[ロンドン 5日 ロイター] - 英ロンドン中心部のロンドン橋などで3日夜、ワゴン車暴走や刃物による襲撃で少なくとも
7人が死亡した事件でメイ首相は、同国としてイスラム過激派組織の撲滅に向け対策を強化する必要があると表明し
た。
過激派組織「イスラム国」(IS)傘下のメディア「アマック」は、「派遣されたイスラム国兵士らが昨日のロンドン襲
撃事件を行った」との声明を発表した。
同国で発生した過激派による襲撃は3カ月弱で3度目となる。
メイ首相は、半旗の掲げられた首相官邸の外で、8日の総選挙は予定通り行うと発表。ただ、サイバー空間の取り締ま
りを提案するとともに、英国は過激思想に対しあまりに寛容すぎたと主張し、「もう我慢の限界だ、と言うべき時が来た」
と述べた。
首相はさらに「これまで通りの状態を続けることは不可能であり、それが可能だと見せかけるべきではない」と述べ、模
倣犯による新種の未熟な攻撃が発生する危険があると警告した。
死亡者にはフランス国籍とカナダ国籍が1人ずついたという。負傷者は少なくとも48人。オーストラリア当局は、負傷者
に豪州人が1人含まれていると発表した。
事件は3日午後10時(日本時間4日午前6時)ごろに発生。最初の緊急通報から8分以内に、警察はロンドン橋の近く
の食品市場「バラマーケット」で容疑者の男3人を射殺した。
ロンドン警視庁のマーク・ローリー警視副総監によると、犯行グループは自爆装置付きのベストを装ったものを着用して
いたため、警官8人が銃弾約50発を発射した。ベストは調査の結果、偽物だったことが判明した。市民が流れ弾に当た
り負傷したが、命に別状はないという。
警察は、ロンドン東部バーキングで事件との関連性が疑われる12人を逮捕。ロイターのカメラマンによると、近隣地域
のイーストハムでも捜査が行われているもようだ。
事件の目撃者によると、白いワゴン車を降りた犯人らは周囲の人々を攻撃しながら、バーやレストランが密集するエリア
に侵入し、人々を無差別に刺した。犯人らが「これはアラーのためだ」と叫んだのを聞いたという目撃者もいた。
イングランドの保健当局によると、4日午後時点で36人が病院に収容され、そのうち21人が重体。
ロンドンのカーン市長は、英国の警戒レベルは「シビア」のままであり、攻撃の危険性は非常に高いと指摘。「いまわれ
われにできることは、8日の選挙で脅しには屈しないと示すこと。そして民主主義、市民の自由、人権の重要性への理解
を確実なものにすることだ」と述べた。
トランプ米大統領はツイッターで、英国への支援を言明した一方、ロンドンでは警官が増えるが怖がる必要はないとした
カーン市長を批判した。
ドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領、ロシアのプーチン大統領はお悔やみを述べ、英国との連帯を表明し
た。