大昔に読んで面白かったので、最近また読み返した「二重スパイ化作戦」(河出書房新社刊)。
第二次世界大戦中、ナチスドイツがイギリスにスパイを送り込んだが、イギリス側はそのほとんどを味方につけ、対敵情報に活用した史実の学術研究書である。(原文がそうなのか、訳文がそうなのかとにかく読みにくいのが難。)
書かれているのは二重スパイ個人の活躍ではなく、二重スパイ組織がどのように運用されたかという現実的な内容。
その目的は
1 敵の組織を籠絡し、牛耳る。もしくは、籠絡し、牛耳る手がかりをつかむ。
2 新しい敵のスパイが現れた時には、捕らえて味方につける。
3 ドイツ秘密情報機関の陣容と方法についての知識を学ぶ。
4 ドイツ秘密情報機関の語句暗号と字句暗号に関する情報を掴む。
5 敵が収集しようとしている情報を手がかりに、敵の計画と意図を読む。
6 敵が送る情報によって、敵の計画を攪乱する。
7 われわれの計画と意図を偽装し、敵を欺く。
例えば、ドイツからの調査命令に対して、単に虚偽の報告だけしたのでは、スパイとして信用されない。かといって、正確な情報を提供する訳にもいかないから、二重スパイには程良い真実を混ぜた虚偽の報告をさせることになる。
ドイツ側も複数の情報源から裏を取ろうとするから、その辺のつじつまはちゃんと合わせておかなくてはならない。と、気が狂いそうになる事務作業と心理作戦が延々と描かれる。
とにかく、読み終わったら、人間不信に陥りそうな本。それでいて、最後に二重スパイ作戦が成功したのは、汚い仕事だが、関わった人間が誰しもが「人格高潔」だったおかげだというあたり深いものがある。
ところで、次のパラグラフ
「公安局が止む得ない場合を除いてつねにスパイの処刑に反対したということは特記する価値がある。生きているスパイは、たとえドイツを攪乱する情報を送れない場合でも、つねに参考書として役に立つが、死んだスパイは不毛の存在である。
しかし、何人かのスパイは死ななければならなかった。それはわが国の保安体制が堅持されていることを国民に印象づけるためであり、またその他のスパイはうまく仕事をしている。われわれには籠絡されていない、とドイツ側に確信させるためでもある。送り込んだエージェントが一人残らずイギリス侵入に成功したとあっては、さすがのドイツも怪しいと睨んだにちがいない。」
つまり、「見せしめ」と「いけにえ」は必要なんですよ。とあっさり書き記しているあたり、こわいよなあ・・・。
第二次世界大戦中、ナチスドイツがイギリスにスパイを送り込んだが、イギリス側はそのほとんどを味方につけ、対敵情報に活用した史実の学術研究書である。(原文がそうなのか、訳文がそうなのかとにかく読みにくいのが難。)
書かれているのは二重スパイ個人の活躍ではなく、二重スパイ組織がどのように運用されたかという現実的な内容。
その目的は
1 敵の組織を籠絡し、牛耳る。もしくは、籠絡し、牛耳る手がかりをつかむ。
2 新しい敵のスパイが現れた時には、捕らえて味方につける。
3 ドイツ秘密情報機関の陣容と方法についての知識を学ぶ。
4 ドイツ秘密情報機関の語句暗号と字句暗号に関する情報を掴む。
5 敵が収集しようとしている情報を手がかりに、敵の計画と意図を読む。
6 敵が送る情報によって、敵の計画を攪乱する。
7 われわれの計画と意図を偽装し、敵を欺く。
例えば、ドイツからの調査命令に対して、単に虚偽の報告だけしたのでは、スパイとして信用されない。かといって、正確な情報を提供する訳にもいかないから、二重スパイには程良い真実を混ぜた虚偽の報告をさせることになる。
ドイツ側も複数の情報源から裏を取ろうとするから、その辺のつじつまはちゃんと合わせておかなくてはならない。と、気が狂いそうになる事務作業と心理作戦が延々と描かれる。
とにかく、読み終わったら、人間不信に陥りそうな本。それでいて、最後に二重スパイ作戦が成功したのは、汚い仕事だが、関わった人間が誰しもが「人格高潔」だったおかげだというあたり深いものがある。
ところで、次のパラグラフ
「公安局が止む得ない場合を除いてつねにスパイの処刑に反対したということは特記する価値がある。生きているスパイは、たとえドイツを攪乱する情報を送れない場合でも、つねに参考書として役に立つが、死んだスパイは不毛の存在である。
しかし、何人かのスパイは死ななければならなかった。それはわが国の保安体制が堅持されていることを国民に印象づけるためであり、またその他のスパイはうまく仕事をしている。われわれには籠絡されていない、とドイツ側に確信させるためでもある。送り込んだエージェントが一人残らずイギリス侵入に成功したとあっては、さすがのドイツも怪しいと睨んだにちがいない。」
つまり、「見せしめ」と「いけにえ」は必要なんですよ。とあっさり書き記しているあたり、こわいよなあ・・・。
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