与正氏には食事接待4回、ペンス氏には1回、安倍氏は0回
2018年02月13日07時13分 中央日報
平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック(五輪)開幕を祝うために韓国を訪れた各国の首脳級要人が予定された日程をほぼ終えて
「平昌首脳外交戦」第1ラウンドが終了した。だが、韓国政府が金与正(キム・ヨジョン)北朝鮮労働党中央委第1部部長を国賓級で
最大のもてなしをする一方、米国のマイク・ペンス副大統領や日本の安倍晋三首相ら主要国の最高級要人に対する配慮はおろそかに
したという指摘が出ている。
◆北には大統領・首相・長官・室長が対応
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、韓国に2泊3日(9~11日)滞在した金与正氏と4回も会った。開会式出席(9日)、
会談および昼食会(10日午前11時~午後1時46分)、女子アイスホッケー合同チーム競技の観覧(10日午後9時10分~
11時10分)、三池淵(サムジヨン)管弦楽団公演観覧(11日午後7時~8時40分)を共にした。
北朝鮮代表団に対する食事接待は9日のレセプションを除いても4回だった。10日、青瓦台(チョンワデ、大統領府)の昼食会に
いて夕食会は趙明均(チョ・ミョンギュン)統一部長官がもてなしたほか、11日の昼食会と夕食会はそれぞれ李洛淵(イ・ナギョン)
首相と任鍾皙(イム・ジョンソク)大統領秘書室長が主宰した。
◆ペンス氏の席、金永南氏の向い側に配置
多くの国から来賓が集まる行事を主催する国のトップが一国の代表団とこのように多くの時間を過ごすのは異例だ。
文氏はペンス氏も2泊3日(8~10日)の間に4回会ったが、その内容には違いがある。会談および夕食会(8日午後6時30分
~9時14分)、レセプション(9日午後6時39分~44分)、開会式出席(9日)、女子ショートトラック競技観覧
(10日午後7時43分~8時20分)などだった。
特に、ペンス氏が9日レセプション時に開始5分で行事会場を離れたのは大きな外交的波紋を呼んだ。ある外交消息筋は
「青瓦台が金永南(キム・ヨンナム)北朝鮮最高人民会議常任委員長をペンス氏と同じメインテーブルに配置し、これを米国側は
快く思わなかったものと承知している。金永南氏の席を変更するよう求める要請も米国がしたようだ」と伝えた。
だが、青瓦台は席次を変えることはなく、結局、米国側は行事1時間前にレセプションへの不参加を通知してきたという。
青瓦台は「ペンス氏が自国選手との夕食会の日程のためにレセプションに来れないと事前通報した」としたが、不快感の表現だった
可能性が高いという言葉が外交界では定説だ。
米国側はペンス氏の訪韓前から北朝鮮との接触説に不快感を隠さなかった。5日、韓米の6カ国協議首席代表協議のために訪韓した
米国のジョセフ・ユン国務省北朝鮮担当特別代表は、韓国政府および学界の人々に会って「ペンス副大統領はいかなる契機の
米朝対話にも関心がない。意味ある出会いが実現する可能性は0%」と釘をさしたという。
ある高位外交官OBは「副大統領に対するこのような形のレセプションの席次は米国の立場からは意図的な侮辱とも受け取れる欠礼」
と評価した。
ペンス氏の訪韓期間中、韓国政府の要人と一緒に過ごすメディア公開日程もなかった。9日、平沢(ピョンテク)第2艦隊司令部の
訪問時、金炳周(キム・ビョンジュ)韓米連合軍司令部副司令官らが同行しただけだ。
4強(日米中露)首脳のうち、唯一開会式に参加した安倍氏とも円滑ではなかった。開会式とレセプションを除けば、文氏と
安倍氏は9日に1時間会談したのがすべてだ。安倍氏に対する韓国政府の高位要人の食事接待もなかった。
特に、会談後の青瓦台の発表で公開的な行き違いも明らかになった。青瓦台高位関係者は10日、記者団と会い、「首脳会談で
安倍氏が『韓米合同軍事訓練を予定通りに進めるのが重要だ』と延べ、文氏は『内政に関する問題を安倍氏があれこれ言って
もらっては困る』と答えた」と明らかにした。記者が質問したわけでもないのに、「首脳会談に対して追加で申し上げることがある」
としてこのように紹介したのだ。
反面、日本政府当局者は首脳会談ブリーフィングの際、「韓米合同軍事訓練関連の言及はあったか」という質問に「両国が北朝鮮に
対する圧力を最大限まで高めようということで意見が一致した。これ以上の対話は公開できない」とだけ述べた。首脳間の対話を
行った片側が、一方的に内容を公開するのは、外交慣例上あまりないことだ。外交消息筋は「マスコミの報道が先に出てきたわけ
でもなく、青瓦台が該当内容を自ら公開したため、日本側では安倍氏を恥さらしにしようとしたと受け止められる素地がある」と
懸念した。
◆ペンス・安倍両氏、共に移動し親密感アピール
このような雰囲気の中で、韓日米最高級会合も結局は失敗に終わった。代わりに、開会式レセプションの開始前に写真だけ撮った。
政府当局者は「多忙な日程の中で、物理的に3者の日程調整を行うことが難しかった。また、韓米、韓日、日米会談がそれぞれ
行われたので、懸案に対する3カ国間の議論は十分に行われた」と説明した。
だが、ペンス氏と安倍氏がレセプション会場まで同じ車に乗って来て、開会式でもすぐ隣の席に座って会話をしながら、
韓日米のうち韓国だけが不在の様子が繰り返し演出された。
これに対し、外交部がその役割を果たすことができなかったという批判がある。実際、北朝鮮の平昌五輪参加のための南北接触局面で
外交部は存在感がなかった。初めての接触だった先月9日の南北高官当局会談の時には外交部実務者が参加したが、それ以降の
接触からはすべて外れた。
◆韓日米、写真だけ撮って会談は実現せず
当時、会談時の北側代表だった李善権(リ・ソングォン)祖国平和統一委員長が非核化議論を直接拒否してから、北核6カ国協議の
主務部署である外交部が南北接触から外れるとさまざまなうわさが飛び交った。その後、北朝鮮が制裁違反に該当するような
要求をし、統一部がこれを受容・発表すると、外交部は米国や国連安全保障理事会などを相手に制裁例外を認めてほしいと説得する
「後始末役」に重点を置くようになった。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は5日、「韓国外交部が文在寅政府の
北朝鮮政策にあまり関与できていないというのが米国外交官たちの話」とし「文大統領が金正恩(キム・ジョンウン)の新年の
挨拶への対応を協議する時も〔康京和(カン・ギョンファ)〕外交部長官はいなかった」と報じたりもした。
今後、北朝鮮の核問題進展に必須の韓米同盟管理のためには、外交ラインがもっと積極的な役割を果たす必要があるという指摘がある。
梨花(イファ)女子大学国際学部の朴仁フィ(パク・インフィ)教授は「これまで韓米同盟と南北関係の間でバランスを取ろうと
努力していた文在寅政府が平昌五輪を機に南北関係側に傾いたのは事実」としながら「薄氷板のような対話の動力を継続するには、
再び韓米同盟に重きを置いてバランスを取る過程が必要だ」と指摘した。世宗(セジョン)研究所のウ・ジョンヨプ研究委員は
「北朝鮮代表団と接触して得た情報を基に米国などとの緊密な協議が必要で、間もなくこのような過程が始まるものとみている」と
述べた。