セロトニン神経は専門家にも分かりにくい部分があり、誤解に基づく混乱がこれまでにも多くありました。
たとえば、セロトニン神経が発見された50年ぐらい前には、睡眠に重要な役割を果たすものと考えられたことがあったのです。
現在ではまったく逆の考え方で、覚醒の神経と位置づけられています。
また、30年ぐらい前には、運動疲労に関係する脳内物質と考えられた時期もありましたが、現在これは否定され、ウォーキングの効能としてポジティブな面が強調されています。
しかし、扱い方を間違えると、とんでもない問題も起こす気むずかしい神経でもあります。
70年代にはLSDというドラッグが反戦運動家やヒッピー達のあいだで流行っていました。
このLSDは脳内でセロトニンと似た作用を発揮するため、当時、インインスタント弾といって特殊な精神状態に入り込む(トリップする)ための手助けとして使われていたのです。
このLSDには幻覚を引き起こす副作用があります。
当時、サイケデリックなアートとしてもてはやされていた映像世界は、その幻覚体験に基づくものです。
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ところが、このLSDは麻薬や覚せい剤ほどではないにしても、依存症や中毒に陥る危険をはらんでいるのです。
このように、セロトニン神経は御しがたい神経でもあります。
最近、様々なサプリメント商品が売り出されていますが、セロトニン関連の製剤には手を出さない方がよいかもしれません。
そこで、あくまでナチュラルな処方として強く奨めたいのが、自力でセロトニン神経をきたえることなのです。
すなわち、リズム運動や太陽の光によってセロトニン神経をきたえることが一番健全で、効果的な方法なのです。
たしかに、生活習慣として継続しなければ効能がなかなか現れない、という厳然たる事実もあります。
しかし、継続は力です。