ラスベガス銃乱射、「紛れもない悪の所業」 トランプ大統領
2017.10.03 Tue posted at 17:06 JST CNN
ワシントン(CNN) 米ネバダ州ラスベガスで起きた銃乱射事件を受け、トランプ大統領は2日、ホワイトハウスで演説を行った。
その中で、銃による犯罪としては米国史上最悪の犠牲者を出した今回の事件を「紛れもない悪の所業」と非難。国民に対して結束を
呼び掛けた。
1日夜、ラスベガスの中心地で野外コンサートの観客を狙った銃乱射事件では少なくとも50人が死亡。400人以上が負傷した。
トランプ氏は感情を抑制した口調で、米国民が「悲しみと衝撃、心の痛み」で一つになっていると強調。犠牲者に弔意を示したうえで、
4日にも現地を訪れる意向を明らかにした。
また地元警察官らの対応を称えるとともに、事件の遺族については「我々には計り知れない苦痛、想像もつかない喪失感を味わって
いる」と語った。
演説の直後、ホワイトハウスは連邦政府の建物で半旗を掲揚するよう通達を出した。3日には、ハリケーンの被害に遭ったプエルトリコ
への大統領の視察が予定通り行われるという。
ラスベガス乱射、少なくとも59人死亡 527人負傷と警察
2017/10/03 BBC
米ラスベガスのマンダレイ・ベイ・ホテル近くで1日午後10時(日本時間2日午後2時)すぎ、乱射事件があった。ラスベガス警察に
よると、少なくとも59人死亡。確認された負傷者は527人に増えた。被害者の多さで、近年の米国最悪の乱射事件となった。
警察によると、容疑者は近郊在住の白人男性で、警察の突入と同時に自殺。これまで警察との接触はほとんどなかったという。
ラスベガス警察によると、近郊在住の白人男性スティーブン・パドック容疑者(64)がマンダレイ・ベイ・ホテルの32階から、大通り
ラスベガス・ストリップで開かれていたカントリー音楽の音楽祭会場に向けて自動式の銃を乱射した。容疑者はホテルの部屋で
自殺したという。音楽祭の会場には約2万2000人が集まっていた。
警察はホテルの室内でライフル銃など少なくとも16丁の銃を発見。容疑者は9月28日から、同じ部屋に宿泊していたという。
ラスベガス警察のジョー・ロンバルド保安官は2日午後の記者会見で、ラスベガス北東約130キロのメスキートにある容疑者宅を
家宅捜索したところ、さらに少なくとも18丁の銃や爆発物、数千発の銃弾を発見したと話した。
連邦捜査局(FBI)は記者会見で、国際的なテロ組織との関連は見つかっていないと説明した。
家族や近隣住民によると、元会計士の容疑者は裕福な年金生活者が多く住む新興住宅地の2階建て一軒家で暮らしていた。
家族によると、不動産投資で巨額の利益を得ていた。
ロンバルド保安官やラスベガスのキャロリン・グッドマン市長たちが、被害者のために献血を呼びかけたのを受けて、ラスベガス市内
では献血のために並ぶ人たちの長い行列ができた。
パドック容疑者の動機はいまだ不明。精神的な問題があった可能性を指摘する捜査員もいるが、確認されていない。
フロリダ州オーランド在住の弟、エリック・パドックさんは米メディアの取材に、「まるで隕石に当たったみたいだ」と当惑した様子を
見せ、兄の動機にまったく心当たりがないと話した。ハリケーンでオーランド周辺が停電した際、90歳の母親を心配してメールを
送ってきたのが、最後のやり取りだったという。また、容疑者が昨年メスキートに引っ越す際に荷物を運ぶのを手伝ったが、
「その時には機関銃など持っていなかった」と話した。
米NBCニュースは、地元警察の話として、ラスベガスでギャンブルするのが好きだった容疑者はここ数日、「数万ドル」をギャンブルに
使っていたようだと伝えた。容疑者がギャンブルで勝ったのか負けたのか、事件と関係するのかは不明だ。
パドック容疑者はメスキートの2階建ての一軒家に、交際相手のアジア系女性マリルー・ダンリーさんと暮らしていた。警察は事件発生
当初、ダンリーさんを「重要参考人」として探し、2日未明に居場所を確認したと明らかにした。後に警察は、この女性について
もはや「重要参考人」ではないと発表した。ダンリーさんは日本にいるため、事件には関与していないようだと見ているという。
調べによると、容疑者はダンリーさんの身分証明書などを使い、マンダレイ・ベイ・ホテルにチェックインしたもよう。
