北朝鮮、現在所有するミサイルで米本土を壊滅的打撃 EMP攻撃を検討
<3日午後に6度目の核実験を行った北朝鮮。アメリカ本土を射程に入れる核ミサイルの開発を本格化させるなか、北朝鮮の
労働新聞は核実験の成果を報じる記事でEMP攻撃が可能だと言及した。米国が恐れるEMP攻撃とは──>
北朝鮮が3日午後、「水爆実験」に成功したと報じた朝鮮労働党の機関紙・労働新聞のニュースは次のようなことも触れていた。
「核兵器の威力を攻撃対象によって数十〜数百キロトン級に至るまで任意に調整できる我々の水素爆弾は巨大な殺傷破壊力
を発揮するだけでなく、戦略的目的によって高空で爆発させ、広範囲の地域について強力なEMP攻撃まで加えることのできる
多機能化された核兵器だ」
さらに北朝鮮は、4日の労働新聞でもEMP攻撃について取り上げた。北朝鮮の理工系でもっとも優れた大学といわれる金策工業
総合大学のキム・ソンウォン学部長による「核兵器のEMP威力」と題した解説記事を掲載。2日続けて取り上げたことで、対外的に
EMP攻撃の可能性を示唆したものと見られている。
EMP(=electromagnetic pulse)攻撃は、核弾頭を地上ではなく、数十キロメートルの上空で爆発させたときに発生する非常に
強力な電磁波を利用して、地上の各種電子機器を破壊させたり誤作動を発生させることをいう。落雷で電気製品が壊れることと同じ
現象を人為的に、しかも広範囲にわたって引き起こすことができるため、アメリカをはじめとした軍事大国が密かに研究をしている
とも言われている。
北朝鮮のEMP攻撃への関心については、韓国軍関係者も注目している。中央日報などの韓国メディアによれば、軍関係者は
「北朝鮮の機関紙で2日連続でEMPについて報道したのはただ事ではない」「北朝鮮がEMP攻撃に関心を持っているようだ」と話している。
2015年、韓国技術研究所は100キロトンの核爆弾をソウル上空100キロ上空で爆発させると、朝鮮半島と周辺国のすべての
電子機器を破壊しかねないという分析結果を発表した。グォン・ヨンス元国防大学教授は「高度を60〜70キロに下げれば、
朝鮮半島の南側、つまり韓国のどこでもEMP効果を作ることができる」と話している。
グォン元教授によれば、北朝鮮がアメリカを攻撃する場合、高度400キロ上空で核爆弾を爆発させると全米にEMPの効果を与える
ことが可能だという。
もはや技術的にEMP攻撃は可能?
北朝鮮がここにきてEMP攻撃について対外的にアピールしている理由は何か? それは対立するアメリカに向けてEMPによる
攻撃が既に可能だということだ。
北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)と主張する「火星14」「火星13」がアメリカ本土を攻撃可能なのかどうかで常に問題になるの
が、大気圏再突入技術が確率されているかどうかだ。だが、EMP攻撃には大気圏再突入の必要はない。むしろ高度が高い方が
影響を広範囲に与えられるということから、現在の北朝鮮にとってすぐに対応可能な攻撃手段といえる。
EMPに対する防衛技術としては情報・通信機器に電磁波防護を施し、バックアップ体制を行う必要がある。
アメリカでは国防総省菜度がEMPに対する防御技術を開発している。また、韓国国内では、近年建てられた軍合同参謀本部庁舎と、
有事の際に大統領が指揮する南泰嶺(ナムテリョン)のシェルター、鶏龍(ケリョン)大学など一部の施設だけにEMP対策が行われ
ているだけだ。
今後、金正恩がトランプとの対決姿勢を強めていく際に、EMP攻撃はもっとも素早く、強力な攻撃手段として使われるかもしれない──。