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『誘拐児』 翔田寛

2024年04月21日 21時42分28秒 | ■読書
翔田寛の長篇ミステリ作品『誘拐児』を読みました。
翔田寛の作品は4年前に読んだ連作短篇時代小説『幽霊が返した借金 おでん屋こはる事件帖』以来なので、久し振りですね。

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第54回江戸川乱歩賞受賞作

昭和21年、帰らなかった誘拐児。悲劇はそこから始まった――。
緊迫の推理。
かつてなく切ないラスト。
圧倒的筆力で描く興奮、そして涙。

終戦翌年の誘拐事件。身代金受け渡し場所、闇市。
犯人確保に失敗。そして15年後、事件がふたたび動き出す――。
人間の非情と情愛を見つめる魂の物語。

選考委員、大沢在昌氏、東野圭吾氏、推挙!
●大沢在昌氏「昭和36年という舞台を描いて、無理を感じさせないその筆力に、まず可能性を感じた。」
●東野圭吾氏「文章、ストーリー、人物描写、すべてが安定している。場面転換も巧みで、読者を飽きさせない。」
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2008年(平成20年)に刊行され、第54回江戸川乱歩賞を受賞した作品です。

終戦翌年の昭和21年夏、実業家の子息で、5歳になる男の子が東京・成城の自宅前から誘拐された……やがて、犯人から脅迫状が届く、、、

「使い古しの新圓で百萬圓を用意しろ。場所は有樂町カストリ横丁」 警察は犯人逮捕に全力をあげ、屈強な刑事たちが闇市を張り込むが、誘拐犯はその目前で身代金を奪ったうえ、子どもを連れて逃げてしまった……あれから15年、手がかりは何もなく、迷宮入りしたかに見えた。

しかし、とある殺人事件をきっかけに、再び児童誘拐事件が動き出した! 二つの事件が思わぬ形で繋がってゆく……圧倒的筆力で描く本年度江戸川乱歩賞受賞作。

戦後の混乱期に起きた未解決の誘拐事件と、15年後に起きた殺人事件が絡み合う展開……お互いに意地を張り反目しあいながら真相究明に向けて地道な捜査を続ける二組の刑事や、自らが誘拐事件の被害者ではないのかと疑いを持つ青年とその恋人、登場人物たちの視点が交差し、徐々に誘拐事件の真相が浮かび上がるという謎解きの展開に引き込まれ、最後まで集中力を欠くことなく読めましたね、、、

主人公以外の登場人物も魅力的で、彼らの人間関係や心情描写が物語に深みを与えていると感じたし、リアリティのある戦後の混乱期の描写も魅力的で物語に臨場感を与えていると感じましたね……面白かったー 好みの作風の作品だったので愉しめました。

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