2023.06.11
「ロック大陸漫遊記」
FM TOKYO
6月も2週、「早いっすね」。
さてさて、「最近、『美しい鰭』はストリーミングチャートでもランクインしたそうで」、で、古いスピッツの曲もチャートインしているらしい。「『チェリー』はよく聴いていただいているようです」
そして驚くべき(笑)「今さらながらのお話」。
「チェリー」のサビ「気がしたよ♪」のところを実際に歌ってくれて、「オレが下手でCDでは正確に歌えていないんですよね。ライブではちゃんと歌っているんですけど」だそうです。
カラオケで歌うときは「気をつけて」って。
今回のテーマは、【マーク・ボランで漫遊記・前編】。
70年代前半に大きなブームとなったグラムロック。そのシーンを代表するアーティストの一人。
「ワタクシは後追いファンなんですけど、10代のころすごく影響を受けました」
好きな曲を選んでいたら1週では収まりきらない曲数になったそうで、「ワンアーティスト特集では初の」2週にわたって・・・です。
オンエア曲
01 エスペランサ(スピッツ)
02 Metal Guru(T. Rex)
03 The Wizard(Marc Bolan)
04 Desdemona(John's Children)
05 Chariots of Silk(Tyrannosaurus Rex)
06 Diamond Meadows(T. Rex)
07 Ride A White Swan(T. Rex)
08 Bang A Gong(Get It On)(T. Rex)
09 solid gold easy action(T. Rex)
10 Zen Zen ブルース(中山千夏)
漫遊前の一曲は、スピッツで、「エスペランサ」(2013年、14thアルバム『小さな生き物』Deluxe Editionのみボーナストラック)。
アルバム『ひみつスタジオ』の初回盤でのボーナストラックを考えていたときに、『小さな生き物』にこんなボーナストラックがあったなと思い出して聴いてみたら、「意外によかった」ので。
「正直忘れかけてた曲です」・・・
(聴いていて、流れるような歌唱とメロディーにほっこりできる楽曲です)
曲終わりで、「オレも忘れかけてた曲にリクエスト、ありがとうございます」。
最初の曲は、「T. Rexのまずはつかみの曲」、「Metal Guru」(1972年、3rdアルバム『The Slider』)。
「まずはキャッチーな有名曲を」
「Metal guru, is it you?」のところ歌ってくれて、「メチャメチャポップなメロディーがたまんないですけど」。
そして「手元の資料をもとにマーク・ボランさんのプロフィールを」・・・。
1947年、イギリス、東ロンドンのハックニーで生まれる。父親は、ロシアとポーランドの血を引くユダヤ系。
小学校にあがって、エディ・コクラン、チャック・ベリーなどロックンロールに憧れ、9歳でギターを弾き始める。
スキッフルバンド(手作りの楽器で演奏することが多い)をへて、12歳で、スージー&フラフープスというバンドでギターを担当。
中学でも勉強より音楽を優先して15歳で退学処分となる。モデル事務所と契約していたこともあって、ショップやブランドでモッズファッションのモデルをしていた。
そんな活動が評価され、17歳でスカウトされて、18歳でデッカレコードと契約。
ちなみに「Bolan(ボラン)」はBob Dylan(ボブ・ディラン)を短縮させた名前。
次の曲は、Marc Bolanの「The Wizard」(1965年、デビューシングル』)。
これは、マーク・ボランとして18歳でデビューしたときのデビューシングル。
草野くん自身は、T. Rexを知ったあとでこのあたりの曲を聴いたので、「グラムロックの大スター、象徴のような、あのマーク・ボランさまにも『こんな下積み時代があったのか』」と愛おしく感じたそうだ。
この曲は2分ない! こういう曲が多いので、「今日は曲数を多くかけられるかも」と。
曲終わりで、「まだ、あの独特のビブラート、かかってないんっすね」。
