「米国第一」は米国にとっても有害・・・国連事務総長
2017.12.11 Mon posted at 13:38 JST CNN
(CNN) 国連のグテーレス事務総長は10日、CNNとのインタビューでトランプ米大統領が掲げる「米国第一」主義に言及し、
この考えに基づく政策は米国自体の国益に害を及ぼすとの見方を示した。
グテーレス氏はトランプ氏の米国第一主義について、米国民の利益は国際機関でなく米国自体が守るものという前提に基づいているが、
これは真実ではないと強調。「世界で起きることは米国内での出来事に重大な影響をもたらす」と述べ、米国は国際的な考え方で動く
必要があると訴えた。
さらに「米国が気候変動対策や移民問題、さらにはシリアやイラク、アフガニスタン、南スーダン、コンゴ民主共和国(旧ザイール)
などで起きている危機への対応にも関与することは非常に重要だ」と主張。紛争当事者への影響力や圧力を行使し、紛争をやめるよう
促すうえでは米国の役割が極めて重要になりうると述べた。
米国がその地位から退けば別の国が取って代わることになるとも語り、国際機関や国際協定を否定的にみる態度は米国の国益に反する
だけでなく、影響力の低下にもつながりかねないと指摘した。
同氏はまた、多くの危機では各地の紛争が互いに影響し合い、世界のテロ問題とも連動していることを強調。世界情勢とのかかわりを
断つことは、米国民の安全にも悪影響を与えるとの考えを示した。
エルサレム問題で米に批判集中=国連安保理で緊急会合
2017/12/09-10:49 時事通信
【ニューヨーク時事】国連安全保障理事会は8日、トランプ米政権がエルサレムをイスラエルの首都と承認したことを受け、
緊急会合を開催した。各理事国は米国の決定に相次いで批判や懸念を表明。欧州各国は米国に中東和平実現へ具体的な提案を行うよう
求めた。シリア問題などでは安保理で他国に対し強気の姿勢を示してきた米国は今回、逆に批判の矢面に立たされ、国際社会での
孤立が際立つ形となった。
会合は安保理15理事国のうち、英仏やスウェーデン、エジプト、ボリビアなど8カ国の要請で開かれた。
中東和平担当のムラデノフ国連特別調整官は会合冒頭、首都承認を受け、「暴力が激化するリスクを特に懸念している」と述べ、
緊張を高める言動を控えるよう当事者に呼び掛けた。
理事国からは批判や異論が続出した。スウェーデンのスコーグ国連大使は「国際法や安保理決議と矛盾する」と指摘し、
「和平の見通しを危うくする」と批判した。
安保理で普段、米国と足並みをそろえることの多い英国のライクロフト国連大使も「地域の和平の見通しの助けにならない」と非難。
このほか、ボリビアも「既に不安定な中東情勢をさらに悪化させる極めて有害で無責任な決定だ」と同調した。
一方、ヘイリー米国連大使は「われわれの手は差し出されたままだ。われわれは中東和平の目標へこれまで以上に尽力する」と述べ、
トランプ政権が中東和平の実現へ取り組む方針は変わらないと強調した。
一方、「緊急会合開催に至った理事国の懸念は理解している」とも述べた。
緊急会合後、英仏など欧州5カ国は共同声明を発表し、中東和平に向けた「詳細な提案」をするよう米政権に促した。
8日、米ニューヨークで開かれた国連安保理の緊急会合で、イスラエルのダノン国連大使(右)と話すヘイリー米国連大使