2022年1月15日に発生したトンガ大規模噴火に際し、被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げます。一日も早く、普段の生活が戻りますことお祈り申し上げます。
土曜日の午後ということもあり油断していたところ、JJ1WTL局より一報あり。火山噴火に伴う衝撃波によるものと思われる気圧変動が日本各地で観測されている。拙宅気象観測点でもそのデータが捉えられているとのこと。aprs.fiには、10分毎のデータをアップロードしていますが、ローカルに記録された1月15日分観測データをプロット(上記グラフ)したところ、15日20:30過頃に、突然2hPaほど気圧が急上昇しているデータが記録されていました(グラフ灰色の線)。日本の太平洋沿岸などで潮位変動が観測され始めた時刻に一致します。
普段、前線や低気圧が通過する際にも、急激な気圧変動を観測することがありますが、通常気圧変動に併せて風向きが急に変わるなどの現象が記録されますが、今回はほぼ無風状態でした(グラフ赤色の線/風向指示がとぎれているのは、無風状態のため)。
上記グラフは翌1月16日の拙宅における観測データ(ローカル記録分をプロットしたもの)です。
JJ1WTL局による、衝撃波到達までの伝搬試算は下記のとおり。
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●ショートパス
噴火13:10→20:30観測 所要7時間20分
A3~JA 8,034km
→1095.5km/h マッハ0.89
●ロングパス
40075-8034=32041km
なので,ざっくり4倍の時間が掛かるはずです.
ちゃんと計算しますと
32041km÷1095.5km/h=29時間15分.
つまり16日の18:25の到達になります.
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16日の観測データを見ると、確かに18:30頃と、19:30頃に、0.5hPaほど気圧上昇した記録が残っています。いずれも風向き等の変化はほとんど無いため、前線等の気象変動によるものではない可能性があります。
地球は球体です。つまり地表のある点から発せられた波は、同心円状に広がり、まず最短距離の方向(ショートパス)から到達します。その後、180度反対側の方向に発せられた波が、地球の裏側を通って逆方向から到達します(ロングパス)。もしこの16日19時前後の気圧変動が、衝撃波ロングパスによる影響であるとするなら、噴火当時に発せられたエネルギーがいかに膨大なものであったことか、想像を絶するレベルです。
JJ1WTL局の試算を応用させていただき、第一波のショートパスがきて、さらに地球をもう一周して到達するとすると、7時間20分+29時間15分=36時間35分後。すなわち、1月17日9時5分頃。17日の観測グラフで丁度9時前後に0.5hPaほどの気圧変動が観測されています。ただ、風向も変わっているので気象条件が変わった可能性もありますが、もしこれも噴火の衝撃波によるものだとすると、あらためて自然の力のすごさを感じます。直径数百メートルの天体が地球へ衝突したら、もっと大きなインパクトがあることでしょう。数年以内に、地球と月の間に飛来する小惑星もあるようですが。。
海面潮位変動(津波)と気圧との関係が議論されていますが、2011年3月11日、東日本大震災当日の拙宅気象観測データをプロットしてみました。地震が発生したのは14時46分。15時過ぎに若干の気圧変動が見受けられますが、これらが逆に津波によってもたらされた変化かどうかはわかりません。
もし、これらアマチュアによるつたない気象観測データが、今後起こりうる災害の予測に、幾ばくなりとも寄与できれば幸いです。
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JH0KSP局からいただいたコメントにございました、木曽御嶽山噴火当日(2014/09/27)のデータを追加掲載させていただきます。(詳細は下記コメントをご参照ください)
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by taniyan
2014年の御嶽山の噴火の時にどうであったか、調べてみたかったのですが、悲しいことにログをバックアップとる前に観測PCのHDDがクラッシュしてしまい失われてありません。
2011年の東日本大震災より、顕著なデータが取れませんか?(他力本願)
※御嶽山は 2014/09/27 11:52 に噴火とされています
データ取得ありがとうございます。
「パイアール2乗」に反比例するような伝搬だと御嶽山の方が超近距離ゆえズゴい出方してたのではと妄想しましたが、そうではなかったのですね。
っつか、トンガ火山は比べものにならない相当大きな噴火エネルギーだったということですねぇ。