そして、ギターはセッションギタリスト時代のジミー・ペイジだそうです
次の曲は、John's Childrenの「Desdemona」(1967年、3rdシングル)
John's Childrenは「ちょっとサイケなビートロックのバンド」で、マーク・ボラン、20歳のころに短期間在籍。
サビの追っかけフレーズで追いかけているほうが彼の声だそうだ。そこではすでに「ちりめんビブラートがかかっている。
これ、「真似したくても、なかなかできない」。草野さんの昔の友人には、「カラオケで、どんな曲にもちりめんビブラートかけちゃうやつがいましたけどね」。
(スカスカのサウンドが時代を感じさせて)
この「ちりめんビブラート」は、「あくまで草野の造語で、音楽用語ではありません」と言っていたが、ほかの人が使っていて覚えたのかもしれない・・・と。
マーク・ボランと言えば、「この細かいビブラートが歌唱の特徴」。
次の曲は、Tyrannosaurus Rexの「Chariots of Silk」(1969年、3rdアルバム『Unicorn』)。
John's Childrenを脱退後、スティーブ・ペレグリン・トゥックと組んで、このTyrannosaurus Rexというデュオを結成。
これがのちのT Rexに繋がるが、Tyrannosaurus Rexは「まだロックではなくて、サイケフォークという感じかな」。人気がなかったころは、二人でロンドンの街角や地下鉄の駅で演奏していたそうだ。
このTyrannosaurus Rex時代にすでに、「ほかのアーティストにはない、独特の世界・・・、サイケで不思議なんだけど、ちゃんとキャッチー」。草野くんは、「今も参考にしています」と。
(実はメロディーもすごく沁みる)
草野くんとT. Rex。
小学校のころから、「なんとなくT. Rexのことは知っていた。ラジオでよく流れてましたので」。
でも本格的にはまったのは高校生になってから。
15歳のころは、「思春期の鬱屈したタマシイを、まずヘビーメタルを聴くことで解放していた」。
メタルギタリストに憧れていたいたけれど、「その夢をイングヴェイ・マルムスティーンさんに打ち砕かれた。こんなの弾けるわけないじゃんって」。
そこで違う道を模索する中で出会ったのが、グラムロック。「それがデヴィッド・ボウイさんとT. Rexだったわけです」。
でも80年代には、「グラムロックはメチャメチャ時代遅れの音楽になっていて、マーク・ボランさんもすでに亡くなっていた」。それが反対に、「流行にとらわれないオレってカッケー!という自己肯定感を得ていた気がする」。
(ふむふむ。草野くんらしいですね)
次は、T. Rexの「Diamond Meadows ダイヤモンドの牧場」(1970年、1stアルバム『T. Rex』)。
この曲は、「トニー・ヴィスコンティさんのストリングス・アレンジがステキ」。
トニー・ヴィスコンティのストリングスはグラムロックの象徴ともいえる。デヴィッド・ボウイもグラム時代、ストリングスは彼のアレンジだった。グラムロック以外でも、ポール・マッカートニーのWingsのアレンジもしていた。
「(トニー・ヴィスコンティのストリングス・アレンジは)美しいけれどちょっとユーモラスというところがオレの大好物」と。
メッセージコーナー。
高圧電線の上で作業されている人を見上げて感謝しつつ、「草野さんは高いところは大丈夫?」。
草野くんは、観覧車やゴンドラのように囲われているところだったら、「むしろ高いところは好き」。
だけど、崖などの柵がないところにいると、「落ちるところを想像しちゃったりして苦手」。
落下する感覚が「あんまり得意じゃなくて・・・、はっきり言ってメチャメチャ苦手で、絶叫系マシンには乗らなくなりましたね」と。
若いころは、「オレ、絶対乗れる、乗れないはずはない」と頑張って乗っていたそうだ。「正直、苦手ってことがわかって、最近は勘弁してって感じです」
「スピッツメンバーがツアー期間じゃないときに会って、すぐに演奏できる曲ってどのくらいありますか」
(知りたい知りたい、Good question!)
