通常、移民といえばサトウキビ畑やコーヒー農園で働く人々が思い浮かびますよね。
しかしこの本の著者、小川真和子さんは漁民として海を渡った移民に焦点を当てて彼らの生涯を描いています。
漁民としての移民の多くは紀州、長州、瀬戸内の島々,そして沖縄からの人々が多かったようです。
漁師としての技術、船大工としての技量を見込まれて海を渡ったのです。
当時のハワイでは日本のサンパン船が大活躍しました。
狙う魚はほとんどがカツオ。
1907年には松野亀蔵氏がハワイ島ヒロに水産株式会社を設立します。
さらに、ハワイアンツナパッカーズなどが事業を広げ、1917年には日本人の人口が10万人を超えました。
わずか17年で倍増したのです。
しかし、真珠湾攻撃に始まった第二次世界大戦。
その当日に漁に出ていた漁船が被害を受けたことはほとんど語られていませんね。
開戦時には、ハワイの人口42万7千人のうち日本人移民とその子孫が37%を占めていたそうです。
彼らが苦労を重ねて手に入れた漁船はアメリカ軍に没収され、漁民にとってつらい日々が始まりました。
戦時中のことは多くの出版物に記載されているためか、この本では多くは語られていません。
終戦後に返還された漁船は使い物になる代物ではありませんでした。
しかし、日本に帰っても生活の保障はなく、苦しい生活が続きました。
戦後ようやく生活が落ち着いてきても、漁民にとってはかつてのような活気は戻ってきませんでした。
一つにはハワイ近海でのカツオの数が減少したこと。
そして若者が職業として漁民を選択しなくなったことです。
3世、4世は両親の跡を継がなくなりました。
それだけ過酷な職業だと言えるのでしょう。
そうした中、ヒロのスイサンは現在でも元気に続いています。
過去2回の津波にも打ち勝っています。
そんな松野氏の末裔を応援したいですね。
しかし、そうした過去の漁民の歴史を知る移民が高齢化して、著者がこの本を執筆中にも亡くなる方が何人もいらっしゃったそうです。
ぜひ、多くの方に読んでいただきたいなあと思って長々と自分の思いを重ねて書いてきました。
あなたの知らないハワイを感じることができますよ。
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