北朝鮮の金委員長が中国を電撃訪問、米国「把握せず」-関係者
-
2011年の権力掌握以来、金氏の外国訪問が伝えられたのは初めて
-
米朝首脳会談開催決定から数週間後の謎の動き、中国と事前協議か
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が北京を電撃訪問した。関係者3人が明らかにした。2011年の権力掌握以来、金正恩氏の
外国訪問が伝えられたのは初めて。
情報の機密性を理由に匿名で語ったこれら関係者によると、滞在期間や会談相手など詳細は現時点で不明。共同通信は北朝鮮の
要人用とみられる列車が中朝国境の丹東を通過した可能性があると報道。日本テレビは正恩氏の父、正日氏が2011年の死去直前に
北京を訪問した際に使用したものに似た列車が26日に北京に到着した映像を報じていた。
米国は金委員長の北京訪問について事前に知らされていなかったようだ。ホワイトハウスのシャー副報道官は26日、
記者団に対し、金委員長の北京訪問の報道を自分は確認できないとした上で、「こうした報道が正しいかどうか、われわれは
分からない」と発言。「私が言えるのは、米朝関係が以前より改善しているということだ。世界の数十カ国と連携して
トランプ大統領が最大限の圧力を加えたことが結果をもたらし、北朝鮮を交渉のテーブルに着かせた」と語った。
国務省報道官ジュリア・メイソン氏に質問したところ、「中国側に問い合わせてほしい」との短い返答があった。
蚊帳の外望まず
ジェームズ・マーティン不拡散研究センター(カリフォルニア州)の研究者メリッサ・ハナム氏は「この会談が確認されれば、
数週間後にトランプ氏と金正恩氏が臨む写真撮影よりも生産的な出来事になるかもしれない」と指摘。「北朝鮮は恩知らずな
弟のように見られることが多いが、最近の緊張の高まりや核およびミサイル能力の向上を考慮すれば、中国はこの機会を真剣に
受け止めるだろう。蚊帳の外に置かれることは望んでいない」と説明した。
トランプ大統領は今月8日、金委員長が核兵器プログラムの廃止の話し合いに前向きだと鄭義溶・韓国国家安保室長らから聞き、
米朝首脳会談の提案を受け入れた。北朝鮮の国営朝鮮中央通信はまだ米朝首脳会談を確認しておらず、会談場所や日時は依然調整中だ。
ペンシルベニア大学法科大学院で中国の法と政治を教えるジャック・デリスル教授はインタビューで金委員長と中国側の会談に
ついて、「恐らく、中国側としては金委員長が米朝首脳会談に何を期待するか、そして何を目指すかを把握したいとも考えており、
さらに当然ながらそれに影響を及ぼそうとするだろう」と指摘。金委員長が権力掌握後、中国を訪問するまでにこれほどの時間が
かかったことについては、「中朝関係の緊張」が反映したとし、「中国は金委員長体制の北朝鮮への不満を募らせてきた」と説明した。
緊張関係
中朝関係は、北朝鮮のエネルギー輸入と外貨獲得を規制する制裁措置を中国が支持したため緊張した。中国は北朝鮮の
核兵器開発に反対しているものの、金体制の崩壊や朝鮮半島での戦争勃発は望んでいない。情勢が不安定化すれば、難民の
大量流入や、国境に米軍が配備される事態を招きかねないからだ。
英国の元駐北朝鮮外交官で、現在は英王立国際問題研究所のアソシエート・フェローを務めるジェームズ・エドワード・
ホア氏はインタビューで、「これまでも北朝鮮の要人が北京に赴いて、今後どうすべきかを話し合った前例がある」と述べた上で、
「訪問が事実なら、恐らく米国側との会談にどう対処すべきか、助言を求めるのが目的だろう」と指摘した。
原題:North Korea’s Kim Jong Un Is Said to Make Surprise China Visit(抜粋)
北朝鮮要人が訪中か、金正恩氏との臆測も・・ 日本報道
【3月27日 AFP】日本のメディア各社は26日、中国の首都・北京に北朝鮮の要人が乗ったとみられる列車が到着したと報じた。
金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の可能性もあるとする臆測が広がっている。
共同通信(Kyodo News)は匿名の関係筋の話として、北朝鮮要人による訪問が事実と確認されれば、中朝関係を改善する狙いも
あるとの見方を伝えている。
金氏は2011年に最高指導者に就任して以来、外国を公式訪問したことは一度もない。また中国政府が核・ミサイル実験を実施した
北朝鮮に対する国連(UN)制裁を支持していることから、両国関係は冷え込んでいる。
中国国営メディアは、同列車の北京到着も、北の要人の訪中についても報じなかった。一方北朝鮮国営メディアも、訪中には
言及していない。
日本のNNN系列各局は、緑色の車体に黄色い線の入った列車が中国国内に到着する映像を放送。金正恩の父である故金正日
(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記も、同様の列車で外遊したことがある。
AFP記者が26日夜に北京駅を訪れたところ、異状は認められなかった。ただ駅前広場の店主は、同日午後には「駅の外や駅前の
道路沿いに大勢の警官がおり、駅の内部が閉鎖されていた」と明かし、「異例」の動きがみられたと話している。
Whoever has arrived in Beijing got quite a motorcade: pic.twitter.com/qL1Q55Hnma
— Stephen McDonell (@StephenMcDonell) 2018年3月26日