7月11日、Willcomから、ウルトラモバイルPCこと「Willcom D4」がついに発売されました。前記事のとおり、おもわず「ぽちっと」してしまった結果、発売初日に早速到着。2週間ちょっと使ってみましたので、この辺で簡単にレポートさせていただきます。
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HP200LX以来のモバイル歴代機種に比べ、キーボード搭載機種としては決して小さな方ではないが、この図体にWindowsVista搭載、しかも1280x600ドットタッチパネルディスプレイ。がんばればブラインドタッチも不可能ではない(?)かもしれないサイズのキーボードなど、いままでに経験した機種と比べても、とても特徴的なマシンであることは間違いない。先代(というか、これからもスマートフォンとして併用することになりそうな)W-Zero3[es](写真右側)と比べても、かなり大型。初代W-Zero3と同格であろうWindowsCE機Jornada(写真左側)と比べれても、その大きさがおわかりいただけるだろう。ただし、写真は、LCDを開き、さらにチルトした状態なので、全部閉じればもう少し小さく見える、、、でも二回りは大きいかな。
大きさもさることながら、重さも結構ずっしり。今回「おまけ」で無償提供された大容量バッテリを付けると、さすがに普段身につけて歩く重さではなくなる。(標準バッテリでも十分重いけど。。)サイズ的にもポケットに入れるのは厳しいので、専用のウエストポーチが必要になりそうだ。かなりの重装備になる覚悟が必要である。
しかし、PHS通信端末だと思うから、大きい、重いと感じるのであって、商品ラインアップどおり、ラップトップ代わりの「ウルトラモバイルPC」だと思えば、なかなか使い道がある。(W社は、「スマートフォン」とは一言もいっていない) 一番気に入っているモードが、「ごろねPCモード」。ラップトップでは絶対できない技の一つとして、ソファーや布団に寝転がりながら、雑誌を読むようにD4を持ち上げてメールチェックやネットサーフィンができる。ずぼらなユーザにはもってこいである。
さらに意外なことに、D4導入以来、自宅ディスクトップメインマシンの電源が入る時間が激減している。私にとって、D4があれば、いままでディスクトップマシンでおこなっていた仕事の7,8割は片付いてしまうことがわかった。Blog投稿のような長文作成、画像編集などの細かい仕事以外は、ほとんどD4で十分である。特に、信州でも35度を超えるここ数日の猛暑の中、まるで温風暖房機のようなデスクトップPCの電源を入れなくてすむ、というのは、CO2削減の見地でも非常にありがたい。しかもD4なら、屋上で星空を見ながらネットサーフィンしたり、ワンカップ片手に夕涼みしながらワンセグを楽しんだりと、自宅敷地内でも、ウルトラモバイルPCの本領を十分発揮してくれる。これは私にとって、モバイルPCの全く新しい使い方である。
そうはいっても、せっかくのモバイルPCを自宅で使っていたのでは宝の持ち腐れ。ということで、お約束の「電車deモバイル」モードでフィールドテスト実施。そうなると必須アイテムは「GPSレシーバ」+カシミール3D。今回D4専用にIODATAから「UMGPS」が発売され、こちらも速攻ゲット。ところが間抜けなことに、「大容量バッテリ」を装着するとUMGPSは取り付けられない:(。 大容量バッテリを装着した状態で使おうとすると、ケーブルタイプ、またはフレキシブルタイプのUSBアダプタを別途購入する必要がある。ま、標準バッテリにして仕様どおりに取り付けた場合でも、おなかの下に潜らせてとりつけるのだが、決して収まりがよいとは言い難い。写真のように、フレキシブルタイプのUSBアダプタを使って、たてて使えば、受信感度も上がりそうだし、テーブルにおいても邪魔にならない。また、キーボード操作にも意外と邪魔にならない。どうしても邪魔なときは、(昔の)タクシーメータのように、右横に倒せばよい。
UMGPSは、仕様にGPSエンジンが明記されていないが、どうやら従来機で使っていたサーフ社製ではなさそうである。試しに、トンネル区間が多く、かつ300km/h運転をおこなっている山陽新幹線で、サーフ社エンジンを使ったGPSレシーバと感度や測位復活時間を比べてみたが、残念ながらサーフ社エンジン機より、若干受信性能が劣っているようである。結局、UMGPSにしても取り付けに難があるので、アドエス等用に発売されているUSBGPS2/WSのほうが、D4用GPSとしてはよい選択かもしれない。ちなみに、UMGPSは、「D4」専用とのことだが、XPマシンやW-Zero3[es]では認識せず、GPSとしては使用できなかった。デバイスドライバが提供されれば使えるようになると期待しているが、現状、やはり従来のUSBGPS2/WPがおすすめである。
モバイル運用のもう一つの例として、アマチュア無線局の野営移動無線運用での使用例をレポートする。目的は無線業務日誌(ソフトロギング)と、パケットクラスタのモニタ。衛星通信の際は、これに衛星軌道計算ソフトが加わる。画面が横長なので、ログソフトのウインドウサイズや配置を若干工夫する必要があるが、画面的には不自由はない。自動車のハンドルに引っかけて使う小さなテーブルにもしっかり収まり、移動運用にはもってこいである。HF帯~50MHz帯には、目立ったRFノイズも無し。
