2022.07.10
「草野マサムネのロック大陸漫遊記」
FM TOKYO
参議院選挙の投票日・・・。
「心に余裕のある方も、意外とギリギリな方も、ちょっとした息抜きにしていただけたら幸いです」
そして、今日は、【90年代オルタナ系女性ロッカーで漫遊記】。
90年代のオルタナやグランジのシーンでは、それまでの男性的な価値観に縛られない女性のロックミュージシャンが多く活躍していた。
そんな中から、「私が印象に残っているナンバーを」と。
オンエア曲
01 ヒビスクス(スピッツ)
02 Rebel Girl(Bikini Kill)
03 50ft Queenie(PJ Harvey)
04 Supernova(Liz Phair)
05 Drop Dead(Lunachicks)
06 Seether(Veruca Salt)
07 Cannonball(The Breeders)
08 Celebrity Skin(Hole)
09 Tell me oh mama(具島直子)
漫遊前の一曲は、スピッツで、「ヒビスクス」(2016年、15thアルバム『醒めない』)。
「ヒビスクス」は「ハイビスカス」の語源のラテン語から。「夏の歌!」
(ピアノのイントロからギターに変わって一気にのぼりつめるところと、ロックなサウンドに隠れるように切ない言葉の羅列にやられる。「名曲」って何?と言われると困るけど、私には限りなくスピッツの「名曲」の認識。聴くたびに心が泣ける)
スバルのフォレスターのCMに採用された。
(前年には、「渚」が流れていましたね。どちらも曲がすごく効果的だった)
【いいねCM】SUBARU Forester スバル フォレスター 2015 スピッツ SPITZ 渚 父の挑戦
最初の曲は、「アメリカ、ワシントンのバンクバンド」、Bikini Killの「Rebel Girl」(1993年、2ndアルバム『Pussy Whipped』/今回は1998年のコンピレーションアルバムから)。
(こちらはライブ映像)
Bikini Kill - Rebel Girl ( live 1996)
Netflixで話題の映画『モキシー』(2021年)でも注目されている。ここでは、この曲をリンダ・リンダズはカバー。
『モキシー ~私たちのムーブメント~』予告編 - Netflix
Bikini Killは、オルタナシーンの一角をしめるライオットガール界隈では代表的なバンド。
ライオットガールとは、「1990年代初頭にアメリカが州国ワシントン州オリンピアやワシントンD.C.で始まった、フェミニストによるアンダーグラウンドなパンクミュージックの流行、および音楽とフェミニズム、政治を組み合わせたサブカルチャー運動」(『ウィキペディア』より)。
もともとロックの世界は男中心だったが、「90年代に入って少し変わってきた」。それ以前にも女性のロックミュージシャンはいたけれど、「セクシーさやかわいらしさ、あるいは反対に男っぽくふるまうこと、などが求められていた」。
そういうところから離れて、「男性的な価値観から独立した女性ミュージシャンが増えた時代」と。
草野くん自身も、この番組に関わるようになって、「古くはジャニス・ジョプリンさんやスージー・クワトロさんなどがいるけれど、ロックの世界ってほぼほぼ男社会だな」と改めて感じた、と。
ロックに対しては、縦社会や古いしがらみから自由な世界がいいなと思っていた草野くんから見ても、「意外に自由じゃないな」。
そこを革新すべく登場したのが、Bikini Killをはじめとする90年代の女性ロックミュージシャンたち。
そして、女性の独立や解放をうたいつつ、ロックやパンクってもっと自由なものでしょ、と気づかされる。
このライオットガールに絞って特集を組んでみようとしたけれど、「オレ、男なんで、男のフィルターだけ通すと認識が歪むおそれもあり、フェミニズムやジェンダーに関しては、それに詳しい方をお迎えしてやるべきかな」と思ったそうだ。「それだと、荻上チキさんの番組みたいになりそう」とも。
Bikini Killはその時代を象徴するバンドで、曲もカッコいいので、「一曲目に」。
次の曲は、「イギリス出身のシンガーソングライター」、PJ Harveyの「50ft Queenie」(1993年、2ndアルバム『Rid of Me』。
「濃ゆいロックを奏でていて、(この曲の歌詞は)翻訳するとオンエアできないくらいの過激なセクシャルな内容で、でもパンクな問題提起でもあったりする」と。
ジャケットも「やばくて、これロックのアルバムだな!という感じ」。
PJ Harvey – Down by the Water (Later Archive 1995)
次は、Liz Phairの「Supernova」(1994年、2ndアルバム『Whip Smart』)。
気だるい感じが「いかにも初期のグランジシーンの曲」。
「ギターの音も汚いひずみで、そこがいい」と。
彼女も、PJ Harveyとは違うベクトルで性的なことを赤裸々に歌うことで話題だった。
ただし、オルタナ的なスタンスにはこだわりはなかったようで、その後はポップなラウドロックに移行したが、「その後の作品も完成度は高かった」。
(以下の楽曲が耳に心地よい。これはのちのポップなロック?)
