中国の観光禁止で来訪者半減のパラオ、「量より質」で対抗へ
[コロール(パラオ) 19日 ロイター] - 中国の圧力に屈せず、台湾との外交関係を維持する数少ない国の
ひとつであるパラオで、観光客の半減によって国内観光部門が開店休業状態に追い込まれている。
中国は昨年末、外交関係がないことを理由にパラオへの観光ツアーを事実上禁止、それまでパラオを訪れる観光客の
約半分を占めていた中国人観光客が来なくなった。また、それまで殺到していた中国投資家も去った。
コロールでは、ホテルやレストランが空っぽの状態、旅行代理店はシャッターを下ろし、美しい観光名所である
ロックアイランドへのボートは埠頭に係留されたままとなっている。
トミー・レメンゲサウ大統領は、ロイターとのインタビューで、観光規制について中国から公式な通知は受けて
いないと説明。また、集団での観光は環境に被害をもたらしているとし、パラオはより多くを支出する観光客に
焦点を合わせることで中国人観光客の減少に適応していると述べた。
国内観光部門が開店休業状態(2018/8/7撮影)
2017年には、観光名所のひとつだった塩水湖ジェリーフィッシュ・レイク(クラゲ湖)がクラゲの減少から
閉鎖されたが、これも大勢の観光客が原因のひとつとされる。
大統領は、「現実には、パラオにとって(観光客の)数が大きな利益を意味していたわけではない。
(今回の減少により)われわれは量ではなく質の政策を模索する決意をより強くした」と語った。
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パラオの航空会社、中国路線停止へ 台湾問題での圧力影響
2018.7.18 21:27 産経新聞
【台北】台湾と外交関係のある太平洋の島国、パラオの航空会社が、中国との間で唯一運航していた香港路線を
停止することが18日、分かった。台湾メディアが一斉に報じた。中国当局の圧力で中国人観光客が減少したためで、
台湾では「大陸(中国)の威嚇を恐れず台湾と断交しない姿勢を堅持」(聯合報)などと好意的に受け止められている。
13日付のパラオ紙アイランド・タイムズ(電子版)によると、パラオ・パシフィック航空の運航会社が議会に
運航停止の計画を提出した。パラオ政府観光局の担当者は18日、産経新聞の電話取材に「利用客の減少が原因だ」と
述べた。
パラオ政府の統計によると、中国からの訪問客は2015年に日本を抜き1位になって以降、全体の約半数を
占めてきた。だが、中国当局は昨年11月、台湾への圧力の一環で、バチカンとパラオへの団体旅行を厳禁したと
報じられていた。
同紙によると、同航空も年間3万人の利用客が今年は7月までに1万4000人に減少。搭乗料金も半額以下に
落ち込んでいた。レメンゲサウ大統領は、台湾と中国を二重承認する意向を示し、「誰が友人で誰が友人でないかを
選ぶつもりはない」と述べている。