taniyan's LogBook

アマチュア無線&鉄道旅行のログブック by taniyan / JH0HYX

ユーロスター乗車報告

2007-12-17 20:34:00 | 鉄道

 taniyan's Logbook初、海外からの鉄道業務報告を、クリスマスムード全開の欧州よりおおくりします。11月14日に、英国内高速線HS1/High Speed 1(CTRL/Channel Tunnel Rail Link)が全通し、いよいよ全線高速運転が可能となった英仏海峡横断特急ユーロスターに早速乗車してきました。なぜこんなグッドタイミングで欧州出張、しかも英国&ベルギーという、まるで神のお告げのような組み合わせが降ってわいたのか、というつっこみについては、引き続き却下させていただきます^^;)

 

 ユーロスター路線のうち、唯一開業が遅れていた英国内の専用高速線、HS1が全線開業したことにより、ユーロスターのロンドン側始発駅は、従来のWaterloo(ウォータールー)駅からSt. Pancras(セントパンクラス)駅(写真)へ変更されました。しかしまるでどこぞの教会のような、とても駅とは思えない立派な建物です。St. Pancras駅は、すぐ隣にあるKing's Cross駅とつながっています。北部スコットランド方面へ向かう列車のターミナル駅、というより、ハリーポッターで有名になった駅といった方がなじみの人が多いかも。噂の9 3/4番線は見に行く時間がなかったですけど、どうやらすでに観光名所化されているとのうわさです。なお、これら両駅に接続する地下鉄の駅名は、「King's Cross St. Pancras(キングスクロスセントパンクラス駅)」なので、「S」の頭文字で探しても出てこないのでご注意を。ここはピカデリー線、ビクトリア線はじめ、6つの地下鉄路線も乗り入れている、ロンドン最大の交通の要衝です。

 

 セントパンクラス駅のコンコース、在来線の駅舎外観からは想像もできない、近代的でとてもきれいなつくりです。写真左上にはユーロスターちゃんがとまっているはずなのですが、残念ながらこの位置からは見えません。はやる気持ちを抑え、現地スタッフが予約してくれたチケットをカウンターで発券してもらい、自動改札機のようなゲートをくぐるといよいよ出国審査です。

 

 さすがにユーロスター、セキュリティー検査が厳重です。飛行機と同じように、手荷物のX線検査、金属探知機の検査を受けます。ただし、液体については持ち込み制限はありませんでした。(宴会列車ユーロスタースペシャル用に購入したワインも無事持ち込めました^^)セキュリティー検査の後は英国の出国審査。数メートル後には引き続いてフランスの入国審査があります。今回は、ロンドン→ブリュッセル(ベルギー)便へ乗車しますが、大陸で先に入国するフランスの入国審査を受けます。ちなみに、パスポートへ押されるEUの入出国スタンプ、飛行機で入国すると、スタンプ右上に「飛行機」の絵がついているやつがおされますが、ユーロスターの場合、「汽車」の絵がついたスタンプを押してくれます。ユーロスターではなく「SL」なところが泣かせます。ちなみに、ユーロトンネルを自分の車ごと運んでくれる貨物列車で越えると、ここには「車」の絵が書いたスタンプをおしてくれるそうな。

 

 今回乗車したのは、セントパンクラス16:35発→ブリュッセル19:26着(時差+1時間)、ノンストップ9146便。HS1全通によりロンドン-パリ、ロンドン-ブリュッセルとも約20分短縮され、パリ便最速2時間15分、ブリュッセル便最速1時間51分。これなら飛行機より便利です。ユーロスターは出発30分前にならないとホームまで入れてもらえません。そうはいってもそれだけあれば写真撮影には十分。全席指定席ですが、ブリュッセル便はパリ便に比べて空いていることが多いらしく、今回も乗車率は30%程度。

 

 ブリュッセル/パリ側の先頭機関車は3213形。(本記事トップ写真)イギリス→ベルギー運用なのに、フランス所属の編成でした。ロンドン方機関車は、、、指定車両が15号車だったので、20両向こう側まで見に行く元気がありませんでした^^;)機関車が両端に2両、客車が18両。まさに、さ~すがヨーロッパ(by水野氏)です。しかしこの方向幕、元祖液晶表示でコントラストが甘く、とっても見にくいです。近々導入されるという噂の日立製ユーロスターは高輝度フルカラーLEDになるのかな?でも、ヨーロッパの雰囲気にはこの液晶の方があうかもしれないです。。

 

