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『マスカレード・イブ』 東野圭吾

2016年04月04日 22時34分00秒 | ■読書
「東野圭吾」の連作短篇集『マスカレード・イブ』を読みました。


禁断の魔術夢幻花(むげんばな) ラプラスの魔女 に続き「東野圭吾」作品です。

-----story-------------
ホテル・コルテシア東京のフロントクラーク「山岸尚美」と、警視庁捜査一課の「新田浩介」
『マスカレード・ホテル』で二人が出会う前、大学教授殺人事件の真相とは!?
新シリーズ第2弾!!

ホテル・コルテシア大阪で働く「山岸尚美」は、ある客たちの仮面に気づく。
一方、東京で発生した殺人事件の捜査に当たる「新田浩介」は、一人の男に目をつけた。事件の夜、男は大阪にいたと主張するが、なぜかホテル名を言わない。
殺人の疑いをかけられてでも守りたい秘密とは何なのか。
お客さまの仮面を守り抜くのが彼女の仕事なら、犯人の仮面を暴くのが彼の職務。
二人が出会う前の、それぞれの物語。
「マスカレード」シリーズ第2弾。
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「マスカレード」シリーズ第2弾で、前作マスカレード・ホテルの前日憚となる連作短篇集で軽く読めるミステリ作品です、、、

マスカレード・ホテルを読んだのは、3年半くらい前なので、思い出しながら読んだ感じですが… 結構、忘れてますね。

『小説すばる』で2013年に発表された2編と、2014年発表の1編に加えて書き下ろしの『マスカレード・イブ』が収録され、前作からの主人公コンビ「新田浩介」「山岸尚美」が出会う前の、2人の新人時代も含めたそれぞれのストーリーや、前作で触れられていた台詞や場面に関するエピソードが明かされていいます。

 ■それぞれの仮面
 ■ルーキー登場
 ■仮面と覆面
 ■マスカレード・イブ



『それぞれの仮面』は、コルテシア東京に就職して4年目の新米フロントクラーク「山岸尚美」の前に、元彼「宮原隆司」が宿泊客として現れトラブルを巻き起こす物語、、、

元プロ野球選手のタレント「大山将弘」のマネージャーとして彼と共にチェックインした「宮原」は、その日の夜「尚美」に愛人が自殺を仄めかして失踪してしまったと相談… 愛人が以前に自殺未遂騒ぎを起こしていることから予断を許さない状況の中、あくまで妻や会社に内密にしたいという「宮原」の意向を受けて「尚美」は、「宮原」が仕事の関係で海外に経つ明日までに愛人の捜索を開始する。

やがて次々と高価なルームサービスを注文するプレジデンシャル・スイートの客の存在から、この騒動に関わる様々な人間達の仮面の下の素顔を垣間見ることになる、、、

マネージャーとしてタレントを守るために仮面をつけたり、二股をかけた、それぞれの相手を偽るために仮面をつけたり… でも、それを知っても、お客様の仮面に隠された本当の顔を明かすことや剥がすことはない。

逆に言うと、ホテルマンも仮面をつけてるってことなんでしょうね。

以下、主な登場人物です。

「宮原 隆司」
尚美の大学時代からの元彼。
尚美が参加していた映画研究会の先輩で、映画グランド・ホテルの話をきっかけに様々な映画を一緒に観る恋人同士となったが、卒業後に就職した中堅ゼネコンが倒産し、大阪の不動産会社に再就職が決まったのを機に尚美と別れた。
大阪の会社からリストラされ、現在は従姉が「大山プロダクション」社長と友達同士という縁から大山のマネージャーとなり、本人曰く2年前に結婚しているという。
性格的に気が弱いが、デートでも尚美への配慮を欠かせない気遣いの人でもあった。

「西村 美枝子」
コルテシア東京の宿泊客で1105号室にチェックインした。
ブランド物を着飾ったすらりとした長身の女性。
北新地のクラブのホステスで、宮原とはそこで知り合い不倫関係にあるという。

「大山 将弘」
元プロ野球。
2年前に現役を引退してからは妻が社長を務める「大山プロダクション」という自身をマネジメントする会社でタレントや野球解説の活動をしており、宮原らからは「大将」と呼ばれている。
宮原や弟分の元野球選手と共にコルテシア東京にチェックインし、テレビ番組の企画でサッカーを観るためスペインに経つ予定を控えている。



