙な機差のため、測定結果の位相差がゼロになりません。比較的状態のよいAD変換器で20~100μrad程度のCH間誤差がありました。

また「2つのCHに『ゼロ位相差』信号を加える」にも注意が必要です。

光の速度(電流の速度も)は秒速30万km. 仮に3kHzの信号で考えると、波長λは100km. もし1mのケーブル長の差があると位相差=62.8 μradとなります。我々の装置では十分に計測できる大きさで無視できません。

 よく考えてみると、「ゼロ位相差 信号源」というのはやっかいで、信号源と測定器の場所が影響してきます。つまり信号発生器から被試験機器の入力端子までの距離やケーブルの特性もあわせておかないといけません。実際のところケーブルの引き回しを変えると測定値がぶれてしまいます。

 位相差測定も、精密になってくると「光速の限界」に縛られるので、簡単ではないのです。

 将来的なチャレンジとして24 bit ADC + Sampling 192 kHz で "ナノ rad"(10億分1)を攻めてみたいと思っています。ここまでくると、もしテスト機材を自動車で移動させると、理論上は「特殊相対性理論による位相おくれ」が出現してくるはずです・・・ 

 

 



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