Liz Phair - "And He Slayed Her" OFFICIAL MUSIC VIDEO
次の曲は、Lunachicksの「Drop Dead」(1995年、3rdアルバム『Jerk of All Trades』)。
Lunachicksは「露悪趣味がカッコいいバンド」。
ココで紹介したドイツのニーナ・ハーゲンを彷彿させるド派手なメイクと衣装!
Lunachicks - "Don't Want You" Go-kart Records
ソニック・ユースのメンバーに見いだされてデビュー。
曲のスキルが高いので、草野くんは一時期ドはまりしてリピートしていたとか。「曲調は、パンクというよりハードロック寄り。イギー・ポップさんの影響も感じられる」
ウィキペディアによると、このバンドもライオットガールのカテゴリーに入っているそうです。
(ズンズンとお腹に響く重たい音が心地よい。性別とか完全に超えた領域)
次は、「シカゴのバンド」、Veruca Saltの「Seether」(1994年、デビューシングル/1994年、デビューアルバム『American Thighs』)。
「メッセージ性は薄く、キャッチーでカッコいいラウドロックのナンバーを聴かせてくれたバンド」と。
オルタナロックにメッセージ性を求めていた人からは、売れ線のアイドルバンド的なとらえ方をされたらしいが、「音はしっかりグランジ」。 彼女たち自身は、モトリー・クルーが好きだと語っているとか。
草野くんは例によってジャケットが好みだそうで、「ハートの柄のワンピースがかわいいんだけど憂鬱な感じの生々しい写真」で、90年代のオルタナティブロックって、こんな感じだったよなあ、と思い出したりするそうです。
Veruca Salt - Volcano Girls
メッセージコーナー。
(今回は、すべて10代のファンからのメッセージ。なんだか、こっちもうれしくなる)
インターハイの陸上800メートルに出場する高校生から、「草野さんは緊張をどうやってほぐすの?」。
「あがり症のオレに聞いても、いいアドバイスができるかどうか・・・」(たしかに)
草野くんは結構あちこちで語っているけれど、「緊張すると、脱力したり眠くなったりする」。
このあがり症はもう治らないそうで、「終わったあとのことに思いを馳せる、おいしいものを食べようとか、すきな映画を観よう、とか」。
そうすると、「少し緊張が和らぐかな」。
また、緊張している自分のことを笑ってみると、「少し楽になることがあります」。
そして、何よりも大事なのは、大会でもライブでも、十分に練習して準備しておくこと。「これだけ練習したんだから、これで失敗したとしてもしょうがないよな」と思えるくらいに。
草野「すごくまじめな回答になりますけど、十分な準備をすることが大事なのではないでしょうか」
(フムフム。なるほど)
転入届を出しに行ったこの春から大学生のリスナーさん、係の方に「保護者ではなく本人が来るように」と言われたとか。
草野くんの友人夫婦で親子に間違えられたという話はきいたことがあるとか。
「オレは、30代半ばくらいまでは、浪人生っぽいねって言われてました。褒めてんのかなんなのか、わかんないんですけど」と。
(大学生じゃなくて浪人生っぽい、と言われるところが草野くんらしい)
草野くんが言うには、「若いときに老けて見えてた人って、中年以降老けない人が多い」。
童顔の人のほうがギャップもあって、老けた部分が強調されたりする・・・(というのは、ちょっとわかる)。
「オレもそうなりそうな予感もちょっとあるけど、ま、抵抗してもしょうがないから、老けていくさまは受け入れながら年をとっていこう、と思っています」と。
(高校生のときに親戚の赤ん坊のベビーカーを押していて、その子の母親だと思われた私です・・・)
次のリスナーさんは中学生!
