分担外のよけいな仕事というわけではないが、一人の人間に仕事が集中し、ほかの人たちはのんびりしているのに、その一人だけが苦しんでいるということがある。
販売会社に勤めているニ十三歳の女性から、つぎのような訴えがあった。
「私の会社は、従業員が百人の小さい会社で、そのうち女性は三十六人おりますが、男子は、外まわりの仕事に当たっており、内部事務は、ほとんど女子の手で進められています。
ところが、仕事が私のところにばかり集中し、目がまわるほど忙しく、そのため、一人で残業することも多いのです。
それというのも、男の人たちが、外から持ち込んできた仕事の事務処理を、みんなが名指しで私に頼むからです。
また、上司も、何かといえば私に仕事を命じるのです。
先輩・同僚もたくさんいることですから、その人たちにも、適当に分散して頼んでくれれば助かるのです。
これを合理化するには、どうしたらよいでしょうか」
男女にかかわらず、どこの職場でもありがちなことであるが、とくに中小企業では、組織が不完全で、各人の分担がはっきりしていないところから、こうしたケースが起こりやすい。
一部の人に仕事が集中することを防ぐには、会社の内部組織を確立し、各人の仕事の分担をはっきりと、しかも片寄らないように公平に決めることが必要である。
仕事の分担は、各人の熟練度や能力に応じ、仕事の量と質とを勘案して決めればよい。
もし、あなた一人に異常に仕事が集中し、負担過重であるなら、上司にその事情を話し、分担を公平にしてもらえばよい。
分担を公平にすることは、仕事全体の能率化をはかるためには大切なことである。
なお、先輩をさしおいて、あなたに仕事が集中するということは、あなたの人柄がよく仕事もよくできるので、みんなから信頼されているということではないだろうか。
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職場では、仕事を頼みやすい人と頼みにくい人があり、頼みやすい人に頼むという傾向がある。
そのための特定の人に仕事が集中することになりやすいのであるが、その辺の事情も考え、愚痴をこぼさないで、積極的に仕事に取り組み、信頼に応えるという心構えをもつことも必要である。
そのようにすれば、ますます信用を高めるばかりでなく、仕事によって身につけた知識や技能や心構えが社会生活の上でも生かされ、生涯のものとなることを忘れてはならない。
ただ、このようなケースの場合は、先輩や同僚のひがみを買うこともあるので、一部を他の人に振り分けてもらうとか、他の人たちに手伝いを頼むとかして、同僚や先輩を立てる配慮をすることも大切である。