残念な点としては、「MIC」入力端子が無いこと。サウンドカードを使ったデジタル通信などをおこなうときは、USBタイプの外付けサウンドアダプタが必要になる。PHS音声通話用のアダプタを改造すれば使えるのかもしれないが、本体のオーディオ出力には、若干ノイズが乗っているので、外付けアダプタの方が無難であろう。
さらにもう一つ致命的な欠点を発見。なんとD4には「INS」キーが無い!!!。ファンクションキーなどは「Fn」キーとの同時押しでなんとかなるのだが、「INS」は仕様として完全に省略されているとのこと。どうしても使いたければ、スクリーンキーボード(「スタート」→「アクセサリ」→「コンピュータの簡単操作」)を立ち上げて使うしかない。仕方がないのでスクリーンキーボードをクイック起動に登録して対応する。これは、物理キーボードに依存するユーザにとって、重大なデメリットである。
もう一つ難点としてあげるなら、電源入力電圧(ACアダプタ出力)がDC11Vであること。LibrettoL1では入力DC15V仕様に対して、そのまま無線機用の13.8Vを突っ込み、問題なく動作していたが、さすがに定格オーバーはまずかろう。12Vシールドバッテリなどからは、シリコンダイオード1本(またはそのままぎりぎり)でいける?!。野営無線運用時、発々運転時はよいが、24Vバッテリ運用時はDCDCアダプタを作らないとならない。とりあえず、2.5Aも引けるデコデコ作るの面倒なので^^;、自動車用DCアダプタ発売してくれないかなぁ。
その他雑感を少々。過去の経験から、モバイル機のアキレス腱ともいえる外部機器との接続コネクタ。D4もかなり小型のものが多数使われており、強度、耐久性などが心配である。まだ購入していないが、クレードルと接続する場合は、本体手前中央にあるUSBコネクタ左側の専用コネクタのカバーを外して装着するようだ。このカバーは取り外しができるが、それ以外の防塵(防水?)カバーは、すべてひもつきで本体に残される。これもいつかは切れてなくなってしまうのだろうか。。(W-Zero3[es]は、2年にしてまだかろうじてくっついている)
もし万が一、D4単体で、PHS音声端末として「も」利用しようと考えている人がいたら、十分冷静になって検討する必要があるだろう。もちろんWillcomさんが発売する端末であるから、機能的には音声通話、メールなど、すべてD4単体で可能である。(音声通話する場合は、付属のイヤホンマイクを取り付ける必要がある) 電話機として使おうとしたときに一番問題になるのが、「待ち受け時間」である。PHS音声電話を速攻着信応答する場合は、D4を起動しておかなければならない。つまりVistaを起動しておく必要がある。そうなると稼働時間は、標準バッテリーで1.5時間。自宅ならよいが、モバイル運用時には音声電話機としての機動性を期待するのは難しい。ただし、Vistaを休止モード(HDDへメインメモリを書き込んで待機)、またはスリープモード(メインメモリを生かしたまま待機)にしておけば、PHSの音声着信履歴は残るし、Pメールや電子メール(pdxドメインのみ)は自動受信してくれる。(勝手に待機モードから復帰して受信してくれるため、電池残量が少ないときはあぶない) 音声着信に応答するためには、慌てて待機状態から復活すればよいが、それまで相手が待っていてくれるかどうか。休止、またはスリープ状態では、電話をかけてきた相手には、呼び出し音が鳴り続けることになるので、「20回以上まってくれ」といっておけば音声着信も不可能ではない、かもしれない。。
私としては、もしD4本体にPHS通話用スピーカ&マイクがついていれば、意地になって電話機として使ったかもしれないが、ここは無理せず、W-Zero3[es]と併用することに。W-SIMは両方の機材差し替えて交互に使える。ところがやっかいなことに、差し替えをおこなうたびに「オンラインサインアップ」が要求される。SIMと電話機の情報を同期するときのセキュリティ対応だとは思うが、結構面倒くさい。ま、最近はほとんど[es]にさしっぱなしなので、ま、よしとするか。
あと、料金プランとしては、D4への変更を機に「新つなぎ放題」+「話し放題」オプション(合計4860円/月)に変更。従来の「ウイルコム定額プラン」+「リアルインターネット」オプション(合計5000円/月)より140円安い上に、x4パケットまで使い放題になる(従来はx2まで)ので、これはおすすめ。ただし、2年間の年間契約が必要なので注意が必要。あと、家族で複数台契約していれば、「新つなぎ放題」と「ウイルコム定額プラン」との組み合わせでも、別回線の「ウイルコム定額プラン」には「ファミリーパック」割引が適用される。
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そんなこんなで、総括評価としては、ちょっとお値段が高かったけど、ま、非常におもしろいおもちゃを手に入れたと満足しています。(でも、まともなラップトップ買った方がよかったかなぁ、と若干の後悔も^^;) あとはモバイル用の強化バッテリや自動車用DCDCの製作、周辺IO機器の強化をすすめ、またおもしろいネタがでてきましたらレポートさせていただきます。とりあえず、休止状態が続いている拙作「NAS」の復活へのきっかけになるかかどうかは、、、。
by taniyan
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