「筒井康隆」が自らセレクトした短篇集『最後の喫煙者―自選ドタバタ傑作集〈1〉』を読みました。
「大森望」がセレクトしたアンソロジー作品『不思議の扉 時間がいっぱい』に収録されていた『しゃっくり』を読んで、久しぶりに「筒井康隆」作品を読みたくなったんですよね。
-----story-------------
ドタバタとは手足がケイレンし、血液が逆流し、脳が耳からこぼれるほど笑ってしまう芸術表現のことである。
健康ファシズムが暴走し、喫煙者が国家的弾圧を受けるようになっても、おれは喫い続ける。
地上最後のスモーカーとなった小説家の闘い『最後の喫煙者』。
究極のエロ・グロ・ナンセンスが炸裂するスプラッター・コメディ『問題外科』。
「ツツイ」中毒必至の自選爆笑傑作集第一弾。
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アンソロジー作品以外で「筒井康隆」作品を読むのは、9年前に読んだ『富豪刑事』以来なので、ホントに久しぶりです… 『自選ドタバタ傑作集』と銘打っているだけあり、相変わらずユーモアに溢れた、それも相当に黒いユーモアたっぷりの作品ばかり9篇が収録されています。
■急流
■問題外科
■最後の喫煙者
■老境のターザン
■こぶ天才
■ヤマザキ
■喪失の日
■平行世界
■万延元年のラグビー
■解説 センス以前への飛翔 大岡玲
どの作品も愉しめましたが、その中でも印象に残ったのは、『急流』、『問題外科』、『喪失の日』、『平行世界』、『万延元年のラグビー』の5篇ですね。
『急流』は、ある時から、時間が経過が徐々に早くなり始め、それが加速度的に早くなるという物語… 余裕を持って家を出たのに会社に遅刻する、一日の仕事時間が減る、飲み屋はあっという間に閉店する、交通機関は時刻表に対応できず事故を多発、、、
人類は、この異変にに対応できないまま、1日は3日半分になり、5日分になり、それでも加速は止まらない… 天体の運行が目に見えるようになり、時計の秒針は目視できないほどのスピードで回転し、風呂へ入れば一週間が経過し、飯を食っていると十日かかる、家を出る時に雪が降れば会社に着くと真夏になっているという有様。
そして異変の終着には、想像を絶する真相が待っていた… あれよあれよと言う間に、時代は21世紀に突入するかに思われたが、、、
そこに待っていたものは… 「んなアホな」なオチが大好きです。
『問題外科』は無茶苦茶な外科医を扱ったグロテスクな物語… 決して笑えません、、、
医者に行くのが怖くなる… そんな印象が残る作品でした。
『喪失の日』は、エリート社員「藁井(わらい)勇」の初体験を面白おかしく描いた物語… 童貞を喪失する相手として理想の女性と考えていた秘書課の美人社員「野口圭子」とホテルで夜を共にすることができることになり、人一倍自尊心と性欲の強い「藁井」は、この機を逃してなるものかとあれこれと頭の中でシミュレートする、、、
ホテルへの誘い方、スーツや下着の脱がし方、道中でヤクザと出会った時の対処法… おかげで会社内や取引先で恥をかくものの、夜の行為は概ね成功した。
しかし、「藁井」は、自分の行為に満足できず、名誉を挽回するチャンスをうかがっていた… ヤクザでも襲ってくれば、得意の柔道で投げ飛ばし、尊敬を勝ち取れるものを、、、
と妄想しながら、「圭子」と私鉄の改札に辿り着き、その先で… 下ネタ満載の展開と、意地の悪いオチが印象的でした。
『平行世界』は、自分の住んでいる地域が、上にも下にも平行に幾層にもなった世界を描いた物語… そこへ、ひとつ上の層からやってきた「おれ」が、約250から260ぐらい上の方から来た「おれ」を連れて訪問してくる、、、
映画でも見ようと市街に出かけた「おれ」は異変に気付いた… 線路の眼下にあるのは、本来頭上、山の上にあるはずの厄除け八幡で、さらにその下には、これまた頭上にあるはずの「おれ」の家がある。
別の世界の「おれ」の家が、見渡す限り何層にも連なっている世界… 同じ風景が無限ループのように繰り返されているが、置かれている環境や人物は全く同じではなく、層を超えるたびに、ちょっとずつ、ちょっとずつ変化しているという不思議な世界観(パラレルワールド)が愉しめる作品でした。
『万延元年のラグビー』は、桜田門外の変を扱った物語… 大老「井伊直弼」の首を奪い返すために、お庭番(忍者)がラグビーの猛特訓を行い、首をラグビーボールに見立てて、争奪戦を行うという展開、、、
ラグビーの歴史が語られていることから印象に残りましたが、ブラック過ぎて笑えない内容でしたね… この作品のタイトルは大江健三郎の長編小説『万延元年のフットボール』のパロディのようですね。
