50席限定の仲代達也の一人芝居
仲代達矢氏(82)が、今月4日から「50席限定」の「一人芝居」をやるという。会場は、自身が主宰する「無名塾」稽古場の「仲代劇堂」とのこと。作品は、米国の名優「ジョン・バリモア」の晩年を描いたものであり、初演は昨年10・11月に「600席」の能登演劇堂(石川県)。その後、11月に東京世田谷において、「約200席」で上演された。
「50席限定」となれば、必然、「舞台」と「客席」とは近くなる。仲代氏は、『小さな空間でお客さんが照れてしまうかもしれない。どう場を持たせるか難しい。台本もなく即興でやっている感じが出せればいいかな。一人芝居は休むこともできず、大変です』という。
何とも羨ましい……とは「観客」の立場での感想だが、実はこのような “小人数限定の観客席” というのは、「舞台役者」の理想であるのかもしれない。名前の記憶はないが、何人もの役者がそのようなことを語っていた。
だが「舞台」と「役者」とが近くなる分、「観客」は極めて身近に「役者」の演技、いやそれどころか息遣いや小さな所作をつぶさに感じ取ることができる。それは言いかえれば、「役者」は否応なく自分の皮膚や体温といった“全人格”を観客に晒し続けることを意味する。
しかもそれが “即興感覚の一人芝居” となれば、いっそうその実感は強い。それだけ誤魔化しも効かず、“一瞬間” の “一挙手一投足” が、常に最大限の監視と鑑賞の中で試されることになる。優れた「役者」にとって、これ以上魅力ある「舞台」はないだろう。
NHKと民放との絶対差の拡大
……と、昨今の「テレビドラマ作り」の安易さを嘆きながら、やはり思ってしまう。それにしても、NHKを除き、日本のTV局の番組構成のレベルの低さには言葉もない。ドラマ作りだけでなく、クイズやバラエティ番組にしても。唯一の救いは、何とか半分ほどの「報道番組」が、辛うじて合格点に達していることだろうか。
そのため、NHKと民放との番組制作のレベル差がいっそうはっきりしつつある。それはもう “絶対差” といってよい。その根本にあるものは、やはり “局の哲学と制作陣の感性” というものだろうか。
それにしても、最近のNHKドラマの “映像美” の素晴らしさ……。スタッフことに美術スタッフの感性と文学性の深さを感じる。いつかこのことを論じてみたい。
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さて、前書きが長くなりました。今回の「陰湿集団」の番外公演を楽しみにしましょう。「九州大学演劇部」の現役、OB・OG部員によるキャストであり、手堅い役者揃いと言えるでしょう。つまりは、安心して観ていられる「役者」諸君という意味です。
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陰湿集団番外公演
『ピーターパン・シンドローム』
●脚本・演出 大和
【キャスト】 石川悠眞、長野真結 (以上「陰湿集団」)、
木下智之、テラバイト☆ゆういち、村上悠子(以上、「九州大学演劇部」)、
三留夏野子(九州大学大橋キャンパス演劇部)
※一部ダブルキャストです。
●会場 リノベーションミュージアム冷泉荘
クリック! ◆リノベーションミュージアム冷泉荘アクセス
●日時 12月26日(土) 13:00/17:00
27日(日) 13:00/17:00
●料金 前売り 600円(当日800円)
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