AIの話題が大変多いので、AIって本当はどんなものだろうかとこの本を読んでみた。
まずは、基本語の意味から、
<AI> artificial intelligence エーアイ 知的行動をコンピューターに行わせる技術
<ビッグデータ> ネット上に存在する膨大なデータを分析、有用な知見を得ようとするもの
<ディープラーニング>人間では到底解析しきれなかった大量のビッグデータから、より正確に多角的なアプローチをすることで自動学習ができる技術
<シンギュラリティ>AIなどの技術が、自ら人間より賢い知能を生み出す事が可能になる時点を指す言葉 。コンピューターが人間を超える技術的特異点。
この本の前半は、AIの幻想を夢見ることなく限界を知るべし、だと思う。後半は、教育界が、「プログラム教育」だ、「アクティブラーニング」だ、「英語の小学生早期導入」だ、などと声高に叫んでいるようだが、現実は、教科書も読めない子供たち(大学生も含めて)であふれかえっている現状を認識すべし、という点だ。
いくつか例題があって、やさしい問題からちょっと考えさせる問題もあるので、トライしてましょう。
大学1年生を対象にした問題から
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例題1) 次の報告から確実に正しいと言えることには〇を、そうでないものには✖を、左側の空欄に記入してください。
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公園に子どもたちが集まっています。男の子も女の子もいます。よく観察すると、帽子をかぶっていない子どもは、みんな女の子です。 そして、スニーカーを履いている男の子は一人もいません。
(1)男の子はみんな帽子をかぶっている。
(2)帽子をかぶっている女の子はいない。
(3)帽子をかぶっていて、しかもスニーカーを履いている子どもは、 一人もいない。
大学1年生の正答率は66.8%だそうです。
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例題2)
次の文を読みなさい。
アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない。
この文脈において、 以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから一つ びなさい。
セルロースは( )と形か違う
①酵素 ②アミラーゼ ③グルコース ④デンプン
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大人向け問題のため少々難解です。
こんどは中学生向け
例題3)次の文を読み、メジャーリーグ選手の出身国の内訳を表す図として適切なものをすべて選びなさい。
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メジャーリーグの選手のうち28%はアメリカ合衆国以外の出身の選手であるが、その出身国を見ると、ドミニカ共和国が最も多くおよそ35%である。
例題1の答え(1)
例題2の答え ④
例題3の答え ②
例題3の中学生正答率12% 高校生正答率28%
1と2は、大人でも注意深く読まないと正解できない問題だが、中高生にとって、3がこれほど出来ないとなると日本の教育のどこに問題があるのか考えさせられることになる。このほかの問題もたくさんあるので挑戦してみてください。
結論として、日本の多くの子供たちに教科書を読むだけの読解力がないことを示している。さらに、この基礎的読解力があるかないかで、人生を大きく左右することになるとも言っている。
では、この「読解力」をつけるにはどうすればいいのか。塾でも、「うちの子は国語が苦手で、どうしたらいいですか」と聞かれることが非常に多いが、経験の浅い先生は、「多くの本を読みましょう」とか「親が本を読む姿を見せましょう」などと気安く言って結論にするようだが、経験的に本を読んで、読解力があがるには、100冊単位の本を読まなければ読解力の向上を体得できない。1年間で100冊読むには、3日で1冊のペースだが、暇な大学生以外は無理だろう。この本でも、読書量と読解力の因果関係は認められなかったと言っている。(ただし、親の経済力と読解力には何かしらの因果関係があるとも言っているが。)
我が子供たちに「読解力」をつけてあげたいと多くの親が願うが、この本の結論は、「『教科書が読めるようにする教育』を求む」で終わっている。
AIに仕事を奪われない人間になる必要を説く一冊の本であるが、子供を持つ親がぜひ、読んでみる価値のある1冊だと思う。
<想い出の一枚>
韓国のファーストフード店にて
<主夫の作る夕食>
小さい芋をそのままあぶらで上げました。意外といける。野菜とひき肉のコチジャン炒め、ちょっとピリ辛で旨い。