kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

広島県立美術館特別展「北斎の富士 冨嶽三十六景と富嶽百景」

2016年01月24日 | 展覧会
「北斎の富士 冨嶽三十六景と富嶽百景」展
会場:広島県立美術館
会期:2016年1月2日(土)~2016年2月14日(日)

ここ最近、浮世絵がマイブームで、展覧会があるとそそくさと足を運んでしまう。と言いつつ、ひろしま美術館の「赤穂四十七士」展を体調不良で見逃したのは、何たる不覚。

さて、本展では「冨嶽三十六景」と「富嶽百景」の全作品が展示される。総点数140点!テンションの維持がさすがに大変。

「冨嶽三十六景」の代表作「神奈川沖浪裏」や「凱風快晴」なんかを真っ先に見せられると、北斎の作品の美術的な素晴らしさに一瞬で心がつかまれる。既存の表現手法の一線を越え、新しい地平を築き、歴史に名を刻んだことがよく分かる。さらにこうしたデフォルメされた絵画作品が大量に刷られ、庶民の手に行き渡ったという史実の重みも感じさせる。

しかし、三十六景の作品を立て続けに見ていくと、美術的な価値以上にプロデューサーとしての北斎の存在を感じさせて、実に面白い。こういった点は全作品を見ないと感じられないだけに、本展覧会の価値も高い。

素晴らしい作品の向こうに「みんなの好きな富士山をモチーフに、いろんなテーマで作品を連作で展開したら、そりゃ受けるぞ。」という興行師的なセンスが見え隠れしている。
しかも、三十六と言いながら、実は四十作もあるってあたり、何となく今の「シークレット・アイテム」っぽい。

「旦那、三十六景って言いますけどね、大判が実はもっとあるんですよ。これって、持ってます?」と商取引というか、自慢話をしていたのが見えるかのよう。(見えない?)

見えると言えば、画面から当時の風俗や世相が見える博物誌的な意味合いでも楽しい。

「富嶽百景」の方は一作一作の面白みは減ってしまうものの、当時の北斎の年齢を考えると「わしはもっと描きたいものがあるんじゃ。」という絵師の心意気が感じられる。浮世絵の素材集として後世に残したかったのもあるのだろう。ちなみに新作「オデッセイ」を撮影したリドリー・スコット監督も77歳。エネルギッシュなアーティストの爺いは恐ろしい。

HPAMコレクション展も見たかったが、140点の作品に予想外に時間がかかってしまい、こちらはまた改めて。

ところで、東京で開催した春画展、広島のどこかで開催しません?

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« スター・ウォーズ/フォース... | トップ | 白鯨との闘い »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

展覧会」カテゴリの最新記事