kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ミケランジェロ・プロジェクト

2015年11月09日 | ★★☆☆☆
日時:11月8日
映画館:イオンシネマ広島
パンフレット:A4版720円

第二次大戦中、ナチによって略奪(特にフランスやベネルクス三国)された美術品を確保・奪還する特殊チームの活躍を描く作品。

監督はジョージ・クルーニー。彼らしい60年代~70年代映画の雰囲気を彷彿とさせる出来になっている。昨年全米で公開されたものの、昨年の日本公開は突如延期。ここにきて原作者が来日プロモーションまでしての日本公開となった。とりあえず第二次世界大戦ものの映画が大好きなワタシは満足。

なのだが、肝心の映画の出来は・・・・
こりゃ、いかんなあ。

史実をベースにしながらも、構成は「特攻大作戦」系の寄せ集め部隊もの。さらに「地上最大の脱出作戦」とか「戦略大作戦」といった往年のコメディ系戦争映画を思わせる展開となる。

ところが、この作風の軽さと史実のテーマが全然マッチしていない。完全に食材の調理方法を間違えたって感じ。

西部戦線を舞台に複数の話が同時進行するのだが、それぞれの話のつながりが薄い上、キャラクターに深みを与えるエピソードがどうでもいい話ばかりで、話の展開が冗漫。ビル・マーレーとかジョン・グッドマンといった味のある俳優が生きていない。

ナチス・ドイツの新首都、ゲルマニアの模型と総統美術館の映像なんて必要があったのか?(もちろん、ストーリー上蛇足に見えても、ワタシには大満足だったことは言うまでもない。)

フランスの美術館員の話にしても、完全に中途半端な上、アメリカ人(オーストラリア人?)であるケイト・ブランシェットが演じているから、全然説得力がない。「イングロリアス・バスターズ」のメラニー・ロランを見習えと言いたい。

人間の思いひとつで芸術品が永続もすれば消え去りもするという悲しさ、人間の愚かしさとそして美術品に対する隊員の思いがもっと前面に出れば、映画の雰囲気もだいぶ違ったんだろうな。

元々、この「モニュメントメン」の実話自体がこれまで映画化されなかったってことは、映画的な面白みに欠けていたんだと思わざる得ない。言い方は悪いが、勝ち戦に乗っかって、戦利品を整理する話なんだから。

そうは言ってもさすがに21世紀の戦争映画。昔に比べるときれいな画面で本物の軍用車両が列をなして登場してくれるなんていいよなあ。

これならいっそのこと、「戦略大作戦」のリメイクをした方が良かったんじゃないか。主役は年食ってるけど、クルーニーで良し。最後は「フューリー」の実物タイガーとシャーマンの対決、カール・オットー・アルバーティーのコマンダー役はモーリッツ・ブライプトロイかティル・シュヴァイガーで。そっちの妄想の方がよっぽど面白い。






題名:ミケランジェロ・プロジェクト
原題:The Monuments Men
監督:ジョージ・クルーニー
出演:ジョージ・クルーニー、マット・デイモン、ケイト・ブランシェット
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 30年ぶりにSPI社のボー... | トップ | 広島県立美術館特別展「京都... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

★★☆☆☆」カテゴリの最新記事