<最新>タイ前首相インラック氏が国外逃亡 判決公判に出廷せず
2017年8月25日 18:00 BBC
インラック前首相
タイのインラック・シナワット前首相が国外逃亡したことが25日、明らかになった。関係筋が明らかにした。
同国の最高裁はインラック氏が在任中に実施したコメ買い上げ制度をめぐる裁判の判決公判を同日予定していた。
タクシン元首相派のタイ貢献党幹部は、インラック氏が公判の直前にタイを離れることを決めたと語った。
最高裁はインラック氏への逮捕状を出し、保釈金を没収した。
インラック氏の弁護団は、インラック氏は体調不良のため出廷できないと主張していた。裁判所はこれを受け入れず、判決公判を
今月27日まで延期した。
コメ買い上げ制度によって国に多額の損失を与えたとして職務怠慢の罪に問われているインラック氏は無罪を主張している。
有罪となった場合、最長10年の禁錮刑と政治活動の禁止が言い渡される可能性があった。
タイ貢献党の関係者はロイター通信に対し、インラック氏が「タイを離れたのは確実」だと語ったが、居場所の詳細は明らかに
しなかった。
これに先立ち、プラユット・チャンオチャ首相は記者団に対し、国外に出るための全てのルートは厳しく監視されているとし、
「出廷しなかったと聞いた。国境検問所の検査を強化するよう命じた」と述べていた。
タイのインラック前首相に逮捕状、判決公判欠席で
2017年08月25日 15:06 AFP
タイ・バンコクの最高裁判所に到着し、報道陣に向かって話すインラック・シナワット前首相(2017年7月21日撮影)
【8月25日 AFP】タイ最高裁判所は25日、職務怠慢の罪で起訴されたインラック・シナワット(Yingluck Shinawatra)
前首相(50)がこの日予定されていた判決公判に出廷しなかったことから、逃亡の恐れがあるとして逮捕状を出した。
インラック氏は判決公判で有罪になれば、最長で禁錮10年と政治活動の生涯禁止が科せられる可能性がある。
最高裁前にはインラック氏を一目見ようとする支持者らが大挙して詰めかけ、警備に当たる治安部隊の数を圧倒した。
しかし、インラック氏は姿を見せなかった。
裁判長は法廷で、インラック氏が弁護士を通じ「病気なので判決を遅らせてほしいと求めてきた」とを明らかにしたうえで、
「裁判所は同氏が病気だとは信じていない」ため「逮捕状を出すと決定した」と説明。判決公判を9月27日に延期した。
タイ初の女性首相だったインラック氏は2014年、軍事クーデターで失職した後、在任時のコメ買い上げ制度をめぐる職務怠慢の
罪で起訴された。兄のタクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相は、汚職で禁錮2年の有罪判決を受け、2008年から
国外逃亡中だ。インラック氏が有罪判決を受ければ、10年以上にわたってタイ政界に影響力を持ってきたタクシン派にとって
大打撃となる。
問題となっているコメ買い上げ制度は、政府が貧しい農村からコメを担保として買い取る融資制度だった。
しかし、その価格は市場の最大2倍という高値で、タクシン一族が支持基盤とする農村部に莫大なカネをもたらした一方、
汚職が横行し、国に多額の損害を与えたとされる。
インラック氏は「巧妙な政治ゲーム」の犠牲になったとして無罪を主張している。
インラック元首相に抗議するために集まってるのかと思いきや支持者たちでした。
タイ・バンコクの最高裁前で、インラック・シナワット前首相の到着を待って歌を歌う支持者ら(2017年8月25日撮影)
タイ・バンコクの最高裁前で、到着した車にインラック・シナワット前首相が乗っていると思ってすがりつくインラック氏の支持者ら(2017年8月25日撮影)
タイ・バンコクの最高裁前で、インラック・シナワット前首相の写真を手にインラック氏の到着を待つ支持者(2017年8月25日撮影)
タイ 元貿易相に42年の禁固刑が求刑 中国とのコメの偽装取引
バンコク裁判所は、タイと中国との政府間コメ取引の偽造を認めた同国の元貿易相に対し、42年の禁固刑を求刑した。
ブオンソング・テリヤピロム元貿易相被告への判決は、インラック・シナワトラ前首相が いわゆる「米担保」の融資制度の
収賄事件の判決公判に出廷しなかったことから、発効した。
インラック・シナワトラ被告は2011年に首相職に就任。2014年に失脚した。
バンコク最高裁の出した判決では、ブオンソング被告による米の偽造取引はタイに甚大な損失をもたらし、
インラック・シナワトラ政権が断言していたにもかかわらず、米は輸出されずに国内で販売されていたことが指摘されている。