東医宝鑑 内景篇(内科)四
二五、小便(七)
<石淋>
陰茎の中が痛み、小便が出ず、小腹がつっぱって痛み、膨張して小便から砂石が
流れ出、悶絶する。
沙淋は油がかたまったもので溶けやすく、石淋は結塊になるのでなかなかむずかしい。
治療法は枳殻散の煎じた水に来復丹を呑み下すと良い。
益元散は石淋の主治剤
石淋に石燕丸・滑石・硼砂散を使う。
石燕丸 石淋を治す。
処方 石燕子焼醋淬三次研、水飛焙乾、滑石・石韋・瞿麦穂各一両を作末し、
糊で梧子大に丸め、瞿麦・燈心を煎じた湯で空腹時に三〇~五〇丸呑み
下す。
滑石散 沙石淋を治す。
処方 滑石・石膏各五銭、石韋・瞿麦・木通・蜀葵子各三銭、を作末し毎二銭
を葱白茎、燈心ひとにぎり、蜜二匙を煎じた湯で空腹時にふくようする。
硼砂散 沙石淋の急痛を治す。
処方 硼砂・琥珀・赤茯苓・蜀葵子陳橘皮各三銭を作末し二銭を葱白二茎、麦
門冬二一粒、蜜二匙で煎じた湯で服用する。
<膏淋>
小便が濁ること膏に似て、ういてかたまるのは油のようである。
鹿角霜丸・秋石元・海金沙散・香児散を使う。
鹿角霜丸 膏淋の黄・白の脂膏に似て、淋瀝で痛みおぼえる症を治す。
処方 鹿角霜・白茯苓・秋石を焙ったものを各等分にして作末し、麵糊で梧子
大に丸め空腹時に米飯で五〇丸呑み下す。
秋石元 膏淋の黄・赤・白黯の膏と油蜜のような症を治す。
処方 白茯苓一両、桑螵蛸・鹿角膠珠・秋石各五銭、を作末して糕糊で梧子大
に丸め、空腹時に人蔘湯で五〇丸呑み下す。
海金沙散 膏淋を治す。
処方 海金沙・滑石各一両、甘草二銭、を作末し、毎一銭を麦門冬・燈心を煎
じた湯で服用する。
香児散 血淋・沙淋・膏淋などを治す。
処方 真麝香五分に葱白一根をついて汁をとり、孩児茶三銭半、琥珀二分半を
作末し百沸湯に葱汁を入れ、空腹時に同時に服用する。
<沙淋>小便から細砂が出る症だが、膀胱の陰火が焼けて津液が凝結した症で、軽いと砂になり、
重いと石になる症である。
沙淋に二神散・魚石散・苦杖散・琥珀散を使う。
二神散 砂石淋の急痛を治す。
処方 海金沙七銭半、滑石五銭を作末し、二銭を取って木通・麦門冬・車前草
の煎じた湯に蜜を少し入れて服用する。
魚石散 砂石淋で茎中が痛むのを治す。
処方 石骨首頭中骨五対を焼いて粉末にし、滑石五銭を作末して二回に分けて
服用するが、木通湯で調服すると砂はみな出て治る。
苦杖散 砂石淋か小便のときに落ちて痛むときに使う。
処方 虎杖根を切って毎一両を水五杯を入れて煎じるが、一杯ぐらいになった
ら、滓を捨て麝香・乳香を少しづつ入れて調服する。
琥珀散 砂石淋を治す。
処方 琥珀・滑石各二銭、木通・当帰・木香・欝金萹蓄各一銭を作末し、毎三
銭を蘆葦葉煎じた湯で空腹時に調下する。