太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

「大都会 闘いの日々」#17 約束

2019年02月03日 | 刑事・探偵モノ


暴力団絡みの金融業者・亀田興業から金を借りた居酒屋正駒の主人が、借金の取り立てで嫌がらせを受けていた。
たまたま通りがかって、正駒の娘がチンピラに絡まれているところを助けたバクさん(石原裕次郎)は、
駆けつけた警官にチンピラもろとも捕らえられ、留置所に入れられてしまう。

バクさんの指示で亀田興業と正駒の関係を調べていた九条(神田正輝)は、関西の潮会若衆頭を名乗る前島(高橋悦史)と出会う。



記者クラブのみなさんが一斉にこっちを見るのでびっくりですが、実は競馬の中継を必死で観ているところ。
結果は散々w 悔し紛れに、「勤労意欲を奪う博打を、お上が認めているのがけしからん」と毒づくバクさんを
後ろでニヤニヤ見ている九条がかわいいです。


その後、帰宅途中に正駒の一件に巻き込まれたバクさん。
あっというまにチンピラ二人をのしてしまう新聞記者…というのは嘘っぽいかと思いますが、
なにしろ石原裕次郎なので説得力があるしカッコいいです。このころはまだまだアクションも見せてくれたんですね。

バクさんは、九条を他の記者に内緒で留置所に来させるよう黒岩に頼む。
黒岩は、今朝家にかかってきた電話で恵子(仁科明子)と九条が会う約束をしていることを知っているため、
他の人を寄こしたいものの、そんな事情は知らないバクさんに押し切られる。

#11「大安」で黒岩のアパートを訪ねた九条は、彼の妹の恵子と出会っていました。
黒岩が不在だったため、なんとなく恵子と一緒に通勤電車で渋谷まで向かうことに。

ぎこちないながらも、ちょっといい雰囲気のふたり。
美男美女なのに、あんまり恋愛に慣れていなそうな堅さが好ましいです。

…なんて思ってたら、その後しっかりデートを重ねているもようw
携帯電話がなかったこの時代。連絡を取るには相手の家か職場に電話をかけるしかなく、
「まず名乗れ」と恋人の兄に叱られる彼氏や、妹がデートの約束をしているのを知らぬふりを装って
新聞を読む兄など、今では考えられない描写がちりばめれれていて面白いです。

翌日、結果的にすっぽかされてしまった妹を気遣い、
「昨日は九条くんと一晩中いっしょだった。新聞記者も大変だなあ」などとつぶやく黒さん、優しい…。


一方、今回の主役、関西の任侠前島と彼を慕っている弟分のカズオ(佐藤蛾次郎)。
九条が取材をしていた店に居合わせ、借金をした店主を博打に誘い負けさせて、結果借金を雪だるま式に膨らませる
やり口で店を乗っ取っている亀田興業の実態を知った前島は、自分も正駒に通い、チンピラたちの嫌がらせから
店と娘を守ろうとする。


アニキが問題に首を突っ込むのを心配して止めようとするカズオ。
もじゃもじゃ頭をぐりぐりされて嬉しそうな蛾次郎がかわいい。

カズオが心配するのも無理はなく、実は前島はヤクザとはまったく無関係の、板前崩れの任侠だった。
関西弁と頬の傷跡、チンピラ相手に物怖じしない態度でみんなが騙されていたし、
なにより本人が困った人を助けたいという気持ちが高じて任侠になりきっているので、
演技がいつのまにか実態のようになってしまっていた。

東京を離れ板前として再出発してもらおうと、カズオは自分の実家の山梨の温泉宿に前島を連れて行こうとするが、
その前に自分を頼ってくれる正駒の娘に応えようと、前島は出刃包丁を胸に潜ませ亀田興業にひとり殴り込んでゆく。

いくらその気になっているとはいえ、所詮素人。あわやのところを救ったのは、ずっと彼を追っていた九条の電話で
駆けつけた黒岩たちだった。

担架に乗せられ救急車に運ばれる途中、心配する九条に「新宿駅に待たせているカズオに先に行くよう伝えて」と頼む前島。
「あんさんブンヤさんでっしゃろ。わいのこと良う書いといて」
そういって何度も手を振りながら運ばれていくw

ええかっこしいで妄想が過ぎるちょっと困った人ではあるものの、自分に関わる人たちを幸せにしたいという優しさが
根底にあり憎めません。高橋悦史さんがハマリ役で、後味の良い作品になりました。


九条の肩をポンとたたき、笑って見せる黒さん。
「もう少し遅かったら死んでるとこだったよ」
丸さん(高品格)も九条をねぎらって声をかける。

ときには敵対する立場にもなるサツ回りの記者に対しても、自分たちの後輩であるかのような愛情を見せる刑事たち。
城西署四課の刑事たちと記者クラブの面々との関係性は、なんだか人間味があって好きです。

ホッとして少し目を潤ませながらも、新宿駅のカズオのもとに走る九条。

なにしろ今回は蛾次郎がかわいいw