ナース、医師、ケースワーカー、心理カウンセラーなどを含めた「援助専門職」(ヘルピング・プロフェッショナル)には「共依存」の人達が多いという報告が以前からなされている。
「アダルトチルドレン」に多いという報告がないのは、それらの職種が「他者」を相手にしている仕事であり、「アダルトチルドレン」に多いという報告がないのは、それらの職種が「他者」を相手にしている仕事であり、「アダルトチルドレン」という視点より「共依存」という視座から見た方がわかりやすいからであろう。
それらの職種の人達の親や配偶者に、嗜癖者が多いというのがその論である。
しかし、それらの諸家の報告は、正常コントロール群との厳密な比較がなされていないのが弱点である。
ウィリアムらはその頻度は高いと報告しているが、その報告では正常コントロール群との比較がなされていないし、対象は「嗜癖」のワークショップに参加したナースや医師を対象としている。
「嗜癖」のワークショップに参加したナースや医師は、自分の過去に「嗜癖者」や「共依存者」といっしょに住んだ経験があるか、現在住んでいる経験があり、悩んでいたからだろう。
そのようなナースや医師を研究報告の対象とすることは誤りであり、ウィリアムの報告には信頼性があまり置けない。
また、エリクソンは、ナースの75%が親、夫、同胞に物質嗜癖者がいたと報告している。
しかし、この報告は対象者が85人であり、調査数が少ないのが問題であるが、ナースの75%が「共依存」であることは注目すべき報告である。
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また、チャッペルとソレンティノは、ナースの80%が乱用、嗜癖、精神的疾患の家族背景を持っていることを指摘している。
いわゆる「機能不全家族」の家族に育った人が多いことになる。
しかし、フリエルの評価尺度で調査をすると、ナースの「共依存」の程度は弱かったと報告しており、文化差や婚姻の状態などの差異もあり、ナースと「共依存」の関係は、まだ完全には結論は出ていないと言える。
また米国人の100%近くが「共依存」であるとするならば、「援助専門職」やナースに「共依存」が多いと表現するのは誤りである。
たしかに、スノーとウィラードらにより『死にたいぐらい世話焼きしたい』(アイム・ダイイング・トゥ・テイク・ケア・オブ・ユー)というナースの「共依存」に関しての単行本も出版されているが、むしろ、米国に住むどの職業の人達も「共依存であり、「援助専門職」やナースにも「共依存」が多いと言った方が正確ではないかと思われる。
ただ、「共依存」の程度が、「援助専門職」やナースで強いのかも知れない。
しかし、ナースを代表とする援助専門職に「共依存」が多いとするならば、ウィリアムらが指摘するように、医学部、看護大学、看護学校、福祉大学、福祉学校、心理学部など、それらの職種を学ぶ学校で、「共依存」の教育をする必要があるだろう。
また、コーソン=リンドシュトームとヒラブが指摘するように、「世話焼きしたがるナース」たちのマネージメントも必要である。