kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

Re:LIFE ~リライフ~

2016年01月30日 | ★★★★☆
日時:1月28日
映画館:サロンシネマ
パンフレット:B5版720円。劇中引き合いに出される映画・文学の解説付き。

ワタシの好きな映画ジャンルの1つ、「才能あるがダメな中年の再生物語」。
「恋愛小説家」とか「サイドウェイ」とか「結婚できない男」の主人公のダメさ、イタさって、とても他人事とは思えない。(もっと遡れば「8 1/2」なんかも。)

オスカーも取ったハリウッドの脚本家、ヒュー・グラントは近年、ヒット作に恵まれず、やむなく東海岸の大学で教鞭を取ることにする。が、ハリウッド仕込みのストレートな言動のため、いきなり地雷を踏みまくる。(この辺の背筋の寒さというか緊迫感がダメ中年ものの醍醐味(?))やがて、シングルマザーの中年の生徒(またかい。)や同僚教師と交流するうち、彼自身、変化していく。

ヒュー・グラントがハマリ役で、ちょっと猫背で飄々とした身のこなしは水を得た魚のよう。彼の映画を何本か観た人ならわかると思うが、いつものあの「まあ仕方ないですね」って表情ですよ。

舞台が大学の文学部ということもあり、教師という個性的な人たちが嫌みなくらい引用や隠喩を使うウィットに満ちた会話がなかなか楽しい。気の効いた吹き替え版で聴くともっと映画が楽しめそうだ。

文学だけでなく、映画への言及も多く、ニヤリとさせられてしまう。TVドラマ「ブレイキング・バッド」もほぼ毎回のように過去の映画の話を持ち出すところが好きだったが、この作品も映画好きほど楽しめる。舞台となるビンガムトンは「トワイライト・ゾーン」のロッド・サーリングの生誕地なのだが、サワリだけかと思ったらロケ地、ドラマ本編まで出てきて本当に嬉しくなってしまう。

ヒューの講義はシナリオ、他の教師はシェークスピアやジェーン・オースティンを教えていて、文学を学ぶって本当に楽しそうに思えてくる。いまだに数多くの文学作品を読んでいないことが、本当に悔やまれるので、少しは勉強することにしよう。(←影響されやすい性格)

この映画の根底に流れるテーマが親子の愛情。さまざまな親子関係が描かれるが、ちょうど登場人物たちと同じ年代のワタシは劇中の大学生とウチの小僧をダブらせて、ウルッと来てしまうこともしばしば。

あと、ビンガムトンの町は基本的にずっと雨なのだが、ドラマが面白いと、そんな雨模様でも好ましく見えてくるから不思議なものだ。

ストーリーが単純すぎるきらいもあるが、最初に言ったように「ダメ中年」映画が好きなワタシはすこぶる幸せな気持ちで劇場を出たのでした。

ところで、映画を観ている最中、ずっと気になっていたのが、「マッリサ・トメイが裸になった映画が何だったかなあ・・・」。

追記1
マリッサ・トメイが裸になった映画、「レスラー」でした。(ダメ男のミューズなのね。)

追記2
ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」を読了。ヒュー・グラントがくさしたように「誰それが好き」とか「思いが伝わらない」とか恋愛劇が面倒くさいったら、ありゃしない。

映画「華氏451」のエンディング、「高慢と偏見」を暗記する双子がいたが、これを暗記するくらいするなら、シリル・キューザックやアントン・ディフェリングと一緒に焚書する側に回るね。

そう思いながらも読む手が止まらず、ついでにドラマ「高慢と偏見」を観て、コリン・ファースはミスター・ダーシーにピッタリと思ってしまう自分が腹立たしい。(笑)






題名:リライフ
原題:THE REWRIGHT
監督:マーク・ローレンス
出演:ヒュー・グラント、マリッサ・トメイ、J.K.シモンズ
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 白鯨との闘い | トップ | グリーン・インフェルノ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

★★★★☆」カテゴリの最新記事