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『漆黒の霧の中で―彫師伊之助捕物覚え―』 藤沢周平

2020年03月03日 21時12分00秒 | ■読書
「藤沢周平」の長篇時代小説『漆黒の霧の中で―彫師伊之助捕物覚え―』を読みました。


消えた女―彫師伊之助捕物覚え―に続き、「藤沢周平」作品です。

-----story-------------
――殺しだよ。
傷は、柔術で言う独古(どっこ)と呼ぶ急所を抉ったあとだった……。
癒しがたい過去を抱えた元・岡っ引き、「伊之助」
その面前で、殺しが殺しを呼ぶ。
時代小説の名手が描く、江戸のハードボイルド。シリーズ第二作。

竪川に上った不審な水死人の素姓を洗って、聞きこみを続ける「伊之助」の前にくり広げられる江戸の町人たちの人生模様──。
そして、闇に跳梁する謎の殺人鬼による、第二、第三の殺人――。
「伊之助」の孤独な探索は、大店の主人や寺僧たちの悪と欲の世界を明るみに出すが……。
元は凄腕の岡っ引、今は版木彫り職人の「伊之助」を主人公とする、絶妙の大江戸ハードボイルド。
シリーズ第二弾!
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「彫師伊之助捕物覚え」三部作の第2作にあたる作品で1982年(昭和57年)に刊行された作品です、、、

消えた女―彫師伊之助捕物覚え―に続き、本作品でも、元凄腕の岡っ引で彫師の「伊之助」が十手を持たない一職人の身で難事件を解決する展開が心地良いですね… ハードボイルドタッチの時代小説という独特の世界観も相変わらずで、愉しめる一冊でした。

版木彫り職人の「伊之助」は仕事に向かう途中で、堅川から引き上げられた死体を見かける… ふと興味を覚えて死体を見ると、左耳の後ろに何かに刺された痕がある!殺しだ、、、

その殺しのことで、定町回り同心の「石塚宗平」「伊之助」を訪ねてきた… 岡っ引の「多三郎」を助けてやって欲しいというのだ。

殺された男は、金右衛門店という裏店でひとり住まいをしており経師屋に勤める通い職人で34歳の「七蔵」だったが、職場でも目立たない存在で得体の知れない男のようである… 「伊之助」は軽い気持ちで助けることにした。

「伊之助」「七蔵」の足取りを追っている内におぼろげながら「七蔵」という男が分かってきた… 「七蔵」というのは偽名で、呉服屋駿河屋に勤めていた「七之助」というのが本名で、しかも、ひとり身ではなく「おさき」という妻がいたのだ、、、

しかし、この「おさき」はある時、消えるようにしていなくなっている… 「七之助」は、その「おさき」のことを方々を探していたらしい… そして「七之助」は海竜寺という寺を度々訪れており、この寺で易者に何かの相談をしていたことが判る、、、

その後、海竜寺や駿河屋に絡む、何らかの情報を掴んでいたと思われる下っ引の「半次」が殺され、以前「七之助」と一緒に住んでおり「七之助」と駿河屋の関係を知る「仙太」が殺される。

そして、「伊之助」も何者かに狙われる… 「伊之助」が狙われる理由は一つしかない、「七之助」を追っていたからだ、、、

しかし、相手の何に迫ったから狙われたのかが分からない… 「伊之助」は、命の危険も顧みず地道に孤独な探索を続け、一歩ずつ真相に近付いていき、この事件には駿河屋や寺社だけでなく、札差の丸子屋や糸屋の若江屋、さらには大奥の奥女中までもが絡んでいることを突き止める。

終盤、大奥までもが絡んだ真相が一挙に判明し、殺し屋と一騎討ちとなるクライマックスまでは一気読みでしたね… 面白かったです、、、

前作で、事件が片付いたら「おまさ」と一緒になると約束をしたb>「伊之助」でしたが、本作では「おまさ」とは結婚の約束までには至っていませんでしたね… 二人の中はずいぶんと進展してるみたいなので、最終話の第3作でどうなるのかが気になりますね。





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