日時:3月9日
映画館:シネツイン
パンフレット:B5版700円。ページ数は少ないが、モノクロの落ち着いたデザインがいい。。
ワタシにとって「ネブラスカ」と言えば、一匹狼かべっぴんさんである。何のこっちゃ。
【以下ネタばれあり】
ちょっとボケの入った父親がインチキまがいの100万ドル当選手紙を信じ、1500キロかなたのネブラスカを目指そうとする。いくら止めても無駄と感じた中年の次男は車で一緒に旅することにする。
監督がアレクサンダー・ペイン。ワタシの大好きな映画の1本である中年男の悲喜劇を描いた「サイドウェイ」の監督。全編に監督らしい、さりげないしみじみとした空気が漂っている。
主演のジジイはブルース・ダーン。ボケているのか、素なのか判別できない強情さで息子を振り回す。「マシンガンパニック」「ブラックサンデー」「メイフィールドの怪人たち」の彼と言えば、前歯をむき出しながら悪態をついている印象しかないのだが、本作でも全く変わらない。これを円熟というのだろう。(ちょっと違う。)
そして、映画は全編、喪の黒・・・もとい、モノクロ。
これが時代を特定させないいい感じを醸し出している。観終わって、モノクロであったことが思い出せないくらい、白黒の映像が映画にしっくりきている。この寂寥感は「ジェシー・ジェームズの暗殺」に通じる心地よさがあるのだが、ネブラスカとカンサスシティは隣りあわせらしいから、それも納得。
二人は父親の生まれ故郷で、若き頃仕事していた町を訪れ、息子は父親の過去を少しずつ知り、困惑したりもする。久しぶりにあう顔ぶれは100万ドルのおこぼれにあずかろうと、あることないこと吹き込んでくる。ちなみにかっての仕事仲間(ステイシー・キーチ!)も同級生も元恋人ももジジイとババアばっかし。何の誇張もなく、平均年齢70歳くらいじゃないか?
父親はどうやら酒で身を持ち崩しそうになり、さらにちょっと世間ずれしたところもあったらしい。初めて知る父の横顔に困惑する息子。さらに親戚縁者の集まりのために、母親もやってくる。軽く暴走気味の父親にも母親にも強く言えず、ついつい流されて調子を合わせてしまう主人公にワタシ自身が重なって見える。ワタシの父親もちょっと似たところがあって、ワタシもなかなか本音で話すことができないでいる。
父親の積年の遺恨を兄と二人で晴らそうとするが、結局、思いっきり空回りしてしまうくだりは、大笑い。この少しピントの外れたところ、いいなあ。
ようやく宝くじの交換に来るが、実は父親の言うとおりで100万ドルが手中に・・・なんてことは一切なく、打ちひしがれたジジイは一層老け込んでしまう。半ばインチキと分かりながらも、100万ドルにこだわる父親。
「何か残してやりたいんだ。」
泣けるなあ、このセリフ。息子は日々の生活に困っている訳じゃないんだよ。何もいらなんだ。でも、父親として何かしてやりたいその気持ち。
最後に息子は父親のささやかな望みをかなえてやる。わかるんだよ、わかるんだよ、その気持ち。押し付けがましくないこの展開に何か救われたような気になる。
でも、ワタシは父親にそんな親孝行は出来ない。金の問題じゃなく、いろいろ現実的な問題としてね。だから、この映画がおとぎ話として心にしみてくる。
映画館:シネツイン
パンフレット:B5版700円。ページ数は少ないが、モノクロの落ち着いたデザインがいい。。
ワタシにとって「ネブラスカ」と言えば、一匹狼かべっぴんさんである。何のこっちゃ。
【以下ネタばれあり】
ちょっとボケの入った父親がインチキまがいの100万ドル当選手紙を信じ、1500キロかなたのネブラスカを目指そうとする。いくら止めても無駄と感じた中年の次男は車で一緒に旅することにする。
監督がアレクサンダー・ペイン。ワタシの大好きな映画の1本である中年男の悲喜劇を描いた「サイドウェイ」の監督。全編に監督らしい、さりげないしみじみとした空気が漂っている。
主演のジジイはブルース・ダーン。ボケているのか、素なのか判別できない強情さで息子を振り回す。「マシンガンパニック」「ブラックサンデー」「メイフィールドの怪人たち」の彼と言えば、前歯をむき出しながら悪態をついている印象しかないのだが、本作でも全く変わらない。これを円熟というのだろう。(ちょっと違う。)
そして、映画は全編、喪の黒・・・もとい、モノクロ。
これが時代を特定させないいい感じを醸し出している。観終わって、モノクロであったことが思い出せないくらい、白黒の映像が映画にしっくりきている。この寂寥感は「ジェシー・ジェームズの暗殺」に通じる心地よさがあるのだが、ネブラスカとカンサスシティは隣りあわせらしいから、それも納得。
二人は父親の生まれ故郷で、若き頃仕事していた町を訪れ、息子は父親の過去を少しずつ知り、困惑したりもする。久しぶりにあう顔ぶれは100万ドルのおこぼれにあずかろうと、あることないこと吹き込んでくる。ちなみにかっての仕事仲間(ステイシー・キーチ!)も同級生も元恋人ももジジイとババアばっかし。何の誇張もなく、平均年齢70歳くらいじゃないか?
父親はどうやら酒で身を持ち崩しそうになり、さらにちょっと世間ずれしたところもあったらしい。初めて知る父の横顔に困惑する息子。さらに親戚縁者の集まりのために、母親もやってくる。軽く暴走気味の父親にも母親にも強く言えず、ついつい流されて調子を合わせてしまう主人公にワタシ自身が重なって見える。ワタシの父親もちょっと似たところがあって、ワタシもなかなか本音で話すことができないでいる。
父親の積年の遺恨を兄と二人で晴らそうとするが、結局、思いっきり空回りしてしまうくだりは、大笑い。この少しピントの外れたところ、いいなあ。
ようやく宝くじの交換に来るが、実は父親の言うとおりで100万ドルが手中に・・・なんてことは一切なく、打ちひしがれたジジイは一層老け込んでしまう。半ばインチキと分かりながらも、100万ドルにこだわる父親。
「何か残してやりたいんだ。」
泣けるなあ、このセリフ。息子は日々の生活に困っている訳じゃないんだよ。何もいらなんだ。でも、父親として何かしてやりたいその気持ち。
最後に息子は父親のささやかな望みをかなえてやる。わかるんだよ、わかるんだよ、その気持ち。押し付けがましくないこの展開に何か救われたような気になる。
でも、ワタシは父親にそんな親孝行は出来ない。金の問題じゃなく、いろいろ現実的な問題としてね。だから、この映画がおとぎ話として心にしみてくる。
題名:ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅 原題:NEBRASKA 監督:アレクサンダー・ペイン 出演:ブルース・ダーン、ウィル・フォーテ、ジューン・スキップ |
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