2018.05.06 21:00~
『草野マサムネのロック大陸漫遊記』
TOKYO FM
http://www.tfm.co.jp/manyuki/
草野「もう五月! 早い。季節の変わり目というだけではなく、学校や職場での悩みのある方も・・・」
五月病・・・、昔から言われているなあ、いい季節だけど、だからこそ、か。
「元気のないときには明るい曲!」ではなく、「あえて暗い曲を聴こう」ってことか。
曰く、「暑いときにあえて熱々のチャイを飲む」。なるほど。そういえばうちも、あえて夏の週末にいつも汗かきつつ鍋食べてる人種です(関係ないか)。
草野くん自身は元気のないときに暗い曲を聴く人らしい。
で、今夜のテーマは「憂うつなときこそ、暗くて美しい曲で漫遊記」。
「あなたの琴線に触れる曲があればいいな」
ただ暗いだけではなく、「あくまでオレが美しいと感じた曲」をチョイス。
「暗いだけならサイケデリックロックとか、もっとマニアックなものもあるけれど」、あくまで「美しい曲」ということだそうだ。
「くれぐれも気持ちよくなって寝ちゃわないように」。
オンエア曲
01 ガーベラ(スピッツ)
02 センチメンタル(Syrup 16g)
03 小さなリンジー(田中茉裕)
04 貴方が好きな私(阿部真央)
05 サルビアの花(もとまろ)
06 AUTRE TEMPS(ALCEST)
07 ひかりのふるさと(青葉市子)
08 Boys & Girls(THE FUSE)
漫遊前の一曲は、スピッツの「ガーベラ」。
「スピッツの暗い曲といえば、これかな?」と本人が。
いや、本当に泣きたくなるほどきれいな曲、妖しくも美しい言葉の羅列。ギターソロに感情がのりうつる感じ。
「ライブで聴きたい!」と書いておこう。ここ数年、やっていないようですよ。
1曲目はSyrup 16gの「センチメンタル」(2002年『delayed』より)。
五十嵐くんらしい歌唱とメロディー。よけいに落ち込むというより、ざわめく心がしずまる?
草野「とっても好きなバンド。暗さ全開、暗ささらけ出し?」 スピッツ主催のイベントでも。
二人で飲んで「朝まで音楽話」を10年くらい前にしたそうで、「いい思い出」。
彼らの音楽を聴いて、「言葉ってどんどん尖らせられるんだな」と思い、「鳥肌がたつこともある」。「俺には絶対に作れない世界」と。
そういえば、五十嵐くんはSyrup解散のあと再結成までの間に「犬が吠える」というバンド名でソロ活動をしていた時期があって、その名前を草野氏に伝えたときに「日本語のバンド名はいいね」と言われた、とどこかで話していた。
ここでちょっとワタシの脱線。すみません。
Syrup 16gを聴いたのは、2004年1月15日のアコースティックライブ、ROCK YOU LIVE(at Shibuya O-East)。五十嵐隆くんの弾き語り。
会場の隅っこの壁にもたれて聴きながら、元気な気持ちがどんどん落ちていくような、小さな力なんだけどどこかに引きずられて落ちていくような、そんな感覚。かなり長いことライブを経験しているけど、ああいう心地は初体験だった。MCも小さな声で、内容も後ろ向きで。でも心に残っている。
チケットを購入したとき、以下のように、亡くなった吉村秀樹さん(bloodthirsty butchers)と五十嵐くんの名前しかのっていなくて、あとでエレファントカシマシの宮本さん、スピッツから三輪テツヤ+草野マサムネ(マサテツコンビとか言ってた??)が発表されたんだっけ。
これでもか!というくらいに個性の異なるメンバーを並べた企画意図が凄まじくて、貴重な夜になった。
吉村さんのギターがド迫力で、宮本さんのアコギの弾き語りでは、いつもの破天荒さと、いつもは隠れがちな(そうでもないか)繊細さをにじませていた。でも最後はやっぱり、白シャツ(黒じゃなかったと思うんだけど)の前ボタンを引きちぎって退場していました(笑)。
マサテツコンビは最初の緊張がハンパじゃなくて、大丈夫?とこっちが思った記憶あり。やっぱり「スピッツ」だったけど、アコギのツインギターの音はとっても新鮮だった。
ちなみに、セットリストは、
「今/船乗り/恋のはじまり/二人の世界(カバー曲:あおい輝彦)/ヘンシンポーズ/スターゲイザー」
今、OFFICIAL DATA BOOKを確認したら、アンコールは「恋は夕暮れ」でした。
なんだか、今私が見ても、うらやましいセトリではないか!
