TRIVIAL JUNK Blog

ダラダラコスプレイヤー”克晴”の、コスと映画とその他諸々。

SILENT HILL サイレントヒル

2006-07-30 15:36:29 | 映画


ゲーム版「バイオハザード」の大ブレイク以後、同系統のホラーゲームがブルース・リーのソックリさん映画なみに大量製作されました。
まぁそのだいたいは「ホラー」というジャンルの不文律であるかの如くアレなデキだったわけですが、コレの原作であるゲーム版「サイレントヒル」は、「」と並び独自のスタンスの確立に成功した数少ない『名作』です。

我も「サイレントヒル2」を初めてプレイした際、明快なストーリー展開で魅せる「バイオ」とは全く異質な恐怖要素にハートをがっちり鷲掴みされ、もう本作の魅力から離れることが出来ません。
その要素というのは、「暗闇や霧の恐怖・心細さ」だとか、「行間を読ませる語り口」、「各登場人物の抱える闇と苦しみ」、「メインテーマ(夫婦愛・欲望・贖罪)の深遠さ」などなどですが、とにかく「バイオ」が「食われる!」という動的恐怖とそれを重火器でネジ伏せる快感で成立しているのに対し、サイレントヒルは「静的恐怖」とでも言いましょうか、不安に蝕まれながら一歩一歩進んでいく、精神的なエグさを伴ったコワさに満ちており、その魅力は是非実際に触れてみて欲しいところです。
(「零」は日本的「幽霊」のコワさで押してくるのでこれまた別種の恐怖)

そんなこと言いつつ我がプレイしたのは2~4のみ(しかも4は…微妙)。時間作って「1」もやらねば。



えーさて前置きが長くなりましたが映画版の感想です。
<公式ページ>

真っ先にあげられるのが、もう「世界観の再現度が完璧過ぎる」ということでしょう。
「バイオ」の映画版が「アクション」に特化し別物として生まれ変わったのに対し(アレはアレで好きですが)、こちらは思わずコントローラーを握りたくなるほど再現性100%。背景等の各種デザインに飽き足らず、BGMやカメラアングルまでゲームと全く同じという、原作ファン感涙ものの所業をやってくれてます。監督ホントに原作好きなんだな!もうアンタ神だよ!
音楽絡みでは、原作「1」のOP曲で映画が始まり、「3」のOP曲でEDという、原作を知る人にはたまらない仕掛けもあり。アンタ神だよ!(2回目)

お話の方は原作「1」の流れをベースに(我は未プレイですが筋は大体知ってます)、随所に「2」や「3」のネタを散りばめて進みます。
こちらも原作を知るものとしては「よくぞここまで!」と賞賛せずにいられない、原作のネタを充分に活かした素晴らしい仕上がり。ただ、原作は「結局この出来事はなんだったのか」をほぼ全て脳内解釈する仕掛けなのに対して、映画はさすがに「説明シーン」を入れざるをえず、仕方ないとは思いつつも若干の寂しさが。それでも色々と想像の余地を残してくれているのは良かったと思います。
なお、原作を知らない場合、説明シーンまではただただ理不尽なことが起こり続けるだけにしか見えないかも知れませんが、まぁその理不尽さ・よく分からないという感覚こそが「サイレントヒル」なので…
ちなみに原作の主人公がくたびれたオッサンだったのに対し、映画版の主人公は母親。これにより「親子愛」がより分かりやすくなったので、まぁ映画版の変更としては順当なところでしょう。

ホラーシーンについても原作に沿った演出が満載。
クリーチャーについては「2」、画面演出については「3」を中心に仕上げてあり、血と錆とヌメヌメによる生理的嫌悪感を存分に味わえます。これぞサイレントヒル。
もっとも、クリーチャーについては「絶対触られたくないなんかヘンな存在」でありながら、それらの造形一つ一つに深い意味があるのがサイレントヒルの特徴ですので、それを若干無視した形の映画版クリーチャーは深いファンにはちょっと違和感があるかも知れません。
クリーチャーと言えば、”三角頭”こと大鉈の処刑人・レッドピラミッド。その迫力と存在理由で、シリーズ中でもトップクラスのインパクトと人気を誇る敵役。そこまでの人気ならばと当然映画にも出てきましたが、確かにインパクトは凄かったものの、扱い的に「たくさんいるクリーチャーの1つ」でしかなかったのは残念無念でありました。
不安を駆り立てるノイズも、発生源をラジオから携帯電話に変えてしっかり使われていましたが、こっちも一回で終わってしまったのでちと寂し。

最後の方ではかなりグロいシーンが連発されますので、そういうのがお好きなかたはウキウキしながら待つといいと思います。逆に苦手な人は事前に心構えのほどを。

ラストはかなりやるせない終わり方をします。
ゲームでも頑張り次第でハッピーエンドに出来るので、このエンドは賛否分かれるところでしょう。個人的にはまぁ「アリ」です。

あとは、なんと言っても娘役のジョデル・フェルランドが凄まじすぎます。ローズ・イン・タイドランドでも主役はってましたが、この子の年齢不相応の演技力、眼力、そしてあやしげな色気は「天才子役」を通り越して若干の恐ろしさすら。


そんなわけで、原作ファンなら絶対必見、そうでない人は「『バイオ』とは全然違う」という点をご理解のうえどうぞ。


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コメント (2)
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