キリスト教弾圧強める中国
2018/9/21(金) ViewPoint
中国では非公認宗教への弾圧が強化され、キリスト教でも中国政府が認めるカトリック以外は認めず、
イスラム教や仏教の主要団体も当局の締め付けが厳しくなっている。バチカンと中国政府が長年対立してきた
司教任命の主導権問題が収束に向かう一方、公教育の場である学校、教育界でも国際的に認められるべき
信教の自由が脅かされている。
福音派を強制捜査。日曜学校禁止、無宗教化迫る
キリスト教徒の割合が多い河南省、浙江省、北京、安徽省、江西省では、今年に入り、地下教会の弾圧事件が
相次いでいる。
米政府系メディア・自由アジア放送によると、河南省鄭州市では14日、市内の中華福音団契中興教会に
市宗教担当者や警官ら100人が施錠した玄関を強行突破して強制捜査に入り、集会所内を破壊して聖書や讃美歌本、
献金箱などを没収した。
8日に最初の捜査が入り、宗教活動が許可されていない場所で違法な宗教活動をしたとの理由で取り締まったが、
内部を激しく破壊した。
中国の憲法には「公民は宗教信仰の自由を持つ」と認められているが、共産党の指導に従わない宗教組織は
邪教とされ、当局に弾圧される。教育と年少者の保護に関する規則(未成年人保護法、児童権利公約)では、
未成年者への宗教教育は禁止されている。
中国河南省鄭州市で14日、市内の中華福音団契中興教会に市宗教担当者や警官ら100人が強制捜査に入った=中国内のウェブサイトから
これらの規則を盾に、浙江省温州では昨年からキリスト教会の日曜学校が当局により禁止され、信徒らは
教会ではなく、個人宅や託児サービスという形で日曜以外に日曜学校を行う地下教会の形に変わっている。
浙江省温州市平陽県にある平陽県第二中学では、学校側が生徒の基本情報書類を登記する際、宗教信仰欄に
「キリスト教」と表記させないようにするため、教師が何度も学生と面談し、「無宗教」と書くことを強制する
信仰の自由を奪う事件が発生した。
「中国のエルサレム」とも呼ばれる浙江省温州市は、キリスト教徒が非常に多いことで知られる。
温州キリスト教龍港天恩堂の声明によると、平陽県第二中学の全校生徒約200人のすべてがキリスト教の
信仰を持っていて、書類に「キリスト教」と記入する学生は最初は全員だった。
が、教師との面談で「信仰をキリスト教と記入すれば将来、良い大学に入ることも、良い就職もできなくなるし、
両親の仕事にも影響する。無宗教と記すことが一番無難」と脅され、棄教を迫ることで2回目は100人、
3回目は数十人となり、最終的には1人だけになったという。
中国では浙江省トップの党委書記を経験(2002~07年)した習近平氏が総書記に就任した14年から
非公認教会を壊し、十字架を引き下ろす政府キャンペーンが始まり、露骨な宗教弾圧が本格化している。
党トップが浙江省でキリスト教信徒の政財界人の影響力が脅威であることを経験している反映でもあり、
教会への弾圧は一層強まることになる。
中国共産党機関紙・人民日報系の「環球時報」(英語版)18日付は、バチカンの代表団が今月末に訪中し、
バチカンと中国政府が長年対立している司教任命の主導権をめぐり、合意する可能性があると伝えた。
中国社会科学院世界宗教研究所の王美秀研究員が明らかにした。バチカンは各国各教区で赴任する司教の任命権は
ローマ法王にあるとの原則を貫いているが、中国政府は「内政干渉」と反発。公認団体として「中国天主教愛国会」を
創設し、教区責任者である司教を法王の任命承認を無視して選出するなど、長年対立してきた。
月末の協議での合意に向け、バチカンが中国天主教愛国会の独自任命する7人の司教を認め、中国側はバチカンが
任命する広東省と福建省の司教2人と黒竜江省チチハルの非公認司教を受け入れる交換条件が整い、
双方とも「原則的に争議はない」としている。
ただ、今年3月にも月内合意が濃厚との情報を同紙が報じながらも合意されておらず、地下教会への弾圧も
エスカレートしており、中国側はバチカンの台湾断交への口火にしたい構えだが、難航も予想される。
<中共のキリスト教弾圧>: 聖書を燃やす、教会取り壊し、信仰放棄強要…中国当局による宗教弾圧厳しさ増す / 牧師300人異例の声明 中国当局のキリスト教弾圧を批判