 車内は英国仕様で少し小降り、日本の在来線と同じくらいの感覚です。シートは完全固定式。リクライニングはおろか、進行方向への回転もできない、0系新幹線方式。車両の中央を境に、それぞれ中央を向いているタイプです。今回は15号車21番だったので、幸い進行方向右窓側。H氏おすすめのベストポジション、、、だったのですが、なんとピラーにじゃまされ、実質「壁側席」・・・。ちなみに、ロンドン側先頭1号車、ロンドン側左手奥が1番窓側、2番通路側、右手3番通路側、4番窓側の順に繰り返し付番され、中央の41・42-43・44および45・46-47・48席(ここはテーブル付4人掛け席)を境に、前後分かれて固定されていました。(全車両確認したわけではないので注意)いずれにしてもロンドン発は30番台以下、ロンドン着は50番台以上をとれば進行方向向きの席がとれそうです。窓側席は、1+4n番および4+4n番(n≧0)。ちなみに今回の業務で調査すべき最大のポイント、「ユーロスターはどっち側通行?」の答えがわかりました。英国、フランス、ベルギーすべての場所で「左側通行」でした(リール-パリ間は未確認)。フランス国内TGVは右側通行なので、もしかしたら英仏トンネル内でクロスしているのかなど、あれこれ悩んで夜も眠れない状況だったのですが、これで解決。車両はTGVベースのようですが、左右通行はフランスが折れた形になったようです。なお、地下鉄の電車をどこから入れたか、という命題については、某漫才師とともに引き続き調査を続けたいと思います;-p。

 

 キャビンからデッキへ出るドアは半自動。このノブを右(左)に軽く回すとドアが開いてくれます。欧州では乗降ドア開閉などによく使われている方法ではありますが、最初わからずに一瞬焦ってしまいました。10号車には売店と簡単なバーがありますが、スピードアップによりビュッフェの利用シーンも限られてくるかもしれないですね。売店のお兄ちゃんが、メニューを配って歩いていました。今回は商用ということで2等車でしたので自席でのミールサービスは受けられませんでしたが、乗り心地はまずまず。ジョイント音こそありませんが、集中動力式特有の静かな運転音や緩やかな加速を楽しみつつ、無事ベルギーブリュッセルへ到着。真冬のヨーロッパは日没も早く、残念ながらトンネルIN/OUTや、途中車窓はほとんど楽しめませんでしたが、ユーロスター同士、「ヒュンヒュンヒュン!」と2,3秒ですれ違う音などから、時速300km/hの走行であることは十分感じ取れました。なお、フランス→ベルギーはパスポートコントロールは無し。Bruxelles Midi駅到着後も、ノーチェックで外まで出られます。

 

 無事ベルギーでのおつとめを終え、翌日ベルギー空港まで現地の人に送ってもらいました。(どうせなら南駅まで送ってくれればいいのに。。)空港駅からブリュッセルミディ(南)駅まではベルギー国鉄で移動。所要時間は約20分。やはり英国内とは雰囲気が違います。太っ腹なことに、ユーロスターのブリュッセル南駅発チケットを持っていると、ベルギー国内どこからでも、ブリュッセル南駅までただで乗ることができます。(ただしICE、Thalysはだめです)到着時も同様に、ベルギー国内ならどこまででも、ユーロスターベルギー南駅着の切符でいけます。空港駅を出てすぐに車内検札がきました。チケット持ってないと罰金とられるようですのでお気をつけください。ブリュッセル国際空港(Brussel Nationaal Luchthaven)からブリュッセル南駅(Brussel Zuid/Bruxelles Midi)駅までは、別にチケットを買っても2.8ユーロでいけます。

 

 ブリュッセル南駅入り口には、Brussel Zuid、Bruxelles Midi、双方の記述がありますが、在来線ホームには、場所によってはBrussel Zuidだけだったり、またユーロスターホームにはBruxelles Midiだけだったりと、場所によってかかれている言語が違いあせります。在来線で移動する場合など、Bruxelles Midi = Brussel Zuidであること、チェックしていった方がよいでしょう。空港からベルギー南駅に向かう途中には、北駅、中央駅などがありますので、必ず現地語名称でチェックしておきましょう。

 

 Brussel Zuid在来線ホームには、いましたいました、フランス国鉄のプライドをかけたTGVちゃん。320km/h運転で世界最速単独一位の座を取り戻し、さらにJR東の追撃を振り切るべく、360km/h運転を計画中の、まさに弾丸列車。今年4月に実施された高速運転試験で樹立した、非浮上式鉄道の世界最高速度記録574.8km/hは、日本のリニアモーターカー開発プロジェクトに、とうとうとどめをさしてしまったといわざるを得ないでしょう。かつてライバルだったJR西500系がこだま降格になる話を知ったら、悲しんでくれるかな。

