米ヒューストンの被害
2017年08月28日 BBC
米南部テキサス州に25日に上陸した大型ハリケーン「ハービー」は27日までに熱帯性低気圧に変化したものの、全米第4の都市、ヒューストン各地が
大雨によって大人の胸の高さまで冠水した。
一部の道路は川と化した。写真は、隣人女性を舟で救出し避難誘導するリバーオークス地区の男性
米国立気象局によると、ヒューストン市内では集中的に640ミリの雨が降った地区もある。今後さらに300-640ミリの降水が予想されている。
写真はヒューストン中心部
救助要請に対応しきれない救急当局は、住民に高台や屋根の上に避難するよう呼びかけている。ただし、必要な場合には
救急ヘリコプターが救出できるよう、屋根裏には行かないようにと。市内を流れるバッファローバイユー川の増水が続くなか、
近くのマンションに住む女性(写真)は冠水した1階の様子を見下ろしていた(27日)
ヒューストン市は避難所として多数のコミュニティーセンターを開放したが、市長は生命への危険がない場合は自宅に留まり、
救助隊を呼ばないよう呼びかけている。写真はヒューストン中心部(27日)
洪水によって市内のほとんどすべての主要道路は封鎖された。地元メディアによると、170の道路が冠水した。
写真は、ヒューストン北部の州間高速道路45を南に向かって通過するトラック。電光掲示板は、道路封鎖を警告している(27日)
大洪水の米ヒューストン、復旧する時間もなく「ハービー」再上陸の可能性。住民救助急ぐ
2017年08月29日 06:26 AFP
【8月29日 AFP】大型ハリケーン「ハービー(Harvey)」が直撃した米南部テキサス(Texas)州にある同国第4の都市ヒューストン
(Houston)とその周辺では28日、数百人規模の住民が冠水した街に取り残されている。ハービーは今後再上陸する可能性があり、
救助隊員らはボートやトラック、ヘリコプターを出動させ、救出活動を急いだ。
シルベスター・ターナー(Sylvester Turner)ヒューストン市長によると、これまでに被災者2000人以上が救出され避難所に
搬送されており、その数はさらに増える見通し。
緊急通報窓口に寄せられた電話は5万6000件を超えた。市当局者らは生命を脅かす大洪水に直面している住民らに対し、
電話を切らず、必ず救助が来ると信じるよう呼び掛けている。
ハービーは25日、カテゴリー4まで勢力を増してメキシコ湾岸(Gulf Coast)からテキサス州に上陸。沿岸の家屋や事業所を
損壊させた後、内陸部に約340億立方メートルの雨を降らせた。気象専門家らは、この降水量は「前代未聞」だとしている。
テキサス州の小川の多い低湿地帯と沿岸部の草原地帯はたちまち冠水したが、最大の被害が出たのは、水はけが悪い都市部
だった。幹線道路は冠水し、通りという通りで家屋が次々と居住不可能となり、停電が発生、ダムからは水があふれた。
米陸軍工兵隊(USACE)は28日、同隊が「1000年に1度の洪水」と呼ぶ水害の圧力にさらされているアディックスダム
(Addicks Dam)とバーカーダム(Barker Dam)に出動。ヒューストン郊外一帯への大規模な被害を防ぐため、
両ダムで段階的に放流を始めた。
今回のハリケーンではすでに3人の死亡が確認されているが、死者数は今後増える可能性が高い。ハービーは上陸後に勢力を
弱めて熱帯低気圧となったが、進路を変えた後、メキシコ湾岸にとどまって湿気を吸収し続けており、30日には再び上陸する恐れが
あることから、事態の収束はまだ先になりそうだ。
テキサス州がさらなる被害に備える中、大統領に就任して初めて大規模な自然災害に直面したドナルド・トランプ(Donald Trump)
氏は28日、隣接するルイジアナ(Louisiana)州での被害に備えて非常事態宣言を出し、連邦予算からの拠出を可能にした。
大統領は29日に被災地入りする予定。