kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

白鯨との闘い

2016年01月26日 | ★★☆☆☆
日時:1月24日
映画館:イオンシネマ

コンスタントに面白い実録モノを発表するロン・ハワード監督の新作。今回は「白鯨」のモデルとなった捕鯨船エセックス号の海難事故を描く。

【以下、ネタばれあり】

邦題は「白鯨との闘い」で、予告編からは海洋巨大生物ものを思わせるが、原題は「大海の心臓部で」で、実は海難モノ。

捕鯨船エセックス号は一攫千金を狙い、アメリカ東海岸から大西洋に乗り出し、まずは一匹しとめる。この辺の描写のリアルさはロン・ハワードらしい。

その後、噂のクジラゾーンを求めて太平洋に乗り込むが、巨大クジラ白鯨と遭遇し、捕鯨船エセックス号は叩きつぶされてしまう。
マストとかロープとかがビュンビュン飛んできて、巻き取られたまま、海に放り込まれるなんて、災難としては最悪。山や荒野の遭難モノはまだ耐えられるけど、海で溺れるのは勘弁して。やっぱりワタシは山派なのだ。

生存者は3隻の救命艇で陸地を目指すが、大海の心臓部からはほど遠く、さらに3隻は離れ離れになっていく。ここまでで、映画は半分。水も食料も尽きていく中、船員たちは禁断の選択を迫られる・・・

って、つまり人肉食いを選ばざる得なくなる。
ここがこの映画の一番のキモとなるのだが、解体シーンもカニバルシーンも全て思い出話で直接的な描写は一切ナシ。

う~ん、TVドラマ(ハンニバル)でさえ、手足をちょん切ったり、間接的とはいえカニバルシーンを盛り込むご時世の中で、その描写を避けてしまうことで映画としてのパンチを欠いてしまったようだ。

逆に言えば、そこを描写していれば、前半は大自然との死闘、後半は人間の尊厳と生存を賭けた選択と、今年のベスト映画入りするぐらいの凄い映画になっていたかも知れない。

また、遭難する船員たちも難破している割には、やつれ具合というか傷み具合が弱く、悲惨さがなかなか伝わって来ない。「Uボート」では乗組員たちの顔のやつれ具合が事態の悲壮さが物語っていたのと対照的だ。

白鯨は大自然の象徴として描かれ、CGによるリアルさは鳥肌ものなのだが、予定調和的になってしまったのは残念。

全体に予想と違っていて肩透かしを食らった印象かな。

(追記)
改めて原作ドキュメンタリーを読んだが、やはり難破してからの後半が凄惨で読み応えがある。途中で見つけたカメ(やはりカメ!)を船上で解体して食料とし、死者をしっかりとバラバラにして聖餐とするのだが、そこを描写しなかった腰の引け具合は、やはり弱いなあ。






題名:白鯨との闘い
原題:In the Heart of the Sea
監督:ロン・ハワード
出演:クリス・ヘムズワース、ベンジャミン・ウォーカー、キリアン・マーフィー、ブレンダン・グリーソン、ベン・ウィンショウ
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