 

 ブリュッセルからの帰りは、Bruxelles Midi 16:05発→London St. Pancras 17:03着(時差-1h)9145列車。途中Ebbsfleetに停車しますが、所要時間1時間58分。ベルギー方機関車は3012形、英国所属編成です。イギリス方は3011形でした。ちなみに3000番台が英国所属、3100番台がベルギー所属、3200番台がフランス所属。ユーロスターはこれら三国の異なる架線電圧や信号方式に対応し、三国共同で開発したそうです。ベルギーからの出国時も、手荷物検査の後、出国審査に続いて英国の入国審査が行われます。英国入国カードはここでも必要になりますので事前に準備しておくとよいでしょう。手荷物検査では、ベルギー側でも液体(アルコール)持ち込みOKです^^;)。

 

 欧州の主要な高速鉄道にみられる連接台車。ユーロスターも連接台車構造になっています。連結部分の巨大なエアサスがとっても印象的。連接台車は、小田急などが採用していますが、日本では線形が悪くカーブが多い区間でも高速走行できるように、という理由で採用されているようですが、ユーロスターなどでは集中動力式のため、客車部分のトラクションロスを減らすために、という理由で採用されているようです。

 

 ただし、機関車と客車の連結部分と、客車中央部(9号車と10号車の連結部分)は通常の台車構造になっています。これはトンネル内での事故など、緊急時に切り離して逃げることができるようにするためとか。アナウンスが聞き取れなかったら置き去り?!。そういえば車内アナウンス、英国内では英語を先に、ベルギー側では(たぶん)フランス語を先に、最後に(たぶん)ドイツ語でアナウンスしていました。

 

 最後におまけ、ロンドン市内の鉄道業務報告を少し。これはおなじみロンドン地下鉄、ピカデリー線。「TUBE」の愛称どおり、トンネルも車両もまん丸、チューブそのものです。そういえばロンドン地下鉄にも「Oyster Card」と呼ばれる「Suica」みたいなプリペイドNFCカードが導入されていました。地下鉄ZONE1内は4ポンド。インフレヨーロッパの余波を受け、今のレートだと初乗りが約1000円とベラボーな料金になりますが、このオイスターカードを使えば平日昼間は1.5ポンドで乗れます。デポジットは3ポンドなのですぐにもとがとれそうです。長時間並んだあげく、おつりのでない自動販売機で切符を買うことを思えば非常によい選択だと思います。詳細は、ロンドン交通局のサイトでご確認あれ。

 

 地下鉄車内はとってもきれい、10年前に乗ったときに比べ、いすもリニューアルされているような気がします。しかし、背の高い英国人にはすこし低い天井と独特の曲がったドアはそのまま。この曲線は500系のぞみの比ではありません。運転が荒っぽいのは昔のままだし・・。

 

 ピカデリー線から環状(Circle)線へSouth Kensington駅で乗り換え。Circle線とDistrict線は同じホームを共用して発着しています。気をつけないと有楽町線池袋駅状態になりそう^^;)今回はCircle線経由でPaddingtonへ。第3軌条独特の、ポイント通過時の停電。これもロンドンらしくてよいですね^^;)。

 

 ついに、今回の欧州鉄道業務最終ランナー「Heathrow express」。ロンドンパディントンからヒースロー空港までノンストップ、わずか15分で結びます。ピカデリー線で行くと1時間以上かかりますので、多少地下鉄を乗り継いでも、こちらの方が便利でしょう。片道15.5ポンド、地下鉄よりはかなり割高ですが楽ちんです。座席指定はなく、駅ホームにある切符売り場でさくっと切符買ってのるだけです。

 

 パディントン駅ではメジャーどころが顔を連ねていますが、なんとホームにはいるところに自動改札が。切符を持っていないと特急ホームに入れない上野駅状態ですか。以前はなかったと思ったのですが。。。ヒースローエクスプレスのホーム(ここは切符無しでも入れる)から、遙か向こうにFirst Great Westernの動力分散タイプのDCと、軽快なディーゼルエンジン音を奏でるIC125とおぼしき姿を見かけるも、列車発車まであと3分。ヒースローエクスプレスは15分おきに運転されているのだからもう一本見送ればよかったのだけど、つい反射的に乗ってしまいました、、、失敗。そんなこんなで、トラブルもなく無事ユーロスター乗車業務を終了することができました。

 

by taniyan

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