『ルーキー登場』は、捜査一課に配属されて間もない新人刑事「新田浩介」が、ホワイトデーの夜に発生した実業家殺害事件の捜査に参加して非凡な才能をみせる物語、、、

殺された「田所昇一」は夜中のジョギング中に殺害されており、現場付近には犯人が「昇一」を待ち伏せていたことを示す5本の煙草の吸殻が残されていた… 「昇一」の周辺で怨恨や痴情のもつれによる動機の線が浮上せず捜査が行き詰る中、「新田」はふとした閃きから現場の偽装を見抜き、やがて「昇一」殺害の犯人の元に辿り着く。

そして、犯人の動機を調べる過程で「新田」は、とある人物の仮面の下にある複雑かつ狡猾な素顔に迫っていった、、、

でも、犯人の方が一枚も二枚も上手でしたね… 追い詰めきれませんでしたね。

以下、主な登場人物です。

「田所 美千代」
殺害された田所昇一の妻。
京橋で料理教室を開いており、明るく気配りのできる様子から生徒達には好評だった模様。
昇一とは生徒の紹介を通じて知り合い3年前に結婚した。
夫の昇一は複数の飲食店を手掛ける実業家で、人望もあり部下には家族と行事を過ごすように言い聞かせる人物だった。

「横森 仁志」
美千代の料理教室の生徒。
うつ病と診断されて会社を休職中で、初めて料理教室に通った時から美千代に想いを寄せている。

「岩倉」
昇一の部下。
部下達の中では最もキャリアが長く、新田と本宮の聞き込みに応じる。



『仮面と覆面』は、コルテシア東京を予約した美人で知られる人気女流作家「タチバナサクラ」の居場所を突き止め遭遇することを目的に宿泊した典型的なオタク5人組が巻き起こすトラブルを扱った物語、、、

「タチバナサクラ」の担当編集者の「望月」に事態を知らせ、トラブルが起きないよう目を光らせる「尚美」だったが、「タチバナサクラ」として宿泊したのは「玉村薫」と名乗る中年男だった… 「望月」から「玉村」が女流作家の覆面を被らざるを得ない諸事情を知った「尚美」は、あらゆる手段を講じることも辞さないオタク達から、その秘密が明らかになるのを防がんとするが、一方で缶詰め状態で小説を執筆しているはずの「玉村」が度々外出していることに引っ掛かりを覚えていた。

「タチバナサクラ」の正体は、中年男と思わせておいて… 実は、若い女性だった、、、

というオチでしたね… 二重に仮面を被っていた感じ、ウラのウラはオモテなんですね。

以下、主な登場人物です。

「玉村 薫 / タチバナサクラ」
ペンネーム「タチバナサクラ」として活動する人気女流作家。
性別、生年月日以外は非公表で計算すれば年齢27歳という触れ込みだが、実際は玉村薫という中年男性。
今年の春から一ツ橋出版主催の新人賞に受賞したデビュー作が、青春小説のジャンルながらも過激な性描写もウリとなりヒットし、その後もベストセラーを連発している。
しかし受賞しやすいだろうと性別詐称をしていたことを知った編集部により、女性覆面作家として売り出されるが、ファンに幻想を抱かせるために瓜実顔で仕上げた合成写真が、ボカシを入れる前に流出したことから、本人の知らないところで熱狂的なファンに捜索される身となる。
逃走癖があり幾度か雲隠れして望月らを困らせている。
尚、高校生の娘がおり、編集部への電話の応対を彼女がしていた。

「望月 和郎」
一ツ橋出版勤務で玉村の担当編集者。
玉村に新作を上梓してもらおうとコルテシア東京を予約し玉村を缶詰にさせ、「動物園の飼育係と同じ」と割り切り、お目付け役として玉村が逃げずに執筆に専念しているか目を光らせている。
タチバナサクラの正体を知った尚美に、その正体を知られないように協力してほしいと頼む。