この年はゴースカがあって、いまだに音源化されていない「ヘンシンポーズ」「夜明け」「アカネ パート2」とかやっていたんだな。
カバー曲は「悲しみの果て」(エレカシ)、「モニカ」(吉川晃司)、「クレヨン」(マーシー)など。「二人の世界」はこの会場でだけだったの? ちなみに、あそこにいた人の99%がこの曲を知らなかったと思う。ワタシは知っていた・・・というのがちょっとショックでした。いやいや、なかなかきれいなメロディーのラブソングなんだけど。
また、2004年はイベントでSyrup 16gとスピッツは縁があり、2004年8月18日のVINTAGE 2004(SHIBUYA-AX)でも共演。ほかには、ストレイテナー、THE BACK HORNと、これもすごかったです。
スピッツのセトリは「メモリーズ・カスタム/涙がキラリ☆/悲しみの果て/俺のすべて/ハヤテ/スターゲイザー/日曜日/8823/夢追い虫/ENCORE 空も飛べるはず」でした。
脱線、終了。すみません。
次は、田中茉裕さんの「小さなリンジー」(2012年、ミニアルバム『小さなリンジー』)。
若手のシンガーソングライター。
「独特な世界観。聴いていると胸がギューッとなって泣きそうになる。声が半分泣いているようで、こっちがもらい泣きしそうになる」
以下は、すみません、ワタシの感想。
メロディーもきれいだけれど、普通の言葉の並びが深くて、心に刺さる。私はやっぱり、少し元気なときに聴きたいかな。
ミニアルバムのジャケットがきれいで、思わず購入してしまった。
ミニアルバムのほうは彼女のピアノの弾き語りで、2014年のアルバム『I'm Here』ではサウンドの広がりも楽しめる。最近聴いた女性シンガーのアルバムでは、私にとってはとびぬけて心に残る。
そして、阿部真央さんの「貴方が好きな私」(2013年シングル)。
「彼女の歌は元気な歌も多いけれど、この歌は歌詞がエグイ。『貴方が好きな私が私を殺していく』という歌詞にガーンとなった」と。相手が求める自分を演じているうちに、本当の自分が死んでいく悲しさ。
「恋人同士の歌だと思うけど、親子関係とか友達とかで想像したら、また泣きそうになる」
曲終わりで、「メロディーもサウンドもすごくいいんだけど、やっぱ歌詞が暗いわなあ。ま、そこがいいんですけど」
阿部真央さん、来年はデビュー10周年で、武道館ライブの予定もあるそうです。
メッセージから。
「イメージチェンジや気分転換はどんなふうに?」という質問に。「イメージチェンジはあまりしないんですけど」、たしかに(笑)。
「気分転換したいときは新しいペンやノートを買う」、なんだかわかるけど(手帳でも新しいのを開くだけで気分が改まるし)、ホント、普通の人ですね~。
そういえば、ツイッターだったか、「マサムネさん、新しいギター?」と言っている人いたっけ。緑のギターのピックガードを白からべっ甲に代えただけらしい。「それでも新しい楽器を使っているような気分」になれたそうだ。たしかに、ピックガードを代えたら、外見はかなり違って見えそうだ。
福岡の食べ物の話。
「かしわ飯」は県民のsoul foodという話から、「福岡の人は鶏料理をよく食べる。刺身も食べるしね。オレが好きなのは鶏皮の酢の物。福岡に帰ったら食べます」 Mステでタモリさんとも盛り上がっていた?
