kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ウィンド・リバー

2018年10月05日 | 年間ベスト3
◎サイコキラーものっぽいが、70年代を思わせるクライムサスペンス
◎インディアンの人権問題を根底に据えた重厚な内容
◎雪山と雪原の寂寥としたロケが美しい

撮影の困難さゆえ本数が少ないのだが、雪山が舞台になった映画は寂寥とした景色もサバイバル感も大好きだ。(「ヘイトフル・エイト」「レヴェナント

メインビジュアルからして、心底寒そうな本作、キャッチコピーはシリアルキラーものを思わせるが、実話ベースの真っ当なクライム・サスペンス。

OP、雪原で息絶える少女が映し出され、その後、野生生物局のジェレミー・レナーが発見するのが発端となる。ジェレミー・レナー、基本的に70年代の悪人顔でこういった映画にピッタリ。その胡散臭い顔立ちにホワイトカモフラージュのアウターとか前掛けしたザック、レミントン700とマーリン1895SBLモデルの扱い、痛んだアウトドアジャケットとカウボーイハットと何から何まで雰囲気がいい。別の俳優に置き換えるとしたら、ジョン・バーンサルくらいかと思っていたら、後半で彼も別の役で出てきて、なんだか製作陣と意気投合したみたいで嬉しい。(笑)

インディアン居留地で発見された少女の死体を巡り、都会のFBI職員が登場するが、彼女を演じるエリザベス・オルセンが美人ではないがほどよい幸薄そうなところがかわいい。都会のFBIと田舎の警察が対立するのはよくある展開だが、彼女、ものすごく理解があり、そういった展開にはならず、むしろストーリーの背景で描かれるのはインディアン居留地の諸問題、社会的待遇と劣悪な生活環境となる。

ただ、そこだけを声高に訴えるのではなく、犯罪捜査をきちんと進めていくので映画としても面白い。その辺はやはり監督・脚本のテイラー・シェリダンの手腕なんだろう。クライマックスもウエスタンしているのが嬉しい。変なトリックや思わせぶり伏線もなく、ストレートに事件解決に進むあたり、食い足りなさを感じないわけでもないんだが。

ジェレミー・レナー出演作の「ジェシー・ジェームズの暗殺」を彷彿とさせたが、音楽も同じニック・ケイブとウォーレン・エリス。どうりで雰囲気が一緒。

ところで、雪山・雪原ロケが美しく、アウトドア好きとしてはそれだけでも入場料の価値がある。こんな土地をとぼとぼ歩いたりしたら、さぞかし楽しいんだろうな。テント泊は無理だけど。






題名:ウィンド・リバー
原題:WIND RIVER
監督:テイラー・シェリダン
出演:ジェレミー・レナー、エリザベス・オルセン、ダニエル・グリーン、ジョン・バーンサル


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