トリシティ125に乗り始めて1年と2カ月が過ぎた。最初の頃の違和感もなくなり、スイスイ走るようになった。しかし、止まるときは、やはり、それなりに緊張する。車体が160㌔以上と重く、シートが少し高く、硬い。以前乗っていた250のスクータエプシロン(=スズキスカイウェブ)は、シートが低く柔らかく大きいため、足つきもよく、立ちごけの心配をしたことがなかった。ただ、最近は慣れてきて緊張することなく止まることに自分でも驚いていた。
<いつも止めていたこの場所>
で、緊張感が薄れた。いつもの公園の駐車場に止めようとくるっと回って止めようとするとバランスをこわした。足をついたが滑って立ちごけしてしまった。スピードはほとんどゼロ。止まったところでこけたのだが、右足の上に車体がのしかかった。痛みはなかったが、足が抜けない。立ち上がれない。重い。「だれか、たすけて!」見渡すと、おじさんが公園の方に歩いている。こちらの方をちらっとみて、また、反対側の方に歩いている。「すいません、手伝ってください!」
おじさんが、車体の後ろの方を持ち上げようとしているが、上がらない。足が抜けない。今度は、逆に公園の方から、年配の夫婦が近づいて、この状況に気づいてくれた。走ってきて手伝ってくれた。スクータが立ち上がり、私も立つことができた。ちょっと足が痛い感じだが、擦り傷程度だろうとスクーターにまたがって、エンジンをかけて見る。かからない。おばちゃんが、「一度キーを切ってかけ直したら」とえらく落ち着いた感じで話してきた。その通りにするとエンジンがかかった。「だいじょうぶ?」と言われたので「だいじょうぶです」と答える。「ありがとうございます」と言って、すぐさま、その場から離れた。もっと感謝の表現をすればよかったかな、と思ったが、恥ずかしいやら情けないや、家に即座にもどった。
帰ってみるとまず、胸のポケットに入れていたスマホがない。落としたか、とあせった。まず、ジャケットの胸やお腹の部分を探したが無い! まずい、と思っていたら、腕の中にスマホが入っていた。壊れていなかった。こんなところに入り込むなんてと思いながらも安心した。
ズボンを脱いで、怪我の状態を見てみた。足のくるぶしから血、ひざのところから血、重症ではないが、治療は必要。マキロンをふりかけてばい菌対策をし、絆創膏を貼っておく。
バイクの方は、左のブレーキレバーが九の字に曲がっていた。スタンドにかすり傷、本体にはほとんど異常がなかった。ラッキーである。普通、バイクは、ひとコケ5万とか10万(円)とか言うので、安心した。曲がったレバーは、大型のレンチとタオルで元に戻した。少し不格好になったが、「これでよし」としておこう。
バイクに乗って50年以上、血が出る傷を負ったのは、高校生の時に急にハンドルがぶれ始めてこけた時。タイのチェンマイでレンタルバイクが雨の道路で滑ってこけた時。塾への通勤途中、停車中に後ろの軽に追突された時。大きな事故にあったことがないのが自慢だったけれども、そろそろ、バイクを卒業するかと、弱気になってしまった。