曲に戻って、次はもとまろの「サルビアの花」。ヒエッ、懐かしい。
もともとは1969年の早川義男さんの作品。これを1972年に青学高等部の女子高校生3人フォークグループのもとまろがカバーしてヒット。
ジャックス大好きな草野氏は、暗いサウンドの早川バージョンと、暗いハーモニーのもとまろバージョンで迷ったそうだけど、今回はもとまろで。
「よく聴くと、歌詞も怖いです・・・」
ハーモニーも歌詞もヤバいほどに暗い・・・。この執着心、独りよがり。蛇に睨まれたカエルの心境は実際はご勘弁だけれど、こうして聴いてあぶない世界に入っていくのはいいもんだ。
これも私事ですが、クラシックおたく、でもロックも好きだったわが弟が、日本語歌詞の楽曲の中で、これに妙にはまっていたっけ。赤いサルビアの花を見るとちょっと胸がザワザワするのは、弟の思い出がよみがえるからか。
夏の終わり、友人と旅の途中、ボートを漕ぎながら、なぜかこれを歌った思い出。あのシチュエーションに全然合わない!
次は洋楽で、Alcestの「Autre Temps」(2011年のシングル)。
2000年から活動を始めたフランスのユニット。初期の頃はブラックメタル。
「そこから耽美的なサウンドへとかわってきて、メタルからシューゲイザーへとスライドしていった。ライドやアイスランドのシガー・ロスに近い感じ」という草野氏の解説。
この曲なんかはシューゲイザーの色濃い感じですね。浮遊する音たち。
「こんな耽美的なサウンドだけど、外見はロン毛でメタルな感じ」と。ライブを見てみたいと言っていた。
最後は青葉市子で、「ひかりのふるさと」(2012年『うたびこ』)。
気になるシンガーで、「新木場サンセットにも出ていただいた」。
ココにレポあります。本当に彼女ならではの世界。シンプルだけど、音の重なりがとても豊か。
「心にしみこむ声とメロディーなんだけど、実際にお会いした印象は、タフでしっかりした方。コロコロカートに機材を入れてツアーを回るというお話が印象的でした」、へ~、そうなんだ。
「無音っぽいところもあるので、寝ないでね」(笑)
そして今夜も「ちょっぴりタイムマシーン」。
暗い曲がテーマだったので、「最後は明るい曲で」。THE FUSEの「Boys & Girls」(1990年、メジャーデビューシングル)。
「アマチュアのときには本当によく対バンをして、ボーカルのTAKUちゃんとは今でも交流があり、四国にツアーで行ったときには必ず会ってます」だそうだ。
解散ライブのときに本人たちも「オレたち、バブリーなバンドだったから」と言っていたように、外見やパフォーマンスは派手だったけど、「実際はシンプルなロックンロール。今聴いても盛り上がれる。あの頃はヒューズがまぶしく見えたなあ・・・と遠い目になってしまいますが」と。
「アラフォーの人たちは覚えているんじゃないかな」と、ZO-3でサビの部分を演奏。
ノリのいい、気持ちのいいサウンドです。
THE FUSE - Boys & Girls
「あくまでオレ判断で選んだので、『暗くないじゃな~い』とツッコミがはいるかもしれないね」と最後に一言。
そして、来週のテーマは「『ミュージック・ライフ』1969年4月号で漫遊記」。
古い音楽雑誌を読むのが大好きな草野マサムネ。そんな彼が最初に購入したのが1969年4月号の『ミュージック・ライフ』なんですって。
それを見ながら、気になるミュージシャンの曲を流す・・・という。
これもすごく楽しみです。私も絶対に買ってたな。
こういう企画って、ラジオでは珍しくないのかな。どうなんでしょうね。「1975年8月号で漫遊記」「1982年3月で漫遊記」とか、いろいろできそう。