あれもこれも

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「幼馴染」を考える③

2009-04-19 22:56:36 | コナン(考察系)
 幼馴染考察その③です。
 コナン三大幼馴染の関係の違いをお互いの恋愛感情の始点の差、つまり恋愛感情の自覚とその感情を抱くようになった理由に着目しているこの「幼馴染を考える」シリーズですが、今回は平次&和葉について検証します。
 
<平次と和葉の場合>
 平次と和葉は、ありていに言うと今のところ和葉の片思いという範疇を超えてません。そしてこの二人の場合はこの「お互いの温度差」が最大の特徴です。

 まず和葉の方を考えると、彼女は完全に平次への気持ちに自覚があります。初登場の時から一貫して平次への独占欲も嫉妬心も十二分に描かれている上に、モノローグや第三者に対して「平次が好きだ」という趣旨の言葉も何度も語られていることは今さら例示するまでも無いくらいです。和葉にとっての平次は既に「幼馴染」というよりは「好きな男」としカテゴライズされているわけです。
 一方、平次の方はというと自覚どころか、和葉を恋愛対象として見ているかすら怪しいところがあります。ミスター正影事件の時に和葉に対して独占欲を見せてはいますが、まだ恋愛感情からとだとは断定できないと言わざるを得ません。「どことなく面白くない」という感じではっきり「嫉妬」という感情にまで至ってませんし、面白くない理由も恋愛感情に対する自覚とは程遠いものですからね。平次にとっての和葉はまだ本当の意味での「幼馴染」の範疇を出ていません。
 
 この二人の関係を見るときのポイントとなるのはやはりミスター正影事件でしょう。この時、平次は自分の感情の理由を「子分を取られたような気がした」と整理してますが、この表現は微妙です。
 平和的に見ると「無自覚な発展途上の恋愛感情」もしくは「恋愛感情に至る道程」と受け取れますが、逆にいうと「恋愛感情」まで行かない可能性だってあるわけです。実際、子分かどうかはともかく恋愛対象外であっても、この程度は普通に持つ感情でしょう。例えば兄弟の結婚とか、中学時代の友達が高校でもっと親しい友人を作っていたとか、そういう時の寂しさというか面白くなさに昇華できる程度の段階にも思えます。
 映画「迷宮の~」の時に平次の初恋の人として桜の下で見た女の子の話が出ていましたが(結果的にこの子は和葉だったわけですが)、結局まだ平次にとって和葉への気持ちはこの段階から抜けていないのかもしれません。
 
 さて、実際の二人の関係を考えるとこの温度差が問題になってくるのは言うまでもありません。
 和葉は登場時から平次の周囲を警戒して嫉妬し続けているわけですが、これは平次の気持ちが和葉に向いていないことを彼女が感じているからでしょう。「幼馴染」という特別な関係が持つ影響力が及ばない範囲での平次を彼女はひどく心配します。それは東京での交友関係であったり、事件で知り合う人たちであったりするわけですが、彼女はそこに自分の居場所を確保するために頻繁に平次に同行しようとします。これは新一と蘭、小五郎と英理にはありません。
 ならば平次に和葉が告白すればいいのかというと、もし告白して平次に断られたとしたら今まで「幼馴染」という口実で許されていたポジションを彼女は失うことになり、特別性がもたらす優越感を手放すことになります。だからこそ周りにどれほどバレバレでも平次本人には踏み出せないという千日手状態になっていると考えられます。
 そういう意味では和葉は平次との関係性を主張するためにことさら「幼馴染」とか「兄弟みないなもの」といった表現を使いますが、これによって自分自身をしばる結果になっているのは全く皮肉な結果だと思います。
 ところが平次にとってこの和葉の行動は彼女を恋愛感情という範疇に入れていない現状では「手のかかる妹」としか写りません。そうするとますます恋愛対象から遠ざかっていくことになります。
  
 以上のように「幼馴染」という関係のエゴとしがらみが一番出ているのが平次と和葉だと思います。共有した時間がもたらす安定した現状と、曖昧な感情がもたらす不確定な関係性がこの二人の温度差であり、和葉の閉塞感に繋がっているのではないでしょうか。ま、今のところは先に自覚した和葉の負けですね(二人とも無自覚だと青子と快斗の様に上手くいくんですよね)
 
 というわけで次はいよいよ最後の新一&蘭について考えたいと思います。もう少しお付き合いくださいませ。
 

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