【図解】新型コロナ、加速するワクチン開発競争
2020年6月5日 15:00 発信地:香港/中国 AFP
急ピッチで開発が進められている新型コロナウイルス感染症ワクチン。主なアプローチを示した図(2020年5月27日作成)。
免疫系の暴走「サイトカインストーム」について示した図(2020年5月11日作成)
歴史上の主な感染症の流行を示した図(2020年5月14日作成)
ウイルスが生体の宿主細胞に侵入し、ゲノムを転写し、拡散する仕組みについてまとめた図解。
米国における新型コロナウイルス感染症患者の症状と治療法を示した図(2020年5月11日作成)
【6月5日 AFP】国際赤十字(IRC)と国連(UN)は今週、急ピッチで開発が進められて
いる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンについて共同アピールを発表し、
真に「全ての人のものとする」ことの重要性を訴え、自国のためだけにワクチンを確保
しようとしないよう各国政府に呼び掛けた。COVID-19の世界の感染者は650万人、
死者は38万人を超えている。
国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)の保健部門を統括するエマニュエル・カポビアンコ
(Emanuel Capobianco)氏がAFPの取材に応じ、「『ワクチンのナショナリズム
(自国優先主義)』と呼ばれるようになったこうした考え方と闘う必要がある」と語った。
この問題では、全世界が結束して取り組むというはっきりとした国際的な約束が
なければ、個々の国々が自国民のために必要なワクチンを先を争って確保しようとする
事態に陥る恐れがある。
こうした状況についてカポビアンコ氏は、ワクチンを待っているこの時間に各国が
できることは、あらゆる地域と人々にワクチンを行き渡らせることを目指し、生産と
配布の規模拡大に投資することで、「今こそ、それを優先させるべき時だ」と提言した。
カポビアンコ氏の提言は、IFRCが所属する国際赤十字・赤新月運動(International
Red Cross and Red Crescent Movement)と国連が、ワクチンが発見された時点で公正な
入手機会を確保するよう国際社会に呼び掛けたことを受けてのものだ。
共同アピールでは「国際的な連帯の精神を広く行き渡らせなければならない。誰も
取り残されないようにするべき」「COVID-19ワクチンを皆のものとするための国際的な
社会契約は、共有する人間性の下に世界を団結させる道徳的要請だ」との考えが示された。
■病気の「差別待遇」
世界保健機関(WHO)の加盟諸国も先月、新型コロナウイルスに対する大規模な
免疫付与を「全世界の公共の利益」とすることで合意した。ワクチンが実際に登場したら
全員に公平に分配するべきだと、加盟諸国は主張している。
だが、製薬各社のみならず、米政府からも反発が起きている。米政府は、国際的な
知的財産権の行使に異議を唱えることに反対している。