アダルトチルドレンとは、「アルコール依存症」の家族のなかで子ども時代を送った大人たちを指している。
1955年に、米国医学協会がアルコール依存症を「病気」として認め、その後に、家族の病理にも目が向けられるようになった。
アダルトチルドレンの概念は、1960年代末にコークの『忘れ去られた子ども』(フォゴットン・チルドレン)に始まった。
そして、1974年に、米国で「アルコール依存症とアルコール乱用国立研究所」が、アルコール依存症の家族の子どもたちの研究を開始し、1979年に、その研究所が主催した国内会議が開催されて、関心がさらに広まった。
1983年には、「全米アルコール依存症子ども教会」(NACOA)が設立され、さらに同年には、ウォィティツが出版した『アダルトチルドレン・オブ・アルコホリックス』がベストセラーとなり、アダルトチルドレンという用語が定着していった。
ところで、1970年代から注目されてきたこのアダルトチルドレンは、英語圏では略して、ACOA(アダルトチルドレン・オブ・アルコホリックス)と呼ばれている。
そして後に、このアダルトチルドレンは、「アルコール依存症」の家族だけではなく、「機能不全家族」に育った子どもであるACDO(アダルトチルドレン・オブ・ディスファンクショナル・ファミリー)にも出現するといわれ、現在では、ACODも「アルコール依存症」の家族に育ったACOAも、まとめて「AC」と総称される傾向にある。
アダルトチルドレンとは、子どもの頃に「家族内トラウマ」(心的外傷)によって傷ついて大人になった人たちを指しているが、広義のアダルトチルドレンとは、ACOAとACODを含み、狭義のアダルトチルドレンとは、ACOAのみを指している。
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さて、わが国のみならず、米国でも、このアダルトチルドレンの存在は、伝統的な精神医学や心理学の専門家からは疑問視されている。
とりわけわが国の場合、その存在は、「アルコール依存症」などの「嗜癖」(アディクション)臨床に携わる一握りのケースワーカー、カウンセラー、精神科医などにしか知られていなかった。
しかし、1995年に、米国のクリントン大統領が、このアダルトチルドレンであることを公言したことにより、その存在が多少は知られるようになってきた。
そのクリントン大統領は、「アルコール依存症」の義父のもとで育ち、義父と実母の調停役として、子ども時代を過ごしたと述べている。
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