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『「黄金のバンタム」を破った男』 百田尚樹

2016年10月03日 22時36分00秒 | ■読書
「百田尚樹」が、ボクサー「ファイティング原田」の軌跡を綴ったノンフィクション作品『「黄金のバンタム」を破った男(原題:リング)』を読みました。


ここのところ、ラグビー関係の本を読んでいたので、スポーツ関係の作品がイイなぁ… と思って手に取りました、、、

「百田尚樹」作品は、昨年読んだ夢を売る男以来なので約1年振りですね。

-----story-------------
1960年代、日本ボクシングの最も熱くて輝ける季節――伝説の名チャンピオン「ファイティング原田」とライバルたちの激闘の軌跡を描いた本書。
主要4団体に17階級がある現在と違い、当時は1団体8階級のみ。
その座をめぐる闘いは、今とは比べ物にならない。

そして敗戦の記憶も生々しい当時、2つの拳だけで世界に挑むこのスポーツが全国民を熱狂させた。
時代の高揚感のなかで躍動し、19歳でフライ級王者となった若者は、その後「黄金のバンタム」と呼ばれた「エデル・ジョフレ」を破って2階級制覇、スターダムへと駆け上がる。
想像を絶する過酷な減量と、強豪たちとのギリギリの勝負。

そして、理不尽な判定に泣いた「幻の三階級制覇」……。
試合場面の描写は、著者のヒット作『ボックス!』にまさるスピード感と臨場感。
日本の青春、選手たちの青春の勃々たる熱気がストレートに胸を打つ感動長篇。
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これは1960年代という熱狂的な時代を背負って戦い抜いた、一人のボクサー「ファイティング原田」の戦いの軌跡が綴られた長篇ノンフィクション作品です。

 ■第一章:日本ボクシングの夜明け
  「ヨシオ、君はこの試合に勝利することで、
   敗戦で失われた日本人の自信と気力を呼び戻すのだ」(カーン)
 ■第ニ章:ホープたちの季節
  「俺は素質のある方じゃなかった。
   だから人の二倍三倍やらないとダメだったんだ」(原田)
 ■第三章:切り札の決断
  「自分で決断したことです。男として後悔したことは一度もありません」(矢尾板)
 ■第四章:スーパースター
  「海老原、左が折れても、右でやります。死ぬまでやる」(エディ)
 ■第五章:フライ級三羽烏
  「努力はかならず報われる。練習は裏切らない。
   そのことを証明するためにも、何がなんでも勝ちたかった」(原田)
 ■六章:黄金のバンタム
  「俺は一度もノックアウトされたことがない。だからストップはしないでくれ。
   これが俺の最後の試合だ」(ロス)
 ■第七章:マルスが去った
  「タイトルを失うことは、銅貨を一枚失うのとは違う」(ジョフレ)
 ■第八章:チャンピオンの苦しみ
  「調子は良かった。作戦の誤りもなかった。自らの力を出し切った」(メデル)
 ■第九章:「十年」という覚悟
  「他のことはいつでもできる。でも、ボクシングは今しかできない。
   それに世界チャンピオンとリングで戦える人生なんて、
   他に比べることができないじゃないか」(原田)
 ■主な参考文献
 ■解説――物語で訴える傑作ノンフィクション 増田俊也


「ファイティング原田」を軸に、日本ボクサー初の世界チャンピオンとなった「白井義男」の物語から、1960年代前後に活躍した「矢尾板貞雄」「関光徳」「米倉健志」「海老原博幸」「青木勝利」等々の日本人ボクサーたちの闘いや人生、そして当時の日本の状況や日本人のボクシングに対する思い等を描いた作品、、、

感情を抑え、淡々とした筆致で綴られているので、感情移入して感動する… という感じではなく、時系列に沿って冷静に当時の状況を確認するような作品でした。

スマートではないが、不器用で愚直、そして、打たれても打たれても怯むことなく、常に前へ前へ向かう勇敢なプレースタイルや、ストイックにボクシングに取り組む姿勢が「ファイティング原田」の魅力だったんでしょうね… 高度成長期だった日本国民に勇気と誇りを与える存在として、自らの姿を投影する存在として共感を得やすかっただろうなぁ、、、

そして、強さも半端ないですよね… 「ガロ・デ・オーロ(黄金のバンタム)」と呼ばれた「エデル・ジョフレ」の通算戦績75戦69勝(48KO)2敗4引分けの2敗は、いずれも「ファイティング原田」による黒星ですからね。

あの「マイク・タイソン」が若い頃「ファイティング原田」のビデオを繰り返し見て、戦法を真似たって言うくらいだもんな、、、

海外の多くの専門誌が「歴代最も偉大な日本人ボクサー」として「ファイティング原田」の名前を挙げているらしいし、WBCが選んだ偉大なボクサー26人に「モハメド・アリ」らとともに選ばれり、名誉の殿堂たる世界ボクシング殿堂や国際ボクシング名誉の殿堂博物館で顕彰されている唯一の日本人ボクサーであることからも、その実力が世界に認められた数少ない日本人ボクサーだったんですね。


「ファイティング原田」の試合は観たことがありませんが、、、

私が子どもの頃は、「具志堅用高」の絶頂期だったので、タイトルマッチは茶の間に家族揃って観ていたことを思い出しました… プロボクシングって、当時は人気番組だったですよね。

懐かしく思い出しました。


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