欧州に根強い反ユダヤ主義、新たな広がりも CNN調査
CNN poll reveals anti-Semitism is alive and well in Europe 11/26/2018
(CNN) 欧州で長年の歴史を持つ反ユダヤ主義が、現在も各地に根強く残り、さまざまな形で新たに
顕在化していることが、CNNの調査で明らかになった。
CNNはこのほど、欧州7カ国の成人7000人以上を対象に実施した調査などを基に、反ユダヤ主義の
現状をまとめた。
その結果、ユダヤ人に対する古くからの固定観念が欧州全体に残っていることが分かった。
調査対象者のうち、ビジネス・金融分野については4人に1人以上、メディア・政治分野については5人に
1人が、ユダヤ人の影響力は強すぎると感じていた。特にハンガリーでは42%が、ユダヤ人は世界の
ビジネス・金融に過大な影響力を持っていると答えた。
反ユダヤ主義の問題が深刻化しているとの認識を示す人は44%を占める一方、自国での反感は主に
ユダヤ人自身の日常的な行動が原因だと考える人も18%に上った。
ポーランドでは50%の人が、ユダヤ人はホロコースト(ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺)を
利用してのし上がろうとしているとの見方を示した。
ハンガリーでは、ユダヤ人に不快感を抱いたことがあるとの回答が19%に達した。
ポーランドのラビ(ユダヤ教指導者)を代表するマイケル・シュードリッヒ氏はこの現状について、
反ユダヤ主義者が増えたというより、「かつてはタブーとされていた意見を口に出せる雰囲気になったため」
と分析する。
CNNと調査会社ComResによる世論調査は、オーストリア、フランス、ドイツ、英国、ハンガリー、ポーランド、スウェーデンの各国で1000人以上、
合計7000人以上を対象に実施/CNN
ドイツでは難民の大量流入に反発して極右勢力が台頭し、難民だけでなくユダヤ人の排斥も堂々と
主張するようになったという背景がある。
首都ベルリンで取材した右翼団体の集会には、刑法で禁止されたナチス式の敬礼をしてみせる男性や、
ユダヤ人の秘密結社が世界を支配しているとの説を唱える参加者がいた。
ユダヤ人の間では、欧州で増え続けるイスラム系移民や、パレスチナ紛争をめぐりイスラエルに強い反感を
持つ左翼からの反ユダヤ感情を恐れる声も強かった。
全体として、反ユダヤ主義が顕在化してきた背景にはいくつもの要因が複雑に絡み合い、特効薬となる
解決策はないことがうかがえる。
反ユダヤ主義を抑えるために、ホロコーストを記憶にとどめる教育が有効だという意見は全体の半数を占めた。
だが一方で、ホロコーストの知識が全く、またはほとんどないと答えた人が3分の1を超えている。
フランスでは若年層の20%が、ホロコーストを「聞いたこともない」と答えた。
シュードリッヒ氏にこの統計への感想を尋ねると、一瞬の沈黙に続き、「私にはまだやるべき仕事が
あるという気持ちにさせられる」との答えが返ってきた。