頭まですっぽり黒い布を纏わせて、いつも民族性を前面に押し出しているアイダはあたしたちの班長。
先週あたしのところにやってきて手を差し出した。手の平にはちっちゃな丸い何かがいくつも載っている。
何かくれるのかな? 小さい小さいあめ玉か、お国特有のなにか…。
よく見るとそれは小さく小さく丸められた紙切れ。
聴説クラスで、何かニュースを2、3分ほど説明しなければならない。
その発表の順番決めのくじだった。
お国柄?その紙は硬く小さく丸められていて、指先でコネコネしたのではないかとも思う。
ひとつ引いてみる。爪を立てて紙を開こうとしてもなかなか開かない。どんだけ丸めたのよ。傍らで紙が開かれるのを待つアイダ。
やっとのことで開いた紙に書かれていたのは「1」。
他の子たちのイグザンプルを見ることなく訪れた発表の日。
あたしは「東京のオリンピック招致成功」を話すことにした。
オリンピックがらみとなると専門用語が入ってくる。なるべく易しい言葉を選んだつもりだけれど、みんなポカンとしている。まあ少なくともオリンピックの話をしていることは理解してくれたはず。
ポカン状態の前で、手振りつきで「お・も・て・な・し」とやってみた。
すべった。
発表が終わると先生が言った。
「みんな聞き取れなかったみたいね。彼女がしゃべっていたのは……という内容よ。そうでしょ?」
先生だけが内容を完璧に聞き取ってくれていた。先生が理解してくれたから、いいや。
セバスチャンはリンダと同じくイタリア人。
彼は顎に立派なひげを蓄え、その分頭の方に回らなかったのか、上は残念。
リンダは部屋にいる時意外、いつもセバスチャンと一緒にいる。
一応確認してみると、二人は付き合っているわけではなかった。
彼女ではない女といつも一緒にいるひげ面イタリア人…。
完全なる偏見だけど、彼はあっち系ではないか?
そう思ったのはなんとあたしだけではなかった。
セバスチャンと同じクラスの女の子が、彼が3人の女の子に囲まれているところを目撃し、やはり「あっち系では…?」と思ったらしい。
部屋にリンダの下着が干してあってもリンダは平気で彼を部屋に入れるし、彼のほうも気にしていない様子。
今回はややヨーロピアンな学期。それも悪くないかも。
先週あたしのところにやってきて手を差し出した。手の平にはちっちゃな丸い何かがいくつも載っている。
何かくれるのかな? 小さい小さいあめ玉か、お国特有のなにか…。
よく見るとそれは小さく小さく丸められた紙切れ。
聴説クラスで、何かニュースを2、3分ほど説明しなければならない。
その発表の順番決めのくじだった。
お国柄?その紙は硬く小さく丸められていて、指先でコネコネしたのではないかとも思う。
ひとつ引いてみる。爪を立てて紙を開こうとしてもなかなか開かない。どんだけ丸めたのよ。傍らで紙が開かれるのを待つアイダ。
やっとのことで開いた紙に書かれていたのは「1」。
他の子たちのイグザンプルを見ることなく訪れた発表の日。
あたしは「東京のオリンピック招致成功」を話すことにした。
オリンピックがらみとなると専門用語が入ってくる。なるべく易しい言葉を選んだつもりだけれど、みんなポカンとしている。まあ少なくともオリンピックの話をしていることは理解してくれたはず。
ポカン状態の前で、手振りつきで「お・も・て・な・し」とやってみた。
すべった。
発表が終わると先生が言った。
「みんな聞き取れなかったみたいね。彼女がしゃべっていたのは……という内容よ。そうでしょ?」
先生だけが内容を完璧に聞き取ってくれていた。先生が理解してくれたから、いいや。
セバスチャンはリンダと同じくイタリア人。
彼は顎に立派なひげを蓄え、その分頭の方に回らなかったのか、上は残念。
リンダは部屋にいる時意外、いつもセバスチャンと一緒にいる。
一応確認してみると、二人は付き合っているわけではなかった。
彼女ではない女といつも一緒にいるひげ面イタリア人…。
完全なる偏見だけど、彼はあっち系ではないか?
そう思ったのはなんとあたしだけではなかった。
セバスチャンと同じクラスの女の子が、彼が3人の女の子に囲まれているところを目撃し、やはり「あっち系では…?」と思ったらしい。
部屋にリンダの下着が干してあってもリンダは平気で彼を部屋に入れるし、彼のほうも気にしていない様子。
今回はややヨーロピアンな学期。それも悪くないかも。