ドッジボールですぐに当てられて、でも投げるのも得意ではないので、外でウロウロするばかりだった、と。
「草野さんは、ボールをよける派? それとも投げる派?」
「オレ、ボールは『受ける派』。胸で受けるのが好きだったけど、投げるセンスがないので、うまい子にボールを渡してた」そうです。
今やるなら、投げるのをしっかり練習したい、と。
「顔にボールを受けないように気をつけてください」
(ドッジボール、好きだったなあ・・・。魔球投げてたなあ)(笑)。
次の曲は、The Breedersの「Cannonball」(1993年、2ndアルバム『Last Splash』)。
草野くんが好きなバンド、ピクシーズのキム・ディールと、スローイング・ミュージズのタニヤ・ドネリーが始めたバンド。「一時期、ピクシーズより知名度が高かったことも」。
草野くんの印象では、「ピクシーズに近いところもありつつ、よりサイケデリックな要素が強かった」。
ピクシーズファンならThe Breedersも好きだったかも、という記憶があり、「とても独特な音楽性です」と。
(低く単調に続くリフがマントラのように耳に残る)
The Breeders - Huffer (Official Video)
最後は、Holeの「Celebrity Skin」(1998年、3rdアルバム『Celebrity Skin』)。
Holeはニルヴァーナのカート・コバーンの妻、コートニー・ラブのバンド。
コートニー・ラブさんのエピソード。ジミヘンのアルバム『エレクトリック・レジャーランド』のジャケットに子役として参加していた・・・。裏ジャケットは、ジミヘンが公園で子どもと映っている写真で、「その中の一人がコートニー・ラブさんらしい」。
ちなみに、草野マサムネが福岡のにわかせんべいのCMに子どものころ出ていたという噂があるが、「あれはウソ」だそうです。
(まことしやかにささやかれていたことがあった。本人が冗談で言った・・・という情報も??)
Courtney Love Performs "Celebrity Skin" Live | LA LGBT Center
(迫力、ハンパないですね)
特集の最後に。
今回は、90年代の女性ロッカーのムーブメントはロックの歴史の中で無視できないなという思いから特集を組んだそうで、「すでに性別で特集を組むこと自体が時代遅れなのかもしれない」。
「アーティスト本人が性別を意識的に打ち出していない場合は、男女で分けて語るのは意味のいない時代になっていくのかな」というツッコミは甘んじて受けつつ、「これからも認識をアップデートしていきたい」と語る草野くんでした。
(90年代の音楽の潮流をそのように意識して聴いてこなかったので、私にはすごく興味深い特集でした)
今回の「ちょっぴりタイムマシン」は、具島直子さんの「Tell me oh mama」(1997年、2ndアルバム『Quiet Emotion』)。
(イントロは・・・、これは「まがった僕のしっぽ」ですかね? いい感じですね)
ゴリゴリなロックが続いたので、「落ち着いたタイプの曲」で。
最近再び注目されているシンガーソングライターで、「今なら、シティーポップに入るのかな?」。
たとえるならば、「シルクのパジャマを着たような、心地よい大人の歌声」。
(これと、デビューアルバムの『Miss. G』を持っている。最近、リマスター盤がリリースされているようですね)
そして来週は、【モット・ザ・フープルで漫遊記】。
この番組は本来、70年代のロックをメインに流したいのだが、最近はあまり取り上げてなかったので・・・ということで、ワンアーティスト特集です!
ロックヒストリーを語る上ではわりとスルーされがちだが、「オレにとってはかなり重要なバンド」です。
(デヴィッド・ボウイとの関わりも興味深い。)
「草野さん、小さな子どもに論破されて、ぐうの音も出なかったわー」
(ふふ・・・、侮れませぬ。)
「失望することはあっても、絶望はすまい」
と誰かが言ってたなあ。
なんだか、空がどんよりしている。
空気も湿っていて、気分が上向かない。
昨日、珍しく腰に違和感を感じて、ドキッとしてバンテリンを塗りまくったら、今朝は快調。薬からはできるだけ遠ざかって暮らしたい人間だけど、ちょっと認識を新たにした。
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