「目黒 和則」
タチバナサクラファンのオタク5人組の一人。
黒縁眼鏡を掛け、中年にも高校生にも見える栃木在住の年齢不詳の男性。

「犬飼」
オタク5人組の一人で静岡在住。
5人の中では強気な態度を取ることが多い。

「今村 祐二」
出版社「灸英社」文芸書籍編集部勤務の男性。
タチバナサクラに仕事の依頼をするため、コルテシア東京を訪ねてくるが…。



『マスカレード・イブ』は、大阪に出張し、開業して間もないホテル・コルテシア大阪に教育係も兼ねて応援として勤務する「尚美」が、東京で発生した大学教授の「岡島孝雄」が教授室内で刺殺される事件の真相究明に関わる物語、、、

所轄の女性警官の「穂積理沙」と共に捜査にあたった「新田は」有力な容疑者として「岡島」と同じ学部の准教授の「南原」に目を付ける… 犯行時には京都のホテルにいたと主張する「南原」だが、アリバイを崩されると大阪のホテルに泊まっていたことは認めるものの、そこで密会していた不倫相手の人妻に迷惑をかけられないとホテルや人妻の名前を教えることを頑なに拒否する。

共犯者の線も浮かび上がるも、「新田」達はアリバイ確認となり得る具体的な証言を避ける「南原」の真意を掴めずにいた、、、

やがて度重なる追求の中で「南原」はホテル名を白状するが、そのホテルこそコルテシア大阪だった… 東京から大阪に出張して、「新田」の尻尾をつかもうと懸命に聞き取りをするが、何も手がかりを掴めない「穂積理沙」に同情した「尚美」が、ホテルマンとしての嗅覚を活かしたヒント(自らの推理)を与える展開が面白かったですね。

それにしても、交換殺人とは… 古くからあるネタですが愉しめました。

以下、主な登場人物です。

「穂積 理沙」
八王子南署生活安全課の女性警察官。
岡島殺害事件の特捜本部が八王子南署に設置されたため応援に駆り出され、新田とコンビを組む。
後に新田からコルテシア大阪への聞き込みの仕事を振られ、尚美と対面することになる。
体つきはがっしりとしながらも警官らしからぬおっとりとした丸顔の女性。
あっけらかんとした性格のお喋り好きで、楽天的な言動や突飛な推理を披露する様子から新田に呆れ気味に見られている。
悪者をやっつけたいと警官を志し、男性の補助が多いことに内心めげつつも、成果をあげようと一生懸命に仕事に取り組み、その姿勢に共感した尚美から重要な証言を得ることになった。

「南原 定之」
泰鵬大学理工学部准教授。
40代半ばながらも洗練とした印象の男性。
教授の岡島と共に半導体の新材料を作る研究しており、自身が特許を取得した「極限点におけるMKE製法」の技術を岡島が採用しない方針を定めたため、地位と巨額の富を得るチャンスがふいになることから岡島を殺す動機のある人物として新田達にマークされる。
本人は自分の売りは実行力だと自負する。

「畑山 玲子」
美容サロンやフィットネスクラブを手掛ける会社の女社長。
年齢は40歳だがそれよりも若く見えるハスキーボイスの女性で薔薇の香水をつけている。
横浜の資産家の父・輝信の一人娘として育ち、大学卒業後はアメリカに2年間留学、外資系会社で働いた後に30歳の頃に父の援助で起業した。
南原と同じ日にコルテシア大阪に宿泊しており、南原の不倫相手である疑惑を掛けられる。
現在、父・輝信は春に倒れて意識不明となり、いつ亡くなってもおかしくない状態にある。

「畑山 義之」
玲子の夫で畑山家の婿にあたる。
玲子の会社の専務取締役を務め、仕事では旧姓の「矢部」を名乗っている。
年齢は玲子より10歳年上。
「愛・勇気・運」を集約した玲子の事業の才覚に傾倒し、彼女を愛し守ろうとする意思を持つ。

「山本」「鈴木」
泰鵬大学理工学部の助手と学生。
岡島の死体の第一発見者で、助手の山本は聞き込みに来た新田に南原に関する証言を提供する。

「田代」
コルテシア大阪の若手フロントクラーク。

「吉村」
コルテシア大阪のアシスタント・マネージャー。
コルテシア大阪に聞き込みにきた理沙に尚美を引き合わし、尚美に証言を頼む。



『マスカレード・ホテル』の伏線となるエピソードが含まれているので、再度、『マスカレード・ホテル』を読んでみたくなりましたけど、、、

それよりも、続篇が読みたいなぁ… できれば長篇で。



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