銃砲小売りチェーン「ニュー・フロンティア・アーマリー」のデイビッド・ファミリエッティ氏はBBCに対して、容疑者が北ラスベガスの
店舗で今年春に銃器を購入したと話した。連邦捜査局(FBI)による経歴調査を含め、州法や連邦法の規定はすべて満たしていたと
いう。
ただし、容疑者が店頭で購入した散弾銃とライフル銃だけでは「ビデオで見聞きした(攻撃は)不可能で、改造が必要だ」と
ファミリエッティ氏は話した。
ドナルド・トランプ米大統領は2日午前11時前にホワイトハウスで「同胞のアメリカ人のみなさん」とあいさつし、乱射について
「かけねなしの悪の行為だ」と演説した。大統領は被害者や遺族をいたわり、救急活動を「奇跡的」だと称賛。特に、銃撃犯をただちに
発見した警察を高く評価した。
大統領はさらに「どんな暗闇も一条の光で照らすことができる、どんな絶望も一条の希望で軽くすることができる」と、国民に語りかけ
た。
トランプ氏は後に、メラニア夫人やペンス副大統領夫妻と共に、ホワイトハウスの南庭で黙とうを捧げた。
過激派勢力のいわゆる「イスラム国」(IS)が、パドック容疑者が数カ月前にイスラム教に改宗し、ISが今回の攻撃に関与していると
声明を出した。しかしISがこれまでも様々な事件について繰り返してきた犯行声明と同様、裏付けとなる事実は提示していない。
FBIのアーロン・ラウス特別捜査員は記者会見で、「現時点では、国際テロ組織とのつながりは何もないと判断している」と述べた。
BBCのためにイスラム聖戦主義組織の動向を観測しているミナ・アル・ラミ氏は、ISが今回の乱射事件について犯行声明を出すのは、
極めて異例だと話す。ISがこれまで自分たちの「兵士」や支持者だと主張してきた人物たちと、パドック容疑者のプロフィールが
そぐわないためだ。仮にISの主張が本当だった場合、容疑者が自殺したことはまったく「イスラムらしくない」とアル・ラミ氏は指摘して
いる。
イスラム聖戦主義者が自爆する際には、周囲を巻き込んで殺害しようとする。
ロンバルド保安官は記者団に対して、状況説明を数時間おきに繰り返している。2日未明の時点で、死者が少なくとも50人、
負傷者は200人以上に達したと話すほか、容疑者の氏名も発表した。
警察によると、非番で「ルート91ハーベスト」音楽祭を訪れていた警官1人の死亡も確認されたという。さらに、勤務中の警官2人も
負傷。1人は軽傷で、重傷を負った1人も容体が安定したという。
ドナルド・トランプ米大統領は2日朝(日本時間同日夜)すぎ、ツイッターで「ラスベガスのひどい銃撃事件の被害者や家族に、心から
お悔やみとお見舞いを申し上げる。神様の祝福を!」と書いた。
乱射が始まった時点で舞台上にいた歌手ジェイソン・アルディーンさんは、ただちに舞台裏に避難した。インスタグラムで、自分は
無事だが悲嘆にくれていて何と言っていいか分からないと書いた。
「今晩は恐ろしいなんてものじゃなかった。楽しい夜のはずだったのに、楽しむためにやってきた人がこんな目に遭うなんて、心が痛い」
ソーシャルメディアに投稿された複数の動画では、何百人もの人が音楽祭の会場から走って逃げる様子が見える。自動式の銃声が
連続して響いている。
会場にいた人たちによると、数百発の銃声が10分以上にわたり聞こえたという。
英ブリストルから音楽祭のためにラスベガスを訪れ、舞台に近い位置にいたジョージ・フレンチさんはBBCに対して、銃声を聞いて
「自分以外みんなうずくまった。大勢が一気に走り出すのが見えたので、自分も伏せた」と話した。
「安全な場所に誘導されて、封鎖されたマンダレイ・ベイの中にまだ避難している。友人たちとははぐれてしまったが、連絡はとれた。
友達も無事だ」
事件現場周辺とラスベガス・ストリップ沿いの多くのホテルは、警察の指示によって封鎖されている。
ネバダ州は米国内でも銃規制の緩やかな州のひとつ。
住民は銃の携行を認められ、銃を所有しても登録する必要がない。銃砲店などで銃の購入時には身元調査が義務付けられているが、
個人による売買も認められている。
自動小銃や半自動小銃の所有も認められ、銃弾の購入も制限されていない。
コンサート会場は手荷物検査はあったそうです。ホテルは手荷物検査はありませんので、とてつもなく大きいとか余程不審なものでない限り
持ち込み品は自由。そのホテルから狙われたらどうしようもないです。