kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ドクター・スリープ

2020年01月03日 | ★★★★☆
25年くらい前までスティーブン・キングの邦訳はひと通り読んでいた時期があった。ワタシのような人間には必読書だった時代があったのだ。当然、「シャイニング」は読んだし、映画版へのキングの酷評も散々目にしていた。

で、40年ぶりの続編。正直、そこまで期待していなかったのだが、これが驚くほど面白い。(この原作は未読なので、以下はその点を差し引いて読んで下さい。)

オープニングでキューブリックの「シャイニング」とオーバールックホテルが完全再現され、ここで完全に引き込まれる。やるなあ。
特に妻ウェンディのそっくりさにはビックリする。さすがハリウッドは人材が豊富だ。

それからユアン・マクレガーの成人したダニーの登場となるが、ここから映画の雰囲気が一変する。超能力少女その1、その2、吸精鬼の群れ、心優しいはぐれものとキングなキャラクターが重層的に登場し、嬉しくなってくる。
吸精鬼の群れは全米を渡り歩きながら犠牲者を求め、ダニーと超能力少女はその悪行に気付く。この善悪の対峙と対決のくだりがキングの小説の雰囲気そのもので「ああ、この感覚、読んだなあ」と心底懐かしくなってくる。

逆にダニーはいつまで経ってもオーバールックホテルには戻らない。そういった映画じゃないんかい?と不安になっていると、遂にキューブリックのオーバールックホテルの再登場する。あの曲とともに。
そこから映画はクライマックスになだれ込む。


改めてキューブリック映画の撮影技術やプロダクションデザインがその後の映画に与えた影響の大きさを実感させられる。再現ものですら観ていて飽きない。その分、この映画はキューブリックの「シャイニング」を見ていないと面白さが半減なのだが。

まさにキングの世界観とキューブリックの「シャイニング」をつなげた力技感が見事であり、双方の世界に通じていると1本で2本分楽しめます。(その分、当然のように上映時間が長い。)

ということで見逃していた「ROOM 237」も観んといけませんなあ。

ところで、日本のホラーではあまり見かけないが、海外のホラーにはよく恐ろしい裸の老女が登場する。何かのメタファーなのかな。







題名:ドクター・スリープ
原題:Doctor Sleep
監督:マイク・フラナガン
出演:ユアン・マクレガー、レベッカ・ファーガスン、カイリー・カラン




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