落語家は100くらいの噺をもっていて、前の演者のした噺を避けて、高座に上がってから噺を決める、というのをきいたんだそうです。もちろん、個人ではなくバンドだから、ちょっと異なるとは思うけれど。
「リハとかやらないで、みんなの前で演奏するってことでしょ? パーティーとかで」・・・そういう機会はあまりないそうだけど、「チェリー」「空も飛べるはず」「ロビンソン」「楓」あたりは、もう体が覚えているらしい。「何回もやってるからね」
「ヒバリのこころ」「魔法のコトバ」も、「すぐできそうな気がする」。
だから、「歌詞は間違えるかもしれないけど、30分くらいのステージなら、すぐできそうな気がする。長くやってますからね」。
「振られてもすぐにできるように、カンペとか作っておくといいかもしれないですね」
そして次の曲は、T. Rexの「Ride A White Swan」(1970年、1stシングル/1stアルバム『T. Rex』)。
Tyrannosaurus RexからT. Rexになって、「音もクリアにタイトになっていく」。
そして、この最初のアルバム『T. Rex』のジャケットで、「レスポールをもっているマーク・ボランさんがカッコいいんですよ」。
彼はこのレスポールと白いストラトキャスターを弾いていることが多かったようだが、「オレの好きなギターはマーク・ボランさんの影響が大きいかもね」。
高校1年か2年ではまったので完全な後追いファンだったが、それは草野くんがちょうど曲を作り始めた時期だったので、「すごく参考になりました」。
草野くんは、曲と言えば、Aメロ~Bメロ~サビという展開でなくちゃいけないのかな、と思っていた。
「楓」を例にあげて、ZO-3で軽く弾き語りながら説明。そして、「それ(その展開)がマストだと思っていた」。
そんな中で、(ZO-3で「ランラン~♪」と歌いながら)「この曲はこれだけなんですよ、サビもないし。でもすごくポップで。え、これでいいんだ~って楽になったんですよ」
草野くんは今では「Aメロ~Bメロ~サビ」という展開の曲を作ることが多いが、「それにこだわらなくていいんだよ、ということが常に頭にあって、この曲はお手本のような曲です」と。
この曲は全米2位だそうで、「こんなシンプルな曲で2位ですよ」と。
次は、T. Rexの「Bang A Gong(Get It On)」(1971年、3rdシングル/1971年、2ndアルバム『 Electric Warrior 電気の武者』)
「結構有名な曲ですね。代表曲って扱いされることもあるのかな?」
(ラジオでもよく流れていたし)
アルバムは名作と言われる。
前曲の「Ride A White Swan」同様、「メッチャ、シンプルな曲」で、Aメロ~サビの構成。
ZO-3で印象的なリフを弾き、「耳に残る、なんか繰り返し聴いてしまうんですけど」と。
このあたりから「ドラムも入ってきて、しっかりロック!という感じになります」。
(T. Rexファンじゃなくても知ってる楽曲・・・という印象あり)
「時間があるからもう一曲!」で、最後はT. Rexの「solid gold easy action」(1972年、8thシングル)。
楽しそうにリフを弾く草野くん。
『タモリ倶楽部』(終わってしまって、残念)の「空耳アワー」でも取り上げられていた楽曲。
(「このネタいいから いらっしゃ~い♪」と)
「マーク・ボランさんも天国で、『なんじゃ、そりゃ~』ってツッコミ入れてるかもな、と思って見ていましたけど」と。
(たしかに)
T.REX solid gold easy action
特集の最後に。
まずは前編。
改めて聴いて、「オリジナルな音楽性、オリジナルなキャラクターだったんだなと思います。オレにとっては、The 青春ミュージック」。
来週の後編では、「T. Rexの全盛期から交通事故で亡くなるまでの軌跡をたどってみたいと思います」。
(影響を受けた、あるいは好きなアーティストの特集の回は、草野くんの語りが特にオリジナルで、いいですよね)
そして、「ちょっぴりタイムマシン」のコーナーは、中山千夏さんの「Zen Zen ブルース」(1969年、デビューシングル「あなたの心に」のB面曲/作詞:中山千夏、作曲:都倉俊一、編曲:佐藤允彦)。
(イントロは、「ときめきPart 1」だったんですね)
中山千夏さん、1950年代から子役として活躍し、「70年代にはカッコいい女性というイメージだったみたいですが」、国会議員だったときもあり、「世代によってイメージが違う方だったかもしれない」と。
草野くん世代としては、アニメの『じゃりン子チエ』のチエちゃんの声というイメージが強い」
(懐かしい。『ひょっこりひょうたん島』もあるけどね)
「Zen Zen ブルース」は彼女の大ヒット曲「あなたの心に」のB面曲。
「70年代全開の曲で、聴いててちょっとクセになる」
このアルバムのジャケット、「カッコいいんですよ」。
曲終わりで、「先ほど70年代と申し上げましたが、60年代の曲でしたね」。
中山千夏/あなたの心に(1969年)
来週は、【マーク・ボランで漫遊記・後編】です。
「草野さん、近所の公園でタマムシ捕まえちゃいました」
今日も梅雨空。
まだ雨は降っていないけれど、空気が湿っていて、体の中も心も萎れそう。
気温は高くないけれど、外を歩いたり走ったり、外で慌てたり失敗したり戸惑ったりすると、すぐにヘンな汗をかく季節。
それでも楽しみなことを待ちつつ、今日もちょっとだけ前向きに。
これから仕事の最終段階の作業を始める。
ちょっと気持ちを引き締めないと・・・。
LBGT法案の国会での流れを見ていると、これが第一歩だとしても(強烈に遅い第一歩だけど)、言葉のあれこれで終始して、どこへ行こうとしているんだろう、と戸惑う。
自分の価値観や常識を超えていく空気はまだまだカタマリにはなっていない。