kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

エンテベ空港の7日間

2020年01月05日 | ★★★☆☆
映画館:サロンシネマ

世の中には二種類の人間がいる。
「エンテベがわかる人間と知らない人間だ。」

という格言があったかどうかは知らないが、エンテベと聞いて分かる人には説明不要だ。

1976年、イスラエルと対立するPFLMに賛同するドイツ人過激派がエールフランスの旅客機をハイジャックし、アミン政権下のウガンダに着陸。同国政府の支援を得ている彼らは、人質の乗客と乗組員を空港建物に監禁し、逮捕されたメンバーの釈放をイスラエルに要求する。
ユダヤ人乗客に危険が迫ることからイスラエルは特殊部隊による人質救出作戦を強行し、これに成功する。
(と書けばカッコイイが他の主権国家に殴り込みをかけて、同国の兵隊を殺害してまで作戦を敢行するのだから、この頃のイスラエル様は無茶をしなさる。)

ということで、こんなオイシイ話題を映画界が放っておくわけがない。過去にも「エンテベの勝利」や「特攻サンダーボール作戦」などで映画化されている。今回の作品でダニエル・ブリュールが演じるテロリスト役は、過去作ではヘルムート・バーガー、ホルスト・ブッツホルツ、クラウス・キンスキーと手堅い顔ぶれが演じている。他にもブロンソンを筆頭に、カーク・ダグラス、バート・ランカスター、リズ・テイラー、リチャード・ドレイファス、リンダ・ブレア、マーチン・バルサム、アンソニー・ホプキンス、ジェームズ・ウッズ、ヤフェット・コットー、ピーター・フィンチ、ジョン・サクソン、ロバート・ロッジアなどなど60〜70年代を代表するスターが勢揃いしていた。(名前を羅列するだけで楽しい。)

それが当時からしたらもはや未来社会、サイボーグの実用化か人類滅亡を夢想した2018年に再び映画化。今回、「エリート・スクワッド」シリーズが暴力的で面白かったジョセ・パジーリャ監督なので、ピリピリした展開を期待したのだが、思った以上にストレートかつ奇抜な作りで混乱してしまった。

いきなり舞踏シーンから始まる本作、全編に渡り登場人物の誰かがステージにあがるためのダンスシーンが並行して描かれる。かかる曲はいいのだが、意味するところが即座に飲み込めずもやもやしたまま映画が続く。

本作の特徴はテロリストの描写にも相当の時間を割いており、彼らの背景や行為への諮詢なども描かれる。
テロの主要メンバーはブリュールとロザムンド・パイク。彼女の「あなたいつか刺し殺してやるから」と呟くかのような目元が恐ろしい。(たぶん、そんなことおっしゃってません。あくまでワタシの偏見デス。)

一方、イスラエル側も軍事・政治の両面に渡ってみっちりと描かれるが、いかんせんオチを知り尽くしているだけに史実の再現以上のものは見いだせなかった。

とはいえ、自分がリアルに感じていた1970〜80年代の緊迫する国際情勢が再現された映画はやはり楽しい。「ワンダーウーマン1984」も楽しみ。

ところでこの映画、サロンシネマでは上映期間1週間、1日1回上映だったにも関わらず大入りだったらしい。そういう傾向が続くといいな。






題名:エンテベ空港の7日間
原題:7 DAYS in ENTEBBE
監督:ジョセ・パジーリャ
出演:ダニエル・ブリュール、ロザムンド・パイク、エディ・マーサン


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