職場では、ものの言い方が悪かったとか、態度が悪いとか、そのほか、ちょっとしたことがきっかけで、他人から嫌われることがある。
しかし、このような場合、嫌われてしまったからといって、仲直りの余地がないわけではない。
嫌われた場合、たいていの人は、自分を嫌っているということで相手を敬遠するために、ますます溝が深まってしまうのである。
ふとしたことから嫌われることになった場合は、冷却期間をおいて、自分も相手も冷静になったときをみはからい、こちらから話しかけるのがよい。
相手も冷静になっていれば、こちらからの話しかけに、快く応じるものである。
このようにして、言葉を交わす機会を多くもつようにすれば、完全にヨリをもどすことができる。
肝心なことは、最初の話のきっかけをつくることであるが、それには勇気がいる。
しかし、勇気を出して最初のひとことを口に出せば、あとはすらすら運ぶものである。
「先輩からつらく当たられるときどうしたらよいか」という質問もしばしば受ける。
先輩が、自分にだけつらく当たるということは、単に、毛嫌いとか虫が好かないというだけではなく、ほかに原因があるものと考えなければならない。
主な原因としては、以前、先輩を無視したり、やり込めたり、ばかにしたような口をきいたり、まちがいを指摘したなどがあげられるが、自分にそのような態度がなかったか反省してみなければならない。
会議の席上で先輩のまちがいを指摘したら、それ以来にらまれて困っているという若者がいた。
先輩も同じ人間であるかぎり、まちがいを起こすこともある。
その間違いを注意することは当然であるが、問題は、そのときの話し方にある。
つっけんどんにいわれれば、突っ込まれたという感情を抱き、後輩のくせに生意気だということになりやすいが、「こんなものがあるんですが、こういうときはどうすればよいでしょうか」と質問するような形をとれば、事情はまったく違ってくる。
最近の若いビジネスマンは、率直にものをいい、自由に振る舞っているので、相手を傷つけていることにきがついていないことが多い。
ところが、職場には、それを理解し、善意に解釈してくれる先輩ばかりいるとはかぎらない。
中には、あいつは生意気だとか、思いあがっているということで、つらく当たる人もいる。
「職場は競争の場だから、先輩も後輩もない、自分で思うようにバリバリやればよい」という考え方も、まちがっているとはいえないが、そのために、他人の立場や感情を無視するとあっては明らかにゆきすぎである。
組織は、一人だけの力で勝負するところではなく、集団の力の結集によって勝負するところなので、人間的つながりが、
個人に優先して重視されることを忘れてはならない。
一人前のビジネスマンともなれば、相手の立場を考え、先輩を立てることも学ばなければならない。
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先輩につらく当たられるときは、嫌われていることを承知の上で、進んで仕事のことをたずねたり、相談をもちかけたりして、先輩を頼りにしているという態度を示すことである。
このようにすれば、先輩も好意をもつようになるものだ。
先輩後輩の関係は微妙なものがあり、ドライに割り切っていけない面もあるので、参考のため、先輩に対する心得を列挙しておこう。
1.先輩を立てる
2.先輩をさしおいてでしゃばらない
3.先輩をやっつけない
4.先輩に楯つかない
5.先輩のあげ足をとらない
6.先輩に文句を言い過ぎない
7.先輩をばかにしない
8.先輩に仕事を押し付けない
9.先輩間の話に割り込まない
10.進んで先輩の指導を受ける
11.先輩のいうことを素直に聞き入れる
12.先輩の立場に立って考える
以上の点に注意していれば、先輩との人間関係もスムーズにいくはずである。