「大森望」がセレクトしたアンソロジー作品『不思議の扉 時間がいっぱい』に収録されていた『しゃっくり』を読んで、久しぶりに「筒井康隆」作品を読みたくなったんですよね。
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ドタバタとは手足がケイレンし、血液が逆流し、脳が耳からこぼれるほど笑ってしまう芸術表現のことである。
健康ファシズムが暴走し、喫煙者が国家的弾圧を受けるようになっても、おれは喫い続ける。
地上最後のスモーカーとなった小説家の闘い『最後の喫煙者』。
究極のエロ・グロ・ナンセンスが炸裂するスプラッター・コメディ『問題外科』。
「ツツイ」中毒必至の自選爆笑傑作集第一弾。
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アンソロジー作品以外で「筒井康隆」作品を読むのは、9年前に読んだ『富豪刑事』以来なので、ホントに久しぶりです… 『自選ドタバタ傑作集』と銘打っているだけあり、相変わらずユーモアに溢れた、それも相当に黒いユーモアたっぷりの作品ばかり9篇が収録されています。
■急流
■問題外科
■最後の喫煙者
■老境のターザン
■こぶ天才
■ヤマザキ
■喪失の日
■平行世界
■万延元年のラグビー
■解説 センス以前への飛翔 大岡玲
どの作品も愉しめましたが、その中でも印象に残ったのは、『急流』、『問題外科』、『喪失の日』、『平行世界』、『万延元年のラグビー』の5篇ですね。
『急流』は、ある時から、時間が経過が徐々に早くなり始め、それが加速度的に早くなるという物語… 余裕を持って家を出たのに会社に遅刻する、一日の仕事時間が減る、飲み屋はあっという間に閉店する、交通機関は時刻表に対応できず事故を多発、、、
人類は、この異変にに対応できないまま、1日は3日半分になり、5日分になり、それでも加速は止まらない… 天体の運行が目に見えるようになり、時計の秒針は目視できないほどのスピードで回転し、風呂へ入れば一週間が経過し、飯を食っていると十日かかる、家を出る時に雪が降れば会社に着くと真夏になっているという有様。
そして異変の終着には、想像を絶する真相が待っていた… あれよあれよと言う間に、時代は21世紀に突入するかに思われたが、、、
そこに待っていたものは… 「んなアホな」なオチが大好きです。
『問題外科』は無茶苦茶な外科医を扱ったグロテスクな物語… 決して笑えません、、、
医者に行くのが怖くなる… そんな印象が残る作品でした。
『喪失の日』は、エリート社員「藁井(わらい)勇」の初体験を面白おかしく描いた物語… 童貞を喪失する相手として理想の女性と考えていた秘書課の美人社員「野口圭子」とホテルで夜を共にすることができることになり、人一倍自尊心と性欲の強い「藁井」は、この機を逃してなるものかとあれこれと頭の中でシミュレートする、、、
ホテルへの誘い方、スーツや下着の脱がし方、道中でヤクザと出会った時の対処法… おかげで会社内や取引先で恥をかくものの、夜の行為は概ね成功した。
しかし、「藁井」は、自分の行為に満足できず、名誉を挽回するチャンスをうかがっていた… ヤクザでも襲ってくれば、得意の柔道で投げ飛ばし、尊敬を勝ち取れるものを、、、
と妄想しながら、「圭子」と私鉄の改札に辿り着き、その先で… 下ネタ満載の展開と、意地の悪いオチが印象的でした。
『平行世界』は、自分の住んでいる地域が、上にも下にも平行に幾層にもなった世界を描いた物語… そこへ、ひとつ上の層からやってきた「おれ」が、約250から260ぐらい上の方から来た「おれ」を連れて訪問してくる、、、
映画でも見ようと市街に出かけた「おれ」は異変に気付いた… 線路の眼下にあるのは、本来頭上、山の上にあるはずの厄除け八幡で、さらにその下には、これまた頭上にあるはずの「おれ」の家がある。
別の世界の「おれ」の家が、見渡す限り何層にも連なっている世界… 同じ風景が無限ループのように繰り返されているが、置かれている環境や人物は全く同じではなく、層を超えるたびに、ちょっとずつ、ちょっとずつ変化しているという不思議な世界観(パラレルワールド)が愉しめる作品でした。
『万延元年のラグビー』は、桜田門外の変を扱った物語… 大老「井伊直弼」の首を奪い返すために、お庭番(忍者)がラグビーの猛特訓を行い、首をラグビーボールに見立てて、争奪戦を行うという展開、、、
ラグビーの歴史が語られていることから印象に残りましたが、ブラック過ぎて笑えない内容でしたね… この作品のタイトルは大江健三郎の長編小説『万延元年のフットボール